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人生のリセットボタン

「人生やり直しはできない」「一度レールを外れたらもう戻れない」

新聞だか書籍だかで見たことのある言葉だ。

今回のnoteは、この言葉に縛られて身動き出来なくなっていた2012年の自分に読ませたい記事を書いてみようと思う。

ロールプレイングゲームの世界

唐突だが、ドラクエが好きだ。

裸一貫(?)からスタートして、経験を積み、仲間と知り合い、お金を稼ぎ、さらに強い敵と出会いながら成長し、時には転職し、目的を達成する。

なんだか人生そのもののような気もする。RPGを考えた人すごいよね。

人生と違うのは、ドラクエにはリセットボタンがある。正確にはリセットボタンはゲーム機本体にあるものだが、それは置いといて。

リセットすることで以前のセーブポイントから再スタートできる。強かった自分がまだ弱かった頃からの再スタートだ。その間に稼いだ経験値やお金は減っているし、冒険する世界も狭くなっている。

しかし、プレイした人間には「その後の世界」が見えている。どこに行って何をすればいいのかを既に知っている。それって最強。

冒険に行き詰まる時

企業に入って敵(クライアントや上司)と戦い経験値(キャリア)を積み新しい武器(資格とか役職とか)を手に入れ時には転職して自分を成長させる。

サラリーマン一家で育った自分にとってごく当たり前の価値観であり、仕事というロールプレイングを自分事として楽しんでいた。文字通りキャリアを冒険していた。強敵と出会って全滅することも、いきなり別の世界に飛ばされることもあったけれど、それはそれとして面白かった。

2012年。突然冒険する世界が消えた。敵もいなくなった。武器を使う機会が無くなった。何をすればいいのかわからなくなってうろうろ歩き回り、なんとか見つけた世界に飛び込んだら、そこは強敵がめったに現れず雑魚モンスターがうじゃうじゃいる世界。稼げる経験値もお金も少なかった。武器はある程度通用したけれど決して心が満たされる戦いではなかった。スライムを倒すのに破邪の剣を使っている感じ。時折現れる強敵はこれまでの戦い方が通用しないしダメージも与えられない。こちらのHPが減っていくだけ。

でも、これまでの経験値と武器を捨てる勇気はなかった。これからもこの武器で戦い、20年以上稼いできた経験値をさらに積み重ねて行くんだ。捨てるなんてもったいない。人生にはリセットボタンなんて無いんだよ。

とある漫才

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休みの日にテレビを観ていたら、大好きな福岡出身の漫才コンビがネタをやっていた。大まかにはこんな感じ。

「ちょっとご相談があるんですが」
「はいなんでしょう」
「バイトがしんどい。店長が厳しくてついていけんのです」
「ちょっと待って。俺たちもう40過ぎよ。20代の若手のネタやないっちゃけん、その相談は無いわ」
「そうでしょうか」
「そんなにしんどいんやったら、そらもう福岡帰ろうとしか言えんし」
「せっかく東京に来たのに?」
「やけん、やり直しするったい。若手に交じってKBC(ローカル局)の1コーナーから始めればよかよ」

笑った。笑いながら泣けてきた。

そうか。捨てる勇気があればリセットボタンは出現するんだ。20年間のキャリアもスキルも一度捨てて地元でやり直そう。押そう!リセットボタン!

再開するセーブポイントは1986年。

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1986年。大学入学。

親の都合でしばらく福岡を離れていたが、久々に戻った福岡市。JR博多駅の前のビル群を見て、何かの漫画の主人公になった気分で「よし!やるぞー!」と声出ししたのを覚えている。

その地に再び足を運んだ。当時とはだいぶ風景も変わったけど、変わらぬ雰囲気がそこにはあった。

「福岡よ、私は帰ってきた!」

そこからは必死で何でもやった。ライターとしての収入では到底生活できない。学生に交じって日雇いバイトで引っ越しの手伝いもしたし、イベントの設営もした。深夜の量販店での棚卸を2週間やったら、効率の良さを評価されて社員にならないかと声をかけてもらった。コールセンターでオペレーターやったら営業トークが評価されて時給が上がり教育係に任命された。

リセットしても、失うのはキャリアだけ。世界の歩き方は頭に入っている。どこに行って何をすればいいのかを既に知っている。さっきも言ったけど、俺最強。

当時の4年間を1年間で駆け抜けているような感覚。あと少しでリセット前に追いつく。

2012年の俺へ

この先数年はしんどいと思う。しんどいけど、必ずそのタイミングがやってくる。その時が来たら迷わずリセットボタンを押せ!!

捨てろ! 今こだわってるキャリアを捨てろ!プライドも捨てろ!

作られた冒険の世界じゃなく、自分で世界を作っていく楽しみが待っているから。


special thanks

ハマさん

さやかさん














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