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ハイコンテクスト・ゴルフレッスン


私のゴルフ歴はかれこれ8年だが、初めたときから全くと言っていいほど上達をしていない。

私が前職を退職する際に、「ほな送別ゴルフ行かなあかんすね〜」と自分から言ってまわり、送別ゴルフを4度も開いてもらった。

後半ホールが始まる時に、「よしやっと本番ですね〜」と言い、18Hが終わったら、「やっと身体があったまってきたのに〜」と言うのも、4回やった。

下手くそだけれど、ゴルフは大好きである。
スポーツとしてのゴルフよりも、気の合う人たちとワイワイガヤガヤ、ふざけながら過ごすのが好きなのかもしれない。

バンコクでもゴルフをやっており、もうすぐコンペだということで、ゴルフのレッスンに行ってきた。

日本では、インドアゴルフレッスンに定期的に通ったことがあるし、打ちっぱなしでの単発レッスンや、コースレッスンも何度も受けたことがある。
ゴルフレッスンジャンキーと呼んでもよい。

バンコクでのレッスンは、若いタイ人男性のレッスンプロが指導してくださった。

プロの高身長かつがっしりとした身体、きりっとした顔つきと白い歯は、「おぉ~。ゴルフ中継で出てくる選手みたーい」と、私のテンションを上げた。

プロは、その見た目からは想像もできないほど、ウィスパー&ウルトラソフトボイスで話をしてくれる、とても穏やかな方だった。

わくわくしながらレッスンが始まった。

「あれれ…」

プロは優しく英語で指導をしてくれるが、彼の英語がどうにも聞き取れない。

これは、決して彼の英語力の問題ではなく、私がウィスパー&ウルトラソフトボイスを聞き取る聴力がないことと、私の英語リスニング能力のせいである。

プロは「カップをこっちに向けて」と言いながら、私のフォームを修正してくれるのだが、私は(カップ…??)状態である。

だんだん、プロも「こいつに口頭で説明してもあんま伝わってへんな」と気づき始め、「こう!こんな感じ!そうそう!オッケー!」という、ニュアンス指導に指導方法を変えていった。

ただ、プロの指導はやはり素晴らしく、指導されたようにスイングすると、バシッとボールがつかまって飛ぶ感覚があった。

カップは何かわからないけど、
私、上手くなってる!!!

プロは隣のレンジで練習していた夫の指導に移っていった。
休憩がてら夫への指導を見ていると、プロの指示は、夫にはもっと伝わっていなかった。

夫は聴力の問題で、プロの言葉は音としても聞き取れていないようだった。

しばらく見ていると、クラブを持つ夫の横や前に立ち、そのクラブを一緒に持ちながらスイングの軌道を教えていた。

最初は、持ち前のウィスパー&ウルトラソフトボイスであれこれ説明していたプロだが、やがて音を発することを諦め、(こうして、こうだよ)ということを、目力と力強いうなずきで、夫に伝えていた。

どんどん目力頼みのコミュニケーションになり、プロの目玉は、瞼から零れ落ちそうな勢いだった。

プロの「教えたい気持ち」と、夫の「教わりたい気持ち」のみで成立している空間である。

2人の独特の空間は最高に面白かった。

プロは時間ギリギリまで丁寧に教えてくれ、最後に片付けをしていると、「あ、このカップ置きっぱなしだったよ。忘れないようにね。」と、クラブを手渡してくれた

クラブやったんかい!

帰り道、夫に「プロさ、クラブのことカップって呼んでたよな」と言うと、夫は「カップ?」とキョトン顔だった。
あ、そや、聞こえてなかったもんな…


今日のお料理
トーンスミスのボートヌードル
辛さ控えめでも結構辛いで。

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