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【我々は、超人オリンピックという大会について、そろそろ真剣に考えるべき時に来ている】- 4:超人オリンピック、いつ始まったかも定かでない問題

ひとまず政治的な問題は先送りにし、お次は栄えある第1回から黎明期の超人オリンピックの歴史を振り返っていくことにしよう。この時期の超人オリンピックで結果に言及されているのは第6回。テリーマンの父親ドリーマンが優勝したとされる大会だ。

宇宙超人ヘビー級チャンピオンのベルトの背面を見ると、確かに左の列中程に「ドリーマン」という名前が読み取れる。それも御誂え向きに掲載順の6番目。流石にここまでくれば、左側列の上から6人目までは、それぞれ各大会の優勝者だと鵜呑みにしてもバチは当たらないのではないだろうか。

第1回大会優勝者はフランク・ゴッチ。第2回大会優勝者はルーテーズ。第3回大会優勝者はジン・キニスキー。第4回大会優勝者はバディ・ロジャース。第5回大会優勝者はルーテーズ。そして第6回大会優勝者が、ドリーマン。年表に起こしてみても、なかなかにしっくり来るものはある。

1948年 第11回超人オリンピック
・優勝 ハラボテ・マッスル
1944年 第10回超人オリンピック
・優勝 キン肉真弓
1940年 第9回超人オリンピック
・優勝 キン肉真弓

1936年 第8回超人オリンピック
1932年 第7回超人オリンピック

1928年 第6回超人オリンピック
・優勝 ドリーマン
1924年 第5回超人オリンピック
・優勝 ルーテーズ
1920年 第4回超人オリンピック
・優勝 バディ・ロジャース
1916年 第3回超人オリンピック
・優勝 ジン・キニスキー
1912年 第2回超人オリンピック
・優勝 ルーテーズ
1908年 第1回超人オリンピック
・優勝 フランク・ゴッチ

しかし、今更な話で恐縮だが、キン肉マン5巻に書かれていた情報というものは、ここまで鵜呑みにしてしまって本当に許されるものなのだろうか? なにせあのキン肉マンの、あの最初期の、あの5巻の情報だ。仮面の貴公子ロビンマスクも「相手の誘いには絶対のるな!!」と言っている。用心するに越したことはない。

例えばこの年表では暫定的な数字として四年に一度のペースで大会が開催されたことにしてあるが、実際は第22回のように途中で中断期間を挟んだことは十分考えられる。その場合に問題になってくるのは、各優勝者の年齢だろう。ドリーマンが仮にテリーマンの父親であるなら、レスラーとしての活躍期間にも限界は存在する。

分かりやすいところで言えば、キン肉真弓の優勝した第9回、第10回が、それぞれ8年間前倒しになる可能性が高い。何故ならその年代は第二次世界大戦の真っ只中。人間のオリンピックも戦火に巻き込まれ中止の憂き目にあっている以上、超人オリンピックの開催も危ぶまれて当然だろうからだ。

1914年生まれであるキン肉真弓は、1936年には22歳、1932年には18歳と、仮に第二次世界大戦の中断を挟んだとしてもV2の可能性が十二分に存在する。第21回大会に参加したスイスのウォッチマンが当時10歳だったことを考慮に入れれば、ありとあらゆる種族の参加する超人レスリングではむしろお行儀は良い方だろう。

先ほど例に挙げた剥奪による臨時開催のケースも考えられ、実際はもっと短いスパンで大会が開催されていた可能性もある。しかし、それでもなお限界はある。ドリーマンが仮に人間のオリンピックと同じ年に大会を迎えていたとするなら、もっとそれらしい可能性として、彼は1924年大会の優勝者と考えねばならない。

ドリーマンとキン肉真弓が同い年であるとすると、人間型超人である彼が12歳で超人オリンピックを制覇したことになってしまうので、これは流石に無理がある仮定だろう。彼の年齢は真弓よりもう少し年上、1906年生まれで18歳の時に超人オリンピックを制覇したという仮定ならどうだろうか。

ペンキが2000年、バネが4000年生きるこの御時世に、54歳でテリーが生まれただの、24歳でWW2は出兵したかどうかだの。何をそんな細々と他人の年齢をほじくってと思われる読者諸氏もおられるかもしれない。しかし、それはテリー一族がいかに歴史深い一族かを知っていれば、決して言えないはずの言葉なのだ。

正義超人テリーマンを代表とするテリー一族は、代々テキサス州アマリロでカウボーイ業を営む米国南部の一大超人ファミリーである。家族の絆は時に友情を凌駕するほどに堅く、親から子への代々受け継がれる伝統も少なくない。広大な牧場。荒野で養われたレスリング・テクニック。そして、くたびれたカウボーイ・ハット。

テリーマンの祖父は、その名をシニアマンといった。19世紀のテキサスを生きたリアル・カウボーイ。そんな偉大な父に対する憧れもあったのかもしれない。テリーマンの父ドリーマンは、老いるにつれ、いつしかシニアマンの名を名乗るようになった。「名前」もまた、テリー一族が受け継ぐ遺産の一つとなったのだと言えよう。

「ドリーマンは後にシニアマンを名乗った」。その一言を脳に焼き付けた上で、ご覧になってもらいたい画像がある。むしろ、思い出してもらいたいと言った方が適切だろうか。こちらの宇宙超人ヘビー級チャンピオンベルトの背面拡大図、右側列下から5番目の名前を、是非声を大にして読んでみてはもらえないだろうか。

このシニアマンは、テリーマンの祖父であるシニアマンなのか。テリーマンの父ドリーマンが名乗るシニアマンなのか。はたまた、全く無関係の紛らわしい第三者超人シニアマンなのか。さて、お次は「テリー一族、メインキャラなのに設定ガバガバすぎ問題」を考察する時間が来たようだ。

⑤へつづく

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