古代の塚、現代の塚

福島県に近い某町内でのこと。
除染で集めた線量の高い土を人里離れた場所に運び、他の土砂を積んで盛り上げて、柵を回して人が近づけないようにしている様子を見て、これは現代の「塚」だな、と思ったことを思い出した。

鳥インフルエンザで殺処分した鶏や汚染された餌、防護服、手袋の果てまでをまとめて埋設し、立ち入り禁止の柵を張っているのを見て、同じ感想を持ったこともある。

そこに何があったのかが忘れられるほど遠い未来に、必要があって当該場所の地形を改変した人々が、古の怨霊とか病原体とかを解き放ち災厄に見舞われる、という小説か漫画をどこかで見たような。

それほど時が経てば、Cs137とかの放射性同位体はその量を大きく減らしているだろうから無害になっているに違いない。
放射性の長寿命核種がたくさん出来る炉心の使用済み核燃料とは別物だい。

怨霊の賞味期限については不詳。塚の主に纏わる伝承が失われた時には呪力が失効するのではないかと思うけど、塚を暴いた者が不安に襲われ怯えたりすると、再びその勢いを取り戻したりして。
(2022.6.15)




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