見出し画像

英語学習について考える Vol.9 ~ 音読で地球のレベルを超えろーー ~

今回の英語学習のエントリーでは音読について考えてみたい。

英語戦闘力を上げる修行において、音読は欠かせない。もし君が毎日30分以上の音読を数ヶ月間にわたり続けることができたら、英語戦闘力が劇的に向上することは間違いない。

色々な教材や勉強法に手を出したりするぐらいならむしろ、とにかくひたすら音読を続けるぐらいでもいいように思う。

前回のエントリーで“英語脳”(頭の中に英語しか存在しない状態)を作ることについて説明し、その中でも少し触れているが、

英語学習について考える Vol.8 ~ 国際Aマッチのゴールへーー ~

英語脳を作るためのベストな方法は音読をすることだ。

そのため、今回のエントリーでは音読についてまとめたいと思う。


音読についてまず重要なことは、自分で英語を自分の口から出していると、頭の中には日本語は浮かばなくなる。つまり、頭の中には英語しかない。英語を英語のまま理解している。これはものすごく重要なことだ。

試しに実験をしてみよう。次の英文を音読してもらいたいと思う。黙読ではダメだ。きちんと声に出して読んでほしい。なぜなら、それこそが「音読」という言葉の定義だからだ。

たとえ途中で意味が分からなくても、いま君が読める最高速度で、次の英文を一気に読みてほしい。

自分はスマホのストップウォッチを使い、音読に何秒かかったかを測る。だから君も、ぜひ測ってほしい。本当に声に出して読むんだ。

君はスマホのストップウォッチを開いただろうか。自分はいま開いた。オレは読むから、君も一気に読むんだーー

「Your time is limited, so don’t waste it living someone else’s life. Don’t be trapped by dogma — which is living with the results of other people’s thinking. Don’t let the noise of others’ opinions drown out your own inner voice. And most important, have the courage to follow your heart and intuition. They somehow already know what you truly want to become. Everything else is secondary.」

オレはこの画像の通り、26秒かかった。君はいったい、何秒かかっただろうか?


ここで大切なことはかかった時間ではなく、全力で一気に声に出して読んでいたら、「君の時間は限られている。だから他人の人生を生きて~」なんて日本語の訳はいちいち、頭の中に浮かんでこないということだ。なぜなら、訳しているヒマがないから。

(一応、日本語訳を載せておく。)

「君たちの時間は限られている。だから、他人の人生を生きて、時間を無駄にしてはいけない。ドグマ(教義・定説)の罠にはまるな、それは他人の考えた結果に振り回されることと同じだ。他人の意見や雑音に、自分の内なる声をかき消させるな。そして最も大切なことは、君のハートと直感に従う勇気を持つことだ。君の心と直感は、自分が本当は何をしたいのか、もうすでに知っている。他のことは全て、二の次だ。」 

- スティーブ・ジョブズ


なぜ実際に音読をしてもらったかというと、頭の中から日本語を追い出し、たとえそのときだけでも“英語脳”ができるということを実感してもらいたかったからだ。

音読をこれまであまりしていなかったことがなかった人は、今はあまりピンとこないかもしれないが、音読を続けていくと確実に英語戦闘力があがっていく。

音読は単調な修行ではあるものの、そのメリットは計り知れない。

まず1つ目のメリット。音読をひたすら続けると、自分の声をひたすら聴き続けることになるから、他のことを考えることができなくなる。声を出しながら同時に英語を理解しないといけないため、頭の中から日本語を追い出すことができる。

次に2つ目。声に出すことにより、後ろから戻って日本語で訳すとか、そういったよくないクセが消えていく。英語をいちいち日本語で訳して理解しようと限り、英語での会話はできるようにならない。

音読で英語を英語のまま理解する修行を積むと、いずれ英語が英語のまま理解できるようになる。それこそが、本当の意味での“英語脳”だ。

そして3つ目。音読による修行で“英語脳”が培われて英語を英語のまま理解できるようになると、リスニング力もリーディング力も上がる。これまでのように日本語で文章を行ったり来たりすることがなくなるのだから当然だ。

