【書評】シン・ニホン〜1・2章 安宅和人

……00.はじめに

今回の書評にあたっては、各章それぞれポイントをピックアップして、私個人の目線から未来を思考していきたい。

……01.データ×AIが人類を再び解き放つ _時代の全体観と変化の本質

AIとはartificial Intelligenceの略で、Intelligenceの本来の意味は学習したり、新しい状況に対応する能力のこと。そのため、「人工知能」と言う訳し方よりは「機械知性」の方が正しいかもしれない。

それで、AIは何ができるのか。

ビッグデータ化された大量の情報を使って、人間がAIに情報を与える。AIはそれらの情報を学習し、学習したいくつものコンテンツを掛け合わせて、掛け合わせて、掛け合わせて、結果を導き出す。

現時点では、人間は、過去の大量データの因果関係を整理し、AIに情報として与えると言う役割を担う。

これによって、情報処理の仕事は自動化され、人間は機械にはできない役割をになっていく。つまり、人間が行ってきた機械的な作業は、AIが変わってくれ、人間はより人間に戻っていく。

人間本来の温かさ、創造的なものへ、価値がつけられるようになる。その時に大切にしたいことは「幸せな未来=(課題・夢)×技術×デザイン」を考え続けること。ITを用いて社会課題や人の夢に向き合い、クリエイティブな解き方で解決してく。

押さえておきたいことがもう一つ。それは、世界の文明、経済の中心が中国やインドに戻ってきていること。立地的に日本は非常に有利である。一つは人の往来の観点であり、消費が増えること。もう一つは、私の考えだが、日本の文化が中国からの輸入で発展したように、現代における学びの対象ができたこと。この後に及んで日本は経済大国だと自負していたら先がない。成長している国から素直に学ぶこと。

……02.「第二の黒船」にどう挑むか_日本の現状と勝ち筋

第一の黒船は、鎖国中の日本に諸外国がやってきて日本の産業革命をもたらした。当時の日本は鎖国中ですから、気付いた時には諸外国ははるか先を歩いていたのだ。第二の黒船とは、AI時代の到来と言うことだと解釈する。まさに現在の日本はAI時代に乗り遅れた状態なのだ。

では、なぜ経済大国の日本がAI時代に乗り遅れたのかを因数分解してみる。

①日本のインターネットプラットフォーム上に存在するデータ量が少なく、また、個人的なデータをシェアするには制限がかかっている。

②AI技術開発時に必要となる産業用電気代が米国より5〜10倍高い。

③エンジニア、専門家がそもそも足りていない。大学進学者の約2割しか理系がいない。さらに日本人の理系の勉強は早ければ高校2年生で終わる。

④日本企業のミドル・マネジメント層にチャンスと危機、現代の挑戦と幅を理解している人が著しく少ない。残念ながら彼らが経営の大きな力を握っている。

すでに乗り遅れているわけだが、発想の転換で、第一の黒船を思い出す。当時の日本は諸外国の技術を日本流にうまく取り入れることで発展した。経済の発展を【フェーズ1:0から1を作る】【フェーズ2:1を普及させる】【フェーズ3:革新的な使い方をする】の3段階に分けるとすると、当時もすでにフェーズ1は終わってた。今と同じ状況だ。フェーズ2・3から参入するのは、日本の得意技であり、ここに、日本の未来があるのだ。

想像して、妄想して、時には過去に積み上げてきたものは一気に白紙にしてやり直し、一気に変えていこう。再びワイルドに未来を仕掛ける底力を発揮する時が来ている。


・・・3〜6章へと続く

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