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電鍋が自分に合うかどうかを判断する雑な問いを一つおいてみた

電鍋を買った。

突然名前を出したが、電鍋ってご存知でしょうか。正確には「大同電鍋」という台湾の調理家電で、HowToTaiwanの田中伶さんやスープ作家の有賀薫さんが強烈にプッシュしたことにより、note界隈でもにわかにブームを起こしている。

田中伶さんのどバズりした記事を夫婦Slackで紹介した瞬間妻の買い気が爆上がりし、僕自身の買い気も2020年末に実際のユーザ(複数人)から熱いインプレッションを受けて熟成され、「ふたりとも確定申告が終わったら買おうね」という運びとなった。

かくして確定申告を終えて早速注文するも、品切れで入荷は4月。しばらく待ったのちにようやく我が家へ来た。ちなみにわざわざ確定申告のくだりに触れたのは言うまでもなく、とっくのとうに確定申告を終えていることからわかる事務能力の高さと、我が家のチームビルディングの堅牢性を匂わせるものに他ならないので、ぜひ褒めてほしい。

さて。

この電鍋、鍋に入れた水を電熱線で温めて水蒸気化し、それを鍋全体に充満させることで食材に熱を入れる、結局のところは手軽な蒸し器といえる。構造も至極単純だ。蒸し器ゆえに、チルドのシューマイや肉まんはツヤツヤに仕上がるし、蒸し野菜もかなり美味しくできる。自作の餃子を試しに放り込んでみたらモチモチの蒸し餃子ができた。でもそれはまあ、そうだろう。蒸し器なんだから。

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しかしこのただの蒸し器、このオレンジの構造体(外鍋)の中に収まるような鍋を入れて、例えばスープとかおでんとかカレーとかを煮込むと何故かものすごく美味しくなる謎の道具でもある。届いた日に手抜きサムゲタン(鶏肉とネギとニンニクとショウガとナッツを一緒に煮込むスープ)を作ったのだが、わけが分からないくらい美味しくできた。全く同じ材料でこれまで作ってきたものの、クオリティの次元が変わっていた。

構造の単純さゆえに使い方は超簡単。食材を入れて、外鍋に水を入れて、スイッチを入れる。それだけ。水蒸気が充満する鍋の中に食材がとにかく収まればいいので、スープを作る鍋の上に皿を置いて野菜を蒸したりと、多段構造で料理ができる。

構造が単純で壊れにくい、操作は簡単、しかもいろいろ美味しくできるので台湾の家庭には平均で一個以上あるらしい。元々は半世紀以上前の日本のテクノロジーらしいが、悠久の時間をかけて台湾で地道に最適化されてきた。そんな台湾の伝説的な家電が、近年の台湾ラブな我が家の空気感の中、うちにやってきた。

ただし、超簡単な使い方であることは諸刃の刃でもある。簡単であるがゆえにあらゆることがとにかくファジー、適当なのだ。水を蒸発させてどうこうする装置なので、そもそも最初に入れる水の温度が違えば仕上がりの時間も違ってくる。使い始めて一週間経つが「どのくらいの水を入れればどのくらいの時間で仕上がるか」がわからない。中の水が蒸発し切ると電源は勝手に切れるが、別にピーとか鳴らないので気付いたら終わっている。

皿をぐちゃぐちゃにおいても熱さえ通ればオッケーという道具なので、そもそも厳密な使い方を想定されていない。だから、融通の効かない料理、例えば「俺のこだわりの」的な、工程がいくつもあってそれぞれに秒単位で時間を設定して、みたいな料理には確実に向かない。

また「OFFになってあんまり熱が通ってなかったらまた水を足してONすればいいじゃん」という思想なので、メンタルの適性も割と問われる気がする。少なくとも若い時の僕は使えなかったと思う。プロセスと結果の揺れを受容して、楽しめるか。それが電鍋を使えるかの分水嶺だ。

突然だが、その分水嶺を電鍋ではないもっと別のものに置き換えて、電鍋に向いてるか否かもっと簡単に測れる指標を作りたい。

例えばこういうのはどうだろうか。

よなよなエールの直営レストラン「よなよなビアワークス」には、「クリームチーズ&いぶりがっこ」というおつまみがある。いぶりがっことクリームチーズの食感と風味のコントラストが絶妙で、思わずビールが進む。これは家でもぜひ再現したい。

しかし、家の冷蔵庫にちょうどよくいぶりがっことクリームチーズなんてあるわけがない。美味しかったので再現したいけど、他にこれらを使う予定もないので確実に余る。

そこであなたは考える。もっと汎用性のあるもの、たとえば、たくあんと6Pチーズだったら他にも用途がある。これを組み合わせれば再現は無理でもかなり近いところまでいけるんじゃないだろうか。

さて、あなたは「クリームチーズ&いぶりがっこ」をたくあんと6Pチーズで代替できますか?

べつにいんじゃね?と思えれば電鍋に向いてると思うし、いやだどうしてもいぶりがっこを手に入れねばと思うなら電鍋は向いてないと思う。一応補足するがこれは性向の話なのでどっちがいいとかはない。

ちなみにこの問いについて「そんなのケースバイケースじゃね?」という反論が聞こえるが、昔の僕のような、料理をエンジニアリングと重ね合わせるような人は確実にNoと言うと思う。そういう人が日々のごはんをファジーな電鍋に託すのは難しい。はず。

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開けたところがかわいい。「ハーイ!」という声がどこかから聞こえる気もする。
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ヒガシ note inc.

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ロードバイクのガツンとした部分を愛するnote株式会社のコーポレートIT担当。女の子の親でもあります。