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【我々は、超人オリンピックという大会について、そろそろ真剣に考えるべき時に来ている】- 1:超人オリンピック、優勝者の数合わない問題

1:超人オリンピック、優勝者の数合わない問題
まず初めに、読者諸氏は「格闘技の世界チャンピオン」と聞いて、この超人オリンピック王者以外にどのような存在が思いつくだろうか。ボクシングヘビー級王者。柔道金メダリスト。高田モンスター軍司令官。世界に強さの基準は数あれど、その王者の決め方は大別して二つに分けることが出来る。

まず一つ目は「大会基準」。これはそのものズバリ、特定の大会で優勝した選手がチャンピオンの座を勝ち取る方式だ。各種スポーツの世界選手権や競技のメダリスト、何より超人オリンピック王座こそがこれにあたり、選手は皆一列に並んで大会に参加し、チャンピオンはその大会ごとに生まれることにる。

そして二つ目は「タイトル基準」。これはチャンピオンの持つタイトルを賭けて、挑戦者がタイトルマッチに勝利すれば王座が移行する方式だ。ボクシングや囲碁の各タイトル、何より超人オリンピック王座こそがこれにあたり、世界中の選手は世界にたった一人の王者を打ち倒すことに心血を注ぐことになる。

そう、この超人オリンピック王座、実は大会基準の王座でありながらタイトル基準の王座としての性格をあわせ持っている。プロレスに明るくない読者諸氏には想像が難しいかもしれないが、プロレスの世界ではしばしば、金メダリストが訳の分からん相手にメダルを賭けて試合を挑み、負けてメダルを奪われる事態が発生するのだ。

俗に言われる「防衛戦」という形式の試合である。超人オリンピックにおいては、優勝者には金メダルではなく宇宙超人ヘビー級チャンピオンのベルトが授与される。正義超人の頂点である宇宙超人ヘビー級チャンピオンは、超人オリンピック優勝後に世界サーキットに出発し、このベルトの防衛戦を義務付けられているのだ。

(参考:キン肉マン4巻 P160)

過去にはジェシー・メイビアが自身のハワイ・チャンピオンと宇宙超人ヘビー級チャンピオンをかけたダブル・タイトルマッチをキン肉マンに挑み敗北。超人オリンピック出場権を剥奪された七人の悪魔超人が、王者キン肉マンのセコンドであるアレクサンドリア・ミートを人質に取りに挑戦要求したケースも存在する。

つまり、歴代超人オリンピックの優勝者と数えられる超人が、大会開催数分、最大で22名しか歴史上に存在できないのだとしても、その優勝者に与えられる王座「宇宙超人ヘビー級チャンピオン」については、大会後の防衛戦の結果いかんによって、何人もの超人レスラーがこの地位を名乗れてしまうことになる。

【ここがポイント】超人オリンピック優勝者 = 宇宙超人ヘビー級チャンピオン ではない。

正義超人最強とも言える超人オリンピック優勝者が、タイトルマッチに敗れる。恐ろしいことではあるが、それは歴史的真実だ。今一度、記事0のベルトの画像を見て欲しい。我々の知る最古の超人オリンピックV2チャンピオン、キン肉真弓の名前は、そこに何度記されているだろうか。

一度だけしか、書かれていないのだ。これは大会を連覇した真弓からは、宇宙超人ヘビー級チャンピオンの王座移動が行われておらず、あえて二度名前を書く必要がなかったことを物語る。それは裏を返せば、彼以外のチャンピオンが防衛戦に負けていなければこのリストの辻褄が合わない、そんな残酷な歴史さえ物語っている。

以降、本記事では歴代超人オリンピックにおいて優勝を果たした超人レスラーを「超人オリンピック優勝者」、超人オリンピック優勝者に与えられる宇宙超人ヘビー級チャンピオンの座を獲得した者を「超人世界チャンピオン」として説明を行っていく。くれぐれも混同なきようご注意いただきたい。

②へ続く

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