最後に4つ目。英語を自分の口から発し続けることによりいずれ瞬発力がついてきて、スピーキング力も上がる。

音読はまさに、言いことづくめの勉強法なのだ。

ただ、音読は言うは易し、行うは難しの修行だ。なぜなら、音読はあまりに単調な作業のため、どうしても飽きてしまう。


このエントリーの冒頭に「音読を毎日30分以上」と書いたが、本当は「毎日1時間」と書きたかった。

だが、毎日1時間はしんどい。最初はおそらく、30分ぐらいが限界だろう(なお、本気で英語戦闘力を上げたい人は毎日最低でも1時間半は勉強する必要があるので、音読以外の英語学習もする必要がある)。

音読を継続していくのに重要なことは、読んでいてタメになる教材を選ぶということだ。

音読をするためにはまず、精読(きちんと意味を理解しながら読む)して、分からない単語などを一通り調べて文章の内容を理解する必要がある。

内容が分からないまま、ただ音読するだけではダメだ。矛盾するように感じるかもしれないが、まずはその文章の意味を日本語ベースできちんと理解して、その後に、英語を英語のまま理解していくのだ。

そのためには、何回も何回も、数十回、ときには100回以上、同じ文章を音読する必要がある。100回以上の音読に耐えられる文章は、ただ読んでいるだけで自分の人生の勉強になる内容である必要がある。

そういった素晴らしい文章を、最初はきちんと精読(分からない単語を調べ、日本語で意味を理解する)し、そのあと、英語を英語のまま声に出しながら読む。

これによって、英文を声に出して読めば読むほど、英語戦闘力が少しずつ少しずつ向上していく。すぐには分からないが、毎日の修行の積み重ねの成果はいずれ、実感することができる。

なお、以前のエントリーでも述べたが、英語を読むときは常に発音について意識しながら読んだ方がいい。発音を意識しないで読むと、いつまで経ってもカタカナ英語から抜け出すことができない。
(発音については以前まとめたので、こちらのエントリーを参照してもらいたい。)

英語学習について考える Vol.4 ~ 業者には石を投げて、発音記号を覚えようーー! ~


さて、ここから先は本気で音読で英語戦闘力を上げることをコミットできる修行を積む人たちだけに読んでもらいたい。

ここで言う「本気」の意味とは、上記のスティーブ・ジョブズの伝説のスピーチを読むにあたり、自分のようにきちんとスマホのストップウォッチで読み終わるまでの時間を測った、という意味だ。

自分が何度も何度も数えきれないぐらい音読している、とっておきの7つのテキストを紹介したい。何度聞いても、人生にプラスになることばかりのものだ(参考として日本語訳も載せておくので、英語が苦手な人が読んでもとてもタメになると思う)。

オレの音読への熱い思いは、フォント12のWordで9枚になった。


英語戦闘力を上げる修行はどうしても孤独なものだが、その修行を積んでいるのは君一人じゃない。自分も今なお、たった1人のナメック星で毎日めちゃくちゃ修行を積んでいる。そしてきっと、他の同志達も同じだろう。

みんなで音読をしながら、英語戦闘力を上げていこうーー





さて、本題に入る前にまずTOEICについて触れておきたい。TOEICのスコアアップを目指すなら、まずはこれから紹介するテキストを紹介する前に、TOEICのリーディングの過去問を音読するのがいい。

現実的な話になってしまうが、TOEICのスコアをあげるにはTOEICの過去問を問題集がボロボロになって飽きるぐらいになるまでやることが最も有効だ。

そして、TOEICのリーディングは時間との戦いだ。過去問のパート7を音読しまくって、英語を英語のまま理解するのに慣れる必要がある。

ただ、TOEICの過去問ははっきりいって、読んでいて楽しい内容じゃない。それでもTOEICのスコアが必要ならば、やらなければならない。

TOEICの過去問を音読しまくって半ば内容を覚えてしまっているぐらいになったら、または、その過程での気分転換で、次は著名人の素晴らしいスピーチの原稿を読もう。

そう、音読にオススメのテキスト7選は著名人のスピーチだ。スピーチのスクリプト(原稿)だ。

どれもいきなり音読するのはかなり厳しいと思う。たとえばスティーブ・ジョブズの伝説のスピーチは15分だが、当然にして分からない単語がたくさんあるので、それを調べつつ文章の意味をきちんと理解しながら声に出して読むと、最初は2時間ぐらいかかったりする。

