【我々は、超人オリンピックという大会について、そろそろ真剣に考えるべき時に来ている】-０：はじめに

超人オリンピック。その血に一滴でも超人パワーが流れている者ならば、この名を聞いて心震えぬ者などいるだろうか。もしも今、貴方の心が震えていないというのなら、残念ながら貴方はこれからテムズ川に飛び込んで、恥ずかしげもなく「ナンバーワーン」と叫ぶ謎の仮面の男になってしまう可能性が高いだろう。

己が人生の世界平和に捧げる正義超人達でさえ、この大会の王者に与えられる「宇宙超人ヘビー級チャンピオン」のベルトを前にすれば、誰もが一人の野心家にならざるを得ない。超人オリンピック王者とは即ち、正義超人界最強であると同時に、その世代の正義超人達を率いる指導者候補を意味する存在なのだから。

漫画「キン肉マン」及び「キン肉マン二世」の中で描かれた超人オリンピックは全22回。全24名も及ぶ歴代王者を振り返ると、その顔触れは錚々たるものになる。親子二代でV2を果たしたキン肉真弓、キン肉スグル。その対抗馬とも言えるロビンマスク、ケビンマスク。消えた天才ウルドラマン。ルーテーズ、馬場、ボブ。

勘の良い読者諸氏は既にお気付きのことだろう。その通り。この宇宙超人ヘビー級チャンピオンという存在。歴史上、超人オリンピックが全22回しか行われていないのに対し、全員で24名存在している。本記事の最初に掲げた画像は第20回大会を征した当時のキン肉マンが公開したベルト裏面の写真であるが、ベルトに記された名前は下記の通りとなる。

1フランク・ゴッチ
2ルーテーズ
3ジン・キニスキー
4バディ・ロジャース
5ルーテーズ
6ドリーマン
7ハリー・レイス
8ジャック・ブリスコ
9ババ
10ジャック・ブリスコ
11テリー・オー
12ハリー・レイス
13ダスティ・ローデス
14ハリー・マン
15ババ
16ハリー・マン
17ボブ
18シニアマン
19真弓
20ウルドラマン
21ロビンマスク
22キン肉マン

この後、第21回大会王者キン肉マン、第22回大会王者ケビンマスクの名もここに刻まれることになる。22回しか行われていない大会に24名の王者が存在する。しかもよくよく見ればこのベルトの裏、第11回王者を名乗り宇宙超人委員会委員長でもあるハラボテ・マッスル氏の名前がどこにも見当たらないではないか。

これは一体何の不正か八百長か、正義超人の王者など所詮はその程度かと侮る方もいるだろうが、性急な判断はお待ちいただきたい。その全貌を運営である宇宙超人委員会ですらまともに把握していないと罵倒されるほどの奥深き大会、超人オリンピック。実はその歴史を紐解けば、こうした疑問にもちゃんと答えは存在するのである。

①へ続く