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舞台「文豪とアルケミスト 異端者ノ円舞(ワルツ)」感想その3

2020年1月に書いていた文章です。



舞台「文豪とアルケミスト 異端者ノ円舞(ワルツ)」の感想は大方書いたのですが、まとまった感想や記録的な感想ではなく、好き勝手書きたいことがもう少しだけあったので、雑記としてまとめました。

文劇2もたいへん面白く、見応えがある作品でしたので、有料配信にはなってしまいますが、気になっている方はぜひ一度ご覧になってみることをお勧めします。
映像のいいところは表情が細かく見えるところですが、とはいえこの場面は全景か、もう少し他の人物も映してほしかったなあ...という部分がないことはなく、昼公演の映像はそういう部分がちょっと気になったので、どちらか一方ということであればまずは夜公演がおすすめです。
気に入ったら昼公演もぜひどうぞ、というとなんだか回し者のようですが、良いものを良いと大きな声で言いたい性分なので、そこはご容赦ください。

それでは以下、これまでの感想であまり触れていない部分について、ここがこうであそこがああでという細々と気に入ったところを書き連ねた思いのたけのような雑記ですが、よろしければお付き合いください。
セリフをいろいろ書いておりますが、配信は1回しか観れないためまだ観直していなくて、全部記憶に基づくものですので間違いについては大目に見ていただけますと助かります。





●音楽
文アルを細々と長々と遊び続けている理由のひとつは音楽をとっても気に入っているということなのですが、前作に引き続き本作でも良い感じに合わせられていて原作ファンとしては嬉しかったです。
封蔵書の音楽も使われているのを聴いて、またオーケストラコンサートを開催してもらえたら良いなあ...と思うようになり、後半は演奏會CDを聴きながら品川に通っておりました。
しかし前のめりに観すぎてしまい、劇伴CDを聴くと使われていた場面を思い出していろいろな気持ちがこみあげてきてしまうので、ピアノの方はちょっと今何となく気持ち的に聴けない感じになりましたが、時間が解決してくれるでしょう。


●細々とした部分で好きなところ、気に入っていたところ、注目していたところなど
・転生されたばかりの朔先生に説明をする武者先生
他の部分でもそうですが、結構早口に独特の抑揚で喋っているのが好きです。

・鳥?の鳴き声
主役が不思議な声を出すのは文劇定番にするのだろうかと思うくらい志賀先生がどこから出しているのかという声をたびたび出されていましたね。
武者先生のツッコミとセットで面白かったです。

・カッコいい(ダサい)ポーズ
最初は同じポーズで「優雅さが違う」「顔が違う」と武者先生言っていたところから全く違うポーズになっていましたね。
有島先生のポージングがかわいいような可哀そうなようなという中途半端に終わってしまうところが有島先生らしいところなんでしょうか...。

・島崎先生と独歩先生が出てくるところで下手の方にす~っと引いていく芥川先生
原作でもそうですが先生方は割とハッキリ好き嫌いを表しますよね。
今回の芥川先生は全体を見渡している感がありましたが、島崎先生(ととばっちりで独歩先生)は露骨に極力視界に入れていない感じに見えました。

・朔先生のくしゃみ
毎回かわいらしく感じるのはなぜでしょう?

・逆手で刀を持つ有島先生
珍しいのもあって毎回手元をじーっと観ていました。

・『カインの末裔』ボス戦で現れる白い布
巻かれてから抜けるまでの一連の流れにいつも注目していました。
有島先生がボスと戦う場面の最後のタメ?のところで上手に武者先生、下手に志賀先生がいて、有島先生のセリフや動きと合わせて2人が敵を倒す、という描写も気に入っていました。

・有島先生に物申す芥川先生
前作の湿り気多めの後ろ向きさが一掃されて、今の帝國図書館での芥川先生のポジションってこんな感じなのかなと想像できるところが良かったです。
それにしても有島先生って素直なキャラクターとして描かれていますよね。

・しょんぼりする朔先生を独特の方法で励ます坂口先生
坂口先生の面倒見の良いところを描いている部分だと思うのですが、独特過ぎて面白いことになっていましたね。
ダジャレが下手という描写でもあったのかな...?

