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私は映画を見始めたのが、ものすごく遅い。
小さい頃に、もののけ姫や千と千尋の神隠しを観に行った記憶はあるが、家で映画を見るほど映画好きではなかったと思う。

高校、大学時代に映画を観に行った記憶は数えるほどしかないし、それも友達や彼氏に誘われて、あまり熱量のないままで観に行っていた。
実際、当時誰と何を観たか、全く覚えていない。

夫は、無類の映画好きだ。
夫と出会ってから、映画を観るようになった。
夫と付き合いはじめ、夕飯のあとに「映画でも見ようか」と言われ、「えっ、そんなカジュアルに映画観るんや…!」と驚いた。

私の中で、映画を観るということは結構大変なことで、気合がいるものだった。
今となってはその感覚は全くないのだが、当時の私にとって、映画とは、2時間も時間を取られ、見終わった後はなんとなく疲れるもの、という感覚だった。
それに加えて、評価されている映画を観て、それが面白くないと思った時やしょうもない感想を持ってしまった時が一番嫌だった。
自分の感性がおかしい、映画を観るセンスがない、と思ってしまうし、無理にポジティブな感想を言う自分も嫌だなと思っていた。

夫と付き合いたてのころは、私も映画を観てみようと思って、一人で家で映画を観てみたりした。
まず一人で観てみたのは、「ラ・ラ・ランド」
次に観たのは、「百円の恋」
振り幅だいぶ大き目である。
当時は、「映画を観た」という事実を作るためだけに観ていたところがあった。ラジオ体操のスタンプを集めている感覚だった。
ちなみに「百円の恋」は、安藤サクラがすごいと思った。

夫が好きだという「ライオンキング」を初めて観たときは衝撃だった。
スカーにブチ切れ、シンバを一生懸命応援している私を観て、夫は隣で爆笑していた。
「ライオンキング」を心から面白い!と思えたことで、「私も映画面白いって思えるんや…!」と自信をつけた。
「ライオンキング」は今でも一番好きな映画だ。

それから少しずつ映画を観るようになり、最近は友人に会った時に「最近何の映画観たぁ?」とドヤ顔で話を振るぐらいに映画好きになった。

映画「怪物」が公開され始めた頃、日本の雑誌やラジオで「怪物を観たか」という話が盛んにされていたと思う。
それらをタイで見聞きしながら、是枝監督だし、安藤サクラだし、でこちらでも観られる日を心待ちにしていた。

好きなラジオ番組の一つである「ダイアンのTOKYO STYLE」でも、「怪物」の話をしていて、番組内で、津田が「怪物、面白かった。でも俺、途中からわかってん」と言っていた。

「怪物」の話の内容を全く知らなかった私だが、きっとストーリーは淡々と進んでいくが、最後に驚きがあるのだろうなということはわかった。

それからしばらく経って、ようやく配信で視聴した。

安藤サクラはやっぱり凄いし、瑛太も子役の方の演技も、そしてストーリーもとても良かった。

ただ、私が最後の方に「わかって」から、
「ダイアン津田の、『俺途中からわかってん』は絶対ウソやろ、わかってやへんやろ」という思いが心を占めてどうしようもなかった。

やっぱりしょうもない感想しか持てない自分がつくづく嫌になったが、結局私ってそんなもんやんな、と怪物とダイアン津田を通して再認識できた経験だった。


今日のお料理
ティップサマイのパッタイ
ベストパッタイを探す旅はまだまだ続く


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