2023年8月28日~9月1日
上記日程の重要局面をまとめます。
①(月)全体的にレンジ相場
一旦小休憩を挟んだ相場状況
ジャクソンホール会議通過
英国バンクホリデー
様子見相場
②(火)ドル高
最高値更新(147.356円付近)
米金利が上昇
ストップロスを巻き込むような形で上昇
③(火)ドル安
経済指標
JOLTS求人:予想9465千件 結果8827千件(前回9582千件→9165千件)
消費者信頼感指数:予想116.0 結果106.1(前回117.0→114.0)
パウエル氏が望む労働市場の減速が数字として反映される
>>FedWatchの予測は年内利上げ無し
④(水)欧州通貨高
経済指標
独CPI・前月比:予想+0.3% 結果+0.3%(前回+0.3%)
独CPI・前年比:予想+6.0% 結果+6.1%(前回+6.2%)
>>予想よりかは鈍化していないことが原因
⑤(水)ドル安
経済指標
ADP全米雇用報告:予想+19.5万人 結果+17.7万人
第2四半期GDP【改定値】:予想+2.4% 結果+2.1%(前回+2.4%)
個人消費【改定値】:予想+1.8% 結果+1.7%(前回+1.6%)
前月の速報値結果(2.4%)からの昨日の改定値結果(2.1%)が下方修正
⑥(木)欧州通貨安
経済指標
独失業率:予想5.7% 結果5.7%
独失業者数:予想+1.00万人 結果+1.80万人
欧州HICP前年比:予想+5.1% 結果+5.3%(前回+5.3%)
欧州HICPコア・前年比:予想+5.3% 結果+5.3%(前回+5.5%)
>>ドイツ経済の落ち込み
⑦(木)ドル高
経済指標
PCE前月比:予想0.3% 結果0.2%(前回0.2%)
PCE前年比:予想3.3% 結果3.3%(前回3.0%)
PCEコア・前月比:予想0.2% 結果0.2%(前回0.2%)
PCEコア・前月比:予想4.2% 結果4.2%(前回4.1%)
米新規失業保険申請件数:予想23.5万件 結果22.8万件(前回23.2万件)
経済指標の強い数字が影響
⑧(木)円高
月末リバランス
円が買われる
ドル円145.500まで下落
クロス円が揃って下落
⑨(金)ドル安
経済指標
非農業部門雇用者数:予想16.5万人 結果18.7万人(前回18.7万人→+15.7万人)
失業率:予想3.6% 結果3.8%(前回3.5%)
平均時給(前月比):予想0.3% 結果0.2%(前回0.4%)
平均時給(前年比):予想4.3% 結果4.3%(前回4.4%)
>>ドルは一時144.437円まで下落
⑩(金)ドル高
経済指標&週末フロー
米PMI:予想47.0 結果47.9(前回47.0)
ISM製造業景況指数:予想47.1 結果47.6(前回46.4)
3連休の為の週末フロー
>>ドルは一時146.292円まで上昇
為替市況
ドル円は2.9円(292pips)程の値幅が動き、年初来高値を更新中(147.363円)です。
ではメイントピックスである「米国JOLTS求人労働異動調査」「米雇用統計」についてまとめます。
「JOLTS」という経済指標は馴染みのない方も多いですが、「労働市場」に関わる指標として昨年から注目されています。
※JOLTS:求人数、採用数、離職数に関する統計ニーズに応えるために開発された経済指標
このJOLTSがなぜ注目されているのか?というと、求人数の増減で現在の労働市場の景気を計ることができるからです。
求人数が多い:人材が必要=景気が良いと判断(ドル高要因)
求人数が少ない:人材が不必要=景気が悪くなっていると判断(ドル安要因)
現在のFRBは、「インフレを撃退するために利上げをしながら、経済をソフトランディング(軟着陸)させる」事を目標にしております。
しかし米国の労働市場を見る限りはかなり景気が良い状態で、パウエル氏がジャクソンホール会議にて言っていたように「インフレを目標の2%に持っていくには労働市場の減速」が必要といわれています。
ではなぜ一定の減速が必要かというと、「景気が減速=給料が下がる=モノを買う意欲を無くす=物価安」に繋がります。
その為にFRBは政策金利を引き上げ、利上げによる引き締めを行い、個人や会社の財布の紐を締めさせる事で、物が売れにくくなり物価高(インフレ)を抑える方法を取っています。
そして今回のJOLTS求人の結果が以下になります。
【JOLTS求人】予想9465千件 結果8827千件(前回9582千件→9165千件)
JOLTSの弱い数字を受けて、ドル円は1.7円ほど下落する事になります。
ここまで動いた理由としては、ジャクソンホールでのパウエル氏の発言もあったことで、「労働に関する経済指標は注目されていた」という所がキーかなと。
このグラフを見る限りでは、昨年5月のピーク時(11855千件)から徐々に求人数が落ちてきていることがわかります。
FRBは経済をうまくゆっくりと減速させていっていることが分かります。
この結果を受けて、FedWatchでの年内あと1回の利上げ予想が無くなりました。
以下がFedWatchのデータになります。
非農業部門雇用者数:予想16.5万人 結果18.7万人(前回18.7万人→+15.7万人)
失業率:予想3.6% 結果3.8%(前回3.5%)
平均時給(前月比):予想0.3% 結果0.2%(前回0.4%)
平均時給(前年比):予想4.3% 結果4.3%(前回4.4%)
結果的には、雇用者数→ドル高要因
失業率→ドル安要因
平均時給→ドル安要因
上記となります。
ただ雇用者数は、前回の発表から修正が入りました。
18.7万人から15.7万人に減少していると言うことは、結果的にはドル安要因だと認識しています。
この影響もあり、ドル円は大きく下落する事になります。
しかしドル円はその後上昇していきます。
ドル円が上昇した要因は以下3つだと考察しております。
ISM・PMIの数字が良かった
レイバーデイ後に予想される米大手企業の大量の社債発行・原油価格の上昇
3連休(本日月曜日がレイバーデイにて米国祝日)の週末フロー
「2」の社債発行の意味がなぜドル円上昇に繋がるのか少し説明を加えると、
社債:破綻リスクが低い
利率は米国債より高い
米国債の需要が減少する恐れ
そして米国債が売られると米長短金利が上昇するので、ドル円は上昇するという仕組みです。
今回の雇用統計の発表によって失業率が上がっていることはインパクトはありましたが、織り込みの推移に動きが出ております。
年内の利上げ据え置き予想が、60%台に突入しました。
この労働に関わる経済指標が弱い数字になっている事は、FRB目線では目標として掲げるインフレ抑制に対しての「安心」できる材料になります。
市場からすると、利上げをしなくても高い利上げ水準を維持するだけでインフレが抑え込めるのではないか?という流れになってきていると言う事ですね。
ただ油断をしてはいけない事をFRBも理解しているので、タカ派意見を貫いて市場をコントロールしてくる可能性もあるので引き続き注目です。
まとめ
労働市場の悪さが目立った1週間でしたが、引き続き次回のFOMCまでのスケジュールを確認する必要があります。
以下になります。8/4:雇用統計(終了)
8/10:CPI(終了)
8/24-26:ジャクソンホール会議(終了)
9/1:雇用統計(終了)
9/13:CPI
9/20:FOMC
次会合のFOMCまでは、残り「CPI」となりました。
そのデータもしっかり分析していく必要があります。
引き続きFEDの動きに注目していきます。
今週もよろしくお願いします。
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