むしろたぶん、15分のスピーチだがスクリプトをすべて読むのを途中で断念するだろう。最初は仕方がない。そんなものだ(それでもガンバって毎日30分は声に出して読もう)。

最初はなかなか英語を読めないが、少しずつ読み進めていこう。そして内容を理解したら、何度も声に出して音読しよう(ちなみに自分はスティーブ・ジョブズのスピーチは100回以上読んでいる)。

最初のうちは全てを読むのはしんどいと思うので、お気に入りのフレーズだけを繰り返して音読するのも1つの方法だ。そしてその部分を英語のまま理解することができたら、読むエリアを広げていこう。

そして、何度か音読したら、英語を英語のまま聞き取れるか、実際の映像を見てみよう。どれもネイティブイングリッシュなので当り前のことだが、なかなかすぐには聞き取れない。

でも、これはとてもリスニングの勉強になる(これに慣れると、TOEICのリスニングは”パンチ”がスローに見える)。

文章を「読んで」理解できない内容を「聞いて」理解できるわけがないので、事前に英文を読んで理解しておくことはとても重要だ。そうすると、聞き取ることができた内容は、英語を英語のまま理解することができる。

心を揺さぶる素晴らしいスピーチを英語のまま理解できるのは、英語戦闘力を上げるための修行を積む人たちの特権だ。


ここに来るまで長くなったが、ようやく、おススメのスピーチ7選の紹介だ。どれも素晴らしい内容で、自分はいまだにどのスピーチも、スクリプトを音読したあとに実際の映像を見ながら聞いている。

もし、親愛なる読者のみんなと一緒に同じ修行を積むことがができれば、とても嬉しく思う。


1. Steve Job’s commencement address at Stanford (June 2005)


スティーブ・ジョブズの説明不要の伝説のスピーチ。死にもっとも近づいた瞬間について語っている彼が亡くなるのは、このスピーチの6年後だ。

This is a prepared text of the Commencement address delivered by Steve Jobs, CEO of Apple Computer and of Pixar Animation Studios, on June 12, 2005.

スティーブジョブズのスピーチ|全文英語&日本語和訳付[1]

「将来のことを考えて点と点を結びつけることはできない。それができるのは、後から結びつけることだけだ。だからこそ、たとえ今は分からなくても、今の点がいつかつながると信じて今に全力を尽くすんだ。」


2. How great leaders inspire action – Simon Sinek(May 2010)
『WHYから始めよ!』サイモン・シネック

人の心に本能的に響くのはいったい何だろう? なぜみんな、最初はパソコンメーカーだったAppleが作ったMP3プレイヤーや電話は買うけれど、DELLが作ったMP3プレイヤーは買わないし、富士通やNECが作った電話は買わない。いったいなぜだろう?

優れたリーダーはどうやって行動を促すか

リンクはTEDのスピーチだ。TEDはボタン一つで日本語と英語を切り替えられるので、本当に素晴らしい英語学習ツールだ。


3. Your body language may shape who you are – Amy Cuddy(October 2012)
『ボディーランゲージが人を作る』エイミー・カディ

人の心は身体とつながっている。プレッシャーが掛かる場面に遭遇したとき、「どうせオレ(わたし)なんか」と思うのか、「わたし(オレ)はこんな人間です!」と説明したいと思うのか、この違いは何だろう? 


たった2分間の行動で、君の人生は変わる。

そして大切なことは、「君が本当にそうなるまで、“フリ”をし続ける」ことだ。本当に強いことと、強くあろうとし続けることに違いなどないのだから。

『ボディーランゲージが人を作る』


4. Grit : The power of passion and perseverance(May 2013)
『成功のカギは、やり抜く力』アンジェラ・リー・ダックワース

過酷な状況で戦いながら成功している人たちは、いったいどんな力を持っていて、なぜ成功できているのだろうか?

