食べものは消えてしまうから|『生まれたときからアルデンテ』読書感想文
著者、平野紗季子さん。
わたしはもうすっかり彼女のファンになった。
ひとつひとつの食べものに対して、こんなにも真っ直ぐに、一対一で向き合っている人に、これまで出会ったことがない。
それは、人と食事をすることで、食べものの味に向き合えないことに心苦しさを感じるほどの真剣さ。
『共食は時々食べものを殺す。』の一文に、わたしはドキッとした。
平野さんの文章は、表現が豊かで面白い。
思わず頷いてしまう例え、言葉選びの大胆さ。
そして時折、核心をつくような一節に、背筋をひゅっと伸ば