・『カインの末裔』の潜書から帰ってきた有島先生に島崎先生が取材しようと寄っていくところで視線を交わす志賀先生と武者先生
好きなところなのですが、この場面昼は映っていなかったのですが夜はちらっと映っていた気がします。

・武者先生に褒められて嬉しそうな島崎先生
配信で観てようやく確認できましたが、表情が秀逸ですよね。

・去っていく芥川先生の背中に声をかける武者先生
ここは日替わりでいろいろ観た気がするのですが、日に日に武者先生と志賀先生が仲良しの図みたいになっていった気がします。
楽しそうでしたね。

・「感謝感謝、圧倒的感謝!」
微妙な声真似?も含めて定番化するんでしょうか。
太宰先生はいないのにすごい存在感でしたね。

・「気にしなくていいんだよ~!」「って言っても気にしちまうのが有島なんだよ~!」
セリフはうろ覚えですが、武者先生と志賀先生が有島先生を励ましつつ腕や胸元をバシバシ叩くコミカルな場面ですが、1回武者先生が志賀先生を叩いて、志賀先生が追いかけてきて武者先生の背中(たしか)を叩くという小学生...? 未就学児...? みたいな遣り取りはさすがに可笑しかったです。
12日か13日の昼にあまりにいい音をさせてしまい、武者先生が「有島もやり返していい」みたいなことを言っていた気がするのですが、最後まで有島先生は何事もなかったかのように『カインの末裔』創作秘話みたいなことを話し始めて空気をきっちり〆るという流れも好きでした。

・有島先生が『カインの末裔』ほか創作活動について言及するところ
演出が文劇っぽい感じで魅力的だったので毎回注目して観ておりました。

・「はい、『友情』!」
前作では太宰先生が『斜陽』をスッと手渡して芥川先生にちょっと突っ込まれていましたが、このやり取りも文劇定番になるのでしょうか。

・シャドーボクシングの場面
ここは日替わりでいろいろ観た気がするのですが、日に日に志賀先生の動きが混とんとしていった気もします。
ここも武者先生と志賀先生が仲良しの図みたいになっていって、楽しそうな2人を観るのが楽しい、という場面になっていました。

・鍋を味見して補修室に行くことになる朔先生
武者先生もかわいいがあふれていましたが、朔先生も違うベクトルでかわいいがさく裂していましたね。
坂口先生の説明だけでにっこりしてしまうキャラクターってすごいなと思います。

・安吾鍋の場面
今日は何が出てくるのかという感じで見守る場面でした。
独歩先生が突っついたり突っつかなかったりするので今回はどっちだろうと思って観ておりました。
島崎先生が鍋を批評して安吾が抗議する部分が好きで毎回楽しく観ておりました。
諸事情により手が止まってしまった坂口先生に「ちょうだい」と言う芥川先生がたいへんかわいらしいという回がありましたね。13日昼...?
劇場では武者先生も猫舌では? というくだりの後に志賀先生と何を話しているのか聴こえなかったのですが、配信でようやく聴き取れました。

・『友情』に潜書する志賀先生(1回め)
封蔵書BGMも恰好良いですが志賀先生の戦闘シーンは前作に引き続き恰好よく描かれている気がします。
先に書きましたが、霧を抜けて出てくるときがとっても恰好良いことに4回目くらいで気づきました。

・弓の2人が戦う場面
舞台で弓ってどんな感じになるのだろう...と思っていたのですが、これはいけるので憧れの永井先生も出てくれないものかなあ...という雑念が浮かんでおりました。

・動揺する島崎先生
他の部分でもあるのですが、島崎先生の人らしいところというか人間味のあるところがきちんと表現されている部分でしたので注目して観ておりました。

・芥川先生に必死に説明する朔先生のたとえ
坂口先生はさりげなくみんなのフォローをしてくれる役回りなのに2度ほど邪魔のたとえで登場してしまうのが気の毒でしたが、毎回面白かったです。

・武者先生が志賀先生に心情を吐露する場面
ここはもう思いのたけを書いたところですが、何回観ても息を詰めて見入ってしまいます。
書いたときは忘れてしまっていたのですが、そのあと一人で潜書していく武者先生が有島先生に『友情』は一番大事な作品と言っているので、なんかこうやっぱり熱くなる仕組みになっているのだなと思いました。

・「一騎打ちをしよう」という武者先生の言葉に応えて出てくる侵蝕者が櫓から降りてくるところ
動きといい間といい緊迫感を増す感じで毎回楽しみに待っている場面でした。
昼公演だと映っていないので夜公演の映像をお勧めします。

・弓組を無視して采配する芥川先生
芥川先生もぶれない...という場面でしたね。
芥川先生の指示を受けての坂口先生と有島先生の反応がいつもきっちり決まっていて良かったところでした。

・『友情』に潜書する場面
その前のやり取りからの4人並ぶところまでがバッチリ決まっていて毎回見映えするところでした。

・弓組をやたら警戒する芥川先生
ピンチを助けてもらったのに「また何の邪魔を」みたいなことを言う芥川先生の図になぜかいつもちょっと可笑しみを感じておりました。
文学を守るという点について独歩先生がびしっと〆るのがいいですね。

