台湾文化センターがおれに台湾の文化を伝えてくれた

東京虎ノ門の台湾文化センターにて7月29日(月)まで、無料だが土日祝は休館。

おれはサンダーボルトファンタジーの4期が近いと聞いて既存作品の視聴を急ぎ2期まで見終えたのだが、サンファン含む布袋劇の展示会が行われていると聞いて、この機を逃さざるべく休暇を取得して赴いたのであった。

本尊とは

この本尊という表現は、それを目の前にしたときのおれを表すのに相当にしっくりくる単語であるといえよう。
本人…さすがにヒトではないと思うので違和感がある。
本物…ふだんは決してモノに向けることのない感情が湧き上がってくるのでやはり違和感がある。
誰が言い始めたのかは知らないが、実際目の前にしてその心は確かに受け取ったと感じた。

殤不患 ショウフカン
ところどころのほつれが、元々のデザインかもしれないが、これまでの積み重ねを感じさせて感慨深かった。白髪交じりの苦労の多そうな顔はこれまで見てきたものと相違なく(本尊だから当たり前だが!)、同情と共感とこれからの幸福を祈る気持ちでおれの心は満たされたのだった。

凜雪鴉 リンセツア
すかしやがって、コノやろう…と思わずにはいられない涼やかな佇まいに複雑な感情にさせられる。しかし前面のファスナーにYKKのロゴが入っていることを見逃すおれではなかった。

丹翡 タンヒ
日本のアニメ表現を取り入れたというその瞳は、強さと儚さを合わせ持つ透明感があって、目力の格が違った。今回の展示品は当然ながら接触禁止だが、仮に許されていたとしても、裾をまくるような不埒な真似は俺にはできないだろう。

この三本尊の隣には映像再生装置があって、過去作の総集編が流されていた。今回のオリジナルかどうかは知らないが大変に興味深いものだった。
凜雪鴉の悪意ある主観による第一期のまとめは突っ込みどころが多く飽きの来ないものであったし、それに対するツッコミに始まる聆牙の第二期のまとめは安定感があり、映画二作の紹介を挟んでの第三期のまとめにも興味がそそられるものの、第三期未視聴のおれはその時間帯はそそくさと隣室に退避せざるを得なかった。会期中に間に合うのであれば、第三期を視聴して再び台湾文化センターに訪れたいと思う。

その隣室では、伝統芸能としての布袋劇と、おれは未視聴の日本語化されていないらしい作品の紹介が行われていた。未視聴にも関わらずなぜか見慣れた人物が布袋劇の歴史(時とともに精巧・大型化しているようだ)とともに展示されていたのは興味深かった。

また、製作途中の人形の頭部の展示も非常に興味深かった。完成品を見ると、それこそ裾をまくらないと分からない、緻密な表情の制御を実現する仕掛けの一端を見ることができた。

特に関係のなさそうな図書室も見逃してはいけない。アニメ調で描かれたサンファンの主要5キャラのタペストリーが飾られているからだ。
これから行くやつがいたら忘れずチェックしてほしい。

おれは伝統がありつつも変化と進化をやめない布袋劇の有り様を見せつけられ、残り半分を切ったであろう人生を逞しく生き抜く力を得た。