それは学歴だろうか、社会的な地位だろうか、ルックスだろうか、はたまたIQだろうか? そうではない。過酷な環境で成功している彼らはみんな、“やり抜く力”(GRIT)があったのだ。

「成功のカギは、やり抜く力」

幼少期に海外経験がない人が英語を身につけようと思ったら、GRITは不可欠だ。そしてそれは、生まれ持った才能ではない。

たとえ今は英語が苦手でも誰もが成長できる。だから君も、GRITを持ちながら修行を積んでいけば英語戦闘力を上げることは必ずできる。

『GRIT やり抜く力』を読んで思うこと ~ 大切なのは才能じゃない ~


5. Drew Houston’s Commencement address at MIT – Drew Houston(June 2013)

Dropboxを作ったドリュー・ヒューストンの卒業スピーチ。そんな彼自身が自分の卒業式に聞きたかった話とは、「テニスボール」、「サークル」、「30,000」だという。

これらは一体なんだろう?

そして、準備や練習をしている時間などない。毎日時間は過ぎていく。まず始めるんだ。人生を完璧にするのではなく、面白くするんだ。

Drew Houston's Commencement address
'I stopped trying to make my life perfect, and instead tried to make it interesting.'

「人生のコツはたったの3つ」Dropbox創業者ドリュー・ヒューストンの卒業スピーチ

Drew Houston Commencement Address MIT 2013(スピーチの映像)


6. The surprising habits of original thinkers – Adam Grant(April 2016)
『独創的な人の驚くべき習慣』アダム・グラント

みんなが大好き、“ギバー”(『「与える人」こそ成功する時代』)の著者であるアダム・グラント氏の「ORIGINALS」(独創的な人たち)に関するスピーチ。

彼らに共通していた驚くべき習慣とは、いったい何だろう? そして、そんな彼らに少しでも近づくためにはいったいどうすればいいのだろうか??

『独創的な人の驚くべき習慣』

(*この中で出てくるWarby Parker(ウォービー・パーカー)は日本ではあまり知られていないが、メガネをオンラインで売ることを始めた会社で、今ではアメリカで知らない人がいない大成功しているブランドだ。日本で言うと、洋服をオンラインで売ることを始めたZOZOTOWNに置き換えて聞いてもらうと、しっくりくるのではないかと思う。)


7. Mark Zuckerberg’s commencement address at Harbvard (May 2017)

Facebookを作ったマーク・ザッカーバーグの卒業スピーチ。

どうやって愛しのプリシラ(奥さま)をゲットしたのかで最初は笑いを取りつつ、ミレニアル世代(1980年代から2000年代初頭までに生まれた人達)は「(自分だけじゃなくて周りの)みんなが自分の人生の目的を見つける気持ちを持てるようにしていくんだ!」という、後世に語り継がれて、いずれは間違いなく伝説になるであろう素晴らしいスピーチ。

当時は飛ぶ鳥を落とす勢いだったYahoo!から1,000億円の買収提案があったときに、「オマエはこの買収提案を拒否したら一生後悔するぞ」と経営陣全員に言われて苦悩しながらも、当時22歳だった彼は買収を拒否した。

そして、当時の経営陣は全員フェイスブックを去り、彼はたった1人になった。そのとき、彼が言った自分に足りなかったものとは、いったい何だろう?

また、彼がundocumented(親が不法移民などの理由により身分証明書がないという意味)の少年の誕生日に一緒に朝食を食べているとき、マーク・ザッガーバーグの心を吹き飛ばしたその少年が言った言葉とは?

Mark Zuckerberg’s full commencement address at Harvard, the school he left to start Facebook

「ザッカーバーグのハーバード卒業式スピーチが感動的だったので日本語訳した。」


これらの素晴らしい文章を何度も何十回も100回以上でも音読しよう。そうするといずれ、彼らの肉声を英語のまま理解できるようになろう。

そのとき、君の英語戦闘力はもう完全に地球レベルではなくなっている。それはつまり、TOEICではすでに測れない戦闘力になっているという意味だ。

地球レベルを超えたとき、君はノンネイティブが相手なら会話にはまったく困らず、ネイティブともときに渡り合える。

そのカギは、とても地道な音読という修行にあるのだ。

このエントリーが英語戦闘力を上げようとするみんなの役に立つことを願ってやまない。

もしこのエントリーが役に立ったと思ってもらえたのなら、左下のハートマークをクリックもらえれば嬉しく思う。

そして何より、このエントリーを読んで音読という孤独な修行を毎日積み重ね、君の英語戦闘力が地球レベルを超えることができれば、それが自分の本望だーー


ケーゴ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?