2023年8月7日~8月11日
上記日程の重要局面をまとめます。
①(月)ドル高
債券市場で1030億ドル(約14兆7400億円)相当を発行
3年債420億ドル(8日)
10年債380億ドル(9日)
30年債230億ドル(10日)
短期金利(2年)下落
長期金利(10年)上昇
②(火)豪ドル安
中国貿易収支
中国輸出 (前年比) :予想-12.5% 結果-14.5%(前回-12.4%)
中国輸入 (前年比) :予想-5.0% 結果-12.4%(前回-6.8%)
貿易収支:予想+706.0億 結果+806.0億(前回+706.2億)
>>景気的には悪化
③(火)ユーロ安
ECB 消費者期待調査結果&イタリア超過利潤課税
1年先のインフレ予想:結果3.9% 前回3.4%
銀行に対して40%の超過利潤課税
イタリアの銀行株や欧州株が下落
>>ユーロ下落
④(火)米株安
ムーディーズが米中堅地銀や中小行10行の信用格付けを引き下げ発表
米株価が下落
ゴールドマン・サックス:-2%
JPモルガン・チェース:-0.6%
バンク・オブ・アメリカ:-1.9%
>>相場全体がリスクオフ
⑤(水)ユーロ高
超過利潤課税について一部撤回
総資産の0.1%を超えることはない
銀行・欧州株が買い戻し
⑥(水)ドル高
23時NYオプションカットにて大きいOP解消
一時143.753円を突破
前日高値を上抜ける
⑦(木)ドル安→ドル高
経済指標
CPI前月比:予想+0.2% 結果+0.2%(前回+0.2%)
CPI前年比:予想+3.3% 結果+3.2%(前回+3.0%)
CPI前月比・コア:予想+0.2% 結果+0.2%(前回+0.2%)
CPI前年比・コア:予想+4.8% 結果+4.7% (前回+4.8%)
新規:予想23.0万件 結果24.8万件(前回22.7万件)
継続:予想170.2万件 結果168.4万件(前回169.2万件)
予想を下回ったことで瞬間ドル安
>>ソフトランディング期待にてドル高へシフト
⑧(木)米株高→米株安
経済指標&要人発言
上記CPIの結果を受け、瞬間上昇
デイリー米サンフランシスコ連銀総裁の発言の影響
>>まだFRBはやることがあるとのタカ派発言によりリスク選好後退
⑨(金)ドル安→ドル高
経済指標
PPI前月比:予想0.2% 結果0.3%(前回0.1%)
PPI前年比:予想0.7% 結果0.8%(前回0.1%)
PPI前月比・コア:予想0.1% 結果0.3%(前回-0.1%)
PPI前年比・コア:予想2.3% 結果2.4% (前回2.4%)
ミシガン大学消費者信頼感指数:予想71.4 結果71.2(前回71.6)
1年期待インフレ:予想3.5% 結果3.3%(前回3.4%)
5年期待インフレ:予想3.0% 結果2.9%(前回3.0%)
為替市況
為替市場はドル高に触れた1週間となりました。
ドル円は3.5円(350pips)程の上昇となり、引けは年初来高値(145.067円)を更新しそうな勢いで引けています。
(8/14 9:00時点に年初来の高値を更新)
少し複雑な動きが多かったですが、ドルの底強さが目立ちました。
米株価は【夏枯れ相場】と言われる8月ですが、現在のところは急激な下落にならずに「ソフトランディング」が現実的になってきている状態だと想定されています。
ではメイントピックスである「米CPI(消費者物価指数)からの現状」を解説します。
米CPI(消費者物価指数)から見た現状
<米CPI>
前月比:予想+0.2% 結果+0.2%(前回+0.2%)
前年比:予想+3.3% 結果+3.2%(前回+3.0%)
前月比・コア:予想+0.2% 結果+0.2%(前回+0.2%)
前年比・コア:予想+4.8% 結果+4.7% (前回+4.8%)
予想を全て下回った結果で、発表直後は瞬間ドル安方向に動きました。
しかし同時刻発表の「新規失業保険申請件数」の数字、CPI総合の数字は下げ止まり感が出ている状態となり、再びドルの買い戻しが入る事になりドル円は上昇することになります。
CPI総合は2022年7月にピークとなってから、連続して数値は下落していました。
そして今回の米CPIにて、久しぶりに数値が上がりました。
「インフレ撃退」を目標に掲げているFRBからすると嫌な発表です。
しかしコアCPIの「エネルギー・生鮮食品」を除いた数字は下落しています。
このコアの数字の1/3は家賃とされており、数字が反映するまでに期間を要するので落ちにくい数字とされています。
しかし今回は半導体不足が解消したことで、中古車や新車の価格が下がった事が影響していると想定されます。
ドル高要因は以下で考察しております。
雇用統計の数字
米経済がソフトランディング
また前週(23/8/4)は雇用統計の発表がありましたので結果を掲載しておきます。非農業部門雇用者数:予想+20.0万人 結果18.7万人(前回+20.9万人)
失業率:予想3.6% 結果3.5%(前回3.6%)
平均時給(前月比):予想+0.3% 結果+0.4%(前回0.4%)
平均時給(前年比):予想4.2% 結果+4.4%(前回4.4%)
上記の結果より以下となります。雇用:ドル安要因
失業率:ドル高要因
時給:ドル高要因
結果はマチマチな数字となりましたが、現在は『雇用者数』より【失業率や平均時給】がインフレに対する注目度が高いため、発表直後はドル安となりましたが、週をあけた頭からドル高方面に進んでいる印象があります。
米経済がソフトランディング
FRBは米経済のソフトランディングを目標としています。
ソフトランディングとは、日本語で軟着陸を意味し、本来飛行機が緩やかに地面に降下する意味を表します。
経済用語では、過熱した景気を大きなショックを与えることなく、実体経済への悪影響が最小限に抑えられる形で、穏やかに減速させることをさします。
要するに2022年以降の急激な「利上げ」は、経済を不景気にする事とイコールになるので、経済状況は確実に悪化します。
ただし経済の減速や悪化を激しくせず、穏便な手段によって問題の解決を目指しています。
現在の株価(S&P500)は、減速するどころか、むしろ上昇トレンドなり史上最高値更新が射程圏内に入っている状況です。
2023年の相場は、2022年の急速な利上げに影響により米地銀が潰れる問題などが多発しましたが、結局は過去の失敗などから学び、FRBはしっかりコントロールしている状況です。
米経済のソフトランディングへの期待が高まり、ドルが買われているのも事実あると考察しております。
まとめ
9月のFOMCにて利上げするか否かについてですが、現状はまだわかりません。
しかし先々週の週報でもお伝えしているように、次回のFOMCまでのスケジュールは以下になります。
8/4:雇用統計(終了)
8/10:CPI(終了)
8/24-26:ジャクソンホール会議
9/1:雇用統計
9/13:CPI
9/20:FOMC
今月の雇用統計とCPIの結果では、もしかしたら利上げはありえるかも知れません。
その要因は「原油価格」「天然ガス価格」が上昇してきている事が背景にあります。
この価格が上がることはインフレ上昇に繋がる要因になりますので、そのため現時点で米国の要人達の発言内容が若干タカ派よりの理由にもなっているのではないかと想定しています。
現在は【インフレ鈍化のヘッドライン】がよく出てきていますが、そろそろ【9月FOMCの利上げ必須】を漂わせるヘッドラインが出てくる可能性もあります。
しっかり日々の分析を怠らないようにしていきます。
今週もよろしくお願いします。
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