・侵蝕者に武者先生が覆い隠されるところ
取り込まれていく感じと、ヒーローのように現れた(しかし怪我で全力を出し切れない)志賀先生が必死に取り戻そうとする場面は毎回見応えがありました。
10日夜は1公演のみで、次の日休みで余裕があったので前作円盤を観たところ、ちょっとうろ覚えのところもあるのですが、前作では芥川先生に斬られて倒れたときに武者先生が志賀先生の胸元?肩口?あたりに手を伸ばして、その手に志賀先生が自分の手を重ねるようにする場面があった気がしていて、今回はその逆で志賀先生が武者先生に手を伸ばして武者先生がその手に自分の手を重ねるという流れがあったので、意識的にそうなのか、単に好きな描写なのか、ということが気になり始めました。
端っこの方の席に座ったとき、「有島の奴、だれにも言うなって言ったのに...」と武者先生が言う場面で櫓の後ろの方からはけていくのが見えてしまい、なるほどこのときもうあの中にいないのか...と思った記憶があります。

・志賀先生、武者先生と侵蝕者2人が対決する場面
最後までそろっていてすごかったですね。
音楽が止まって櫓の間から2人が出てくるところは迫力があって好きでした。

・突如競争を始める志賀先生と武者先生
日替わり要素の多い部分でしたが、武者先生が先に階段を上ってしまって志賀先生がどう対応するかと思っていたら難なくこなしてシリアスめな場面につなげたのはさすがだな~と思って観ておりました。
しかしなんかこうここも2人の仲良しぶりがだんだん強調されていったような気がしなくもなく...疲れ果てて苦しそうな場面なのですが、緩急がすごいですね。

・殴り合う2人
この2人がそういう決着のつけ方なんだ!? と初回はちょっと驚きましたが、青春物語っぽい流れではありましたね。
折れた歯の本数で張り合うのは既定路線なのだろうと思うのですが、そういえば『カインの末裔』から帰ってくる場面で「(人)1人と(刀)3本」と武者先生がすっとぼけて志賀先生を助けないという日がありましたね。

・「太宰が食った鍋なんか食いたくなかった」
現実世界に戻る光が見えなくなってこのまま本の世界にいるのか...という場面は日替わりで、革靴も食べられるという話から「人間って何だろうな」という話になったり、志賀先生のスカーフがタオルのように、武者先生のスカーフが涎掛けのように扱われたり、などいろんな話が出てきましたが、最後に口にしたのが安吾鍋というところから武者先生が「繊維的なものは食べた」というようなことを言ったのに対してスープ的なものしか飲んでいないと志賀先生が言ったときにこんなようなセリフが出てきてちょっと笑ってしまいました。
殴り合う2人の構図と背景も武者先生が触れている通り『走れメロス』っぽいのに...相変わらず意識的に好きじゃない感を出してきますね。
そのあとの武者先生のツッコミもその通りという大真面目さがちょっと可笑しかったです。

・一応お祈りのポーズをとる芥川先生
有島先生にとにかく祈りましょうと言われて一応ポーズしてあげるのは優しさなんでしょうか。
特に深い意味はないのかもしれませんが、有島先生が信じていた神様にお祈りするときのようなポーズを芥川先生がするのをじーっと見つめてしまうときがありました。

・自転車が空を飛んでいることを説明する武者先生
唐突に説明が始まるのはおかしくて、着地するところはかわいいですね。
当然のことながらいつも同じ説明を聴いている内に、主題歌の「あの空を飛ぶ鳥のように」の部分を聴くと(空を飛んでいるのは自転車)という雑念が沸いてくるようになりました。
しかし今ふと「舞う」なのかという気もしてきましたので、根本的に間違っているかもしれません。

・エンディング
前作に引き続き最後の構図&ポーズが最高に決まっていてたいへん恰好良いので円盤のブックレットとかに使われるといいな~~~と念じております。



●最後に
文劇は前作も好きなのですが、本作のテーマが友情で、ダブル主演の先生方がこうと決めた道に向かってそれぞれのやり方で突き進むタイプの方というところでだいぶ自分も暑苦しいことになりました。
ものすごく個人的でむさくるしくてくさいことを書かせていただくと、友達がいたからきちんと大人になるまで精神的に生き延びることができたし、友達を見ていたから自分の人生は自分のものなんだと思えるようになったし、友達が信じてくれたから自分を信じてこうなったらいいなと思っていた未来の端っこを摑まえることができたというのが自分の青春のようなものなので、本作は割と直球に心に響くところがあり、前作とは違う風にだいぶ入れ込んでしまいました。

だいぶ言いたいことを書いた感もあるためこれにて終了となりそうですが、いずれTSを観る予定ですので、ひどい間違いがあったら修正して、あとはまたもしかしたら何かしらぶつぶつ書くかもしれません。
作品名を掲げた作品で別作品の話をするのは微妙かなあ、と思っているところがあるので、そういうような話についてはまた今度別の形でサクッと書こうかなとは思っていますが、予定は未定です。
でも思いついたら書かずにいられないところがあるので、気力と時間があればいずれまたという感じです。

文劇2が個人的に最高にヒットしたという話を今年まだ何回するかなあ...という感じで気に入ったのでしつこい感想となりましたが、ここまでお付き合いいただきありがとうございました。

2020.01.16


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