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信じるということ

時間に関する感覚が、日本とタイでは全く違う。
もう随分慣れたが、最初は驚いた。

今のコンドミニアムに住み始めて1か月が経過した頃、平日の12時頃に突然部屋に人が訪ねてきた。

扉を開けると、コンドミニアムで働く技術士男性と、その隣には大手通信会社のロゴが入った作業着を着た男性がいた。作業着の男性は、脚立や工具箱を携えている。

技術士の男性が、「インターネット、インターネット」と言う。
「インターネット?」と私が言うと、
技術士の男性が、部屋の中を指さし、部屋に入っていいか?とジェスチャーをする。

コンドミニアムの技術士男性と作業着の男性は英語を話さず、私はタイ語を話さないため、お互いのスマホで翻訳アプリに打ち込み、見せ合い、コミュニケーションをとることになった。

話を聞くと、というか読むと、どうやら部屋のインターネット回線の変更工事のために、部屋に入りたいとのことだった。

随分急だなと思いつつも、あと30分後に私は外出する予定があるが、もし30分以内に終わるのであれば問題なさそうだ。
しかし、所要時間を聞くと、「少なくとも2時間はかかる」とのこと。

あぁ、じゃあそりゃ無理やなと思い、後日に来ていただこうと、その場で日程調整をし、その週の土曜に再度来ていただくことに決定した。

ちなみに、「その間ネット使えない?」と聞くと、「メダーイ」とのこと。ま、そうやんな。

普通に、まずは回線変更するなら教えてくれ。
そして訪問する日時を前もって言うてくれ。2時間ネット不通になるのであれば、なおのことな。
なんせ、訪問に来てくれた2人の時間も無駄にしてもうたし。と、日本的な感覚で、思った。さすがに。

そして、土曜日。
10~12時の2時間で作業予定だったため、朝一番の用事を急ぎで済ませ、家に戻る。
もちろん、10時には来ない。
それは想定内なので全く問題ない。マイペンライマイペンライ。

今のうちにNetflix見とこーぜー、とNetflix見て待つも来ず、気づけば13時。
14時には出かける用事があったので、出かけがてらコンドミニアムの受付スタッフにその旨と別日で調整してほしいと伝えると、「今日は来ないよ」とのこと。

ママママイペンライ!

そして、受付スタッフがどこかに電話をして確認し、「明日(日曜)の13時に行くって言ってる」と教えてくれた。

で、翌日日曜、朝10時に来た。

さすがに笑うって。

実際、全然よいのだ。
この回線変更工事のために予定を動かしたりも全くしておらず、我が家に何も迷惑がかかっていない。
マイペンライ以外の何でもない。
ただただ、時間の感覚が全然違うなと実感したのであった。

そして、そんなもんだよね~と笑っている私に、夫は「蘭ちゃんも丸くなったね。日本にいたときは、キレまくってたのにね」と言った。

そう、今でこそ私は、マイペンライ精神あふれる優しい性格だと自負しているが、日本にいたときは、時間を守らなかったり、説明に矛盾がある人や企業を私は許せなかった。さすがに直接怒ったり、クレームを入れたりはしなかったが、腹が立ちすぎて泣いたりもしていた。

完全に異常者である。

バンコクは、あたたかく、ゆるい空気感で包み込み、私を真人間に戻してくれた。

それだけで、こちらに来て良かったと思う。


今日のお料理
タリンプリンのマッサマンカレー
ロティでいただきます。


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