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アーセナルを分析してみた~攻撃~

先月の終わり、2週にわたって開催された通称”弓谷会”。若干20歳(19だったらごめん)にしてJリーグコーチにのし上がった若き新進気鋭指導者弓谷蓮によって集められた9名の指導者が「マンチェスターシティの指揮官として直近3試合のアーセナルを分析し、対戦にあたってのプランを立案せよ」というお題に立ち向かい、プレゼンするという企画でございました。

普段のチームの仕事の合間でやるにはなかなかハードな企画でしたが久しぶりに頑張ってサッカーをみたので、せっかくだからnoteに残しておきたいと思います。 

アーセナルの雑感

さて、そんなこんなで中断前のアーセナルを3試合見たわけですが第1印象としては”うーん微妙!”でございます。というのもペップ派閥側近中の側近のアルテタにしては攻撃の完成度があまり高くはないように感じたからです。まだまだ発展途上なんだろうけどちょっと微妙。

中身としてはペップ派閥らしく3トップ+3センターでポゼッションを優先するスタイル。そんでもってブロックを敷いた際のDFは怪しさを醸し出す感じ(笑)
ここまではペップ派のイメージに沿っていました。

しかし僕がみたオリンピアコス戦、ウェストハム戦はゾーン2にブロックを引かれると為す術なし!!感が異常だったので結構意外でした。為す術なし感なのも攻撃が単調だからなんですが・・・詳しくは後程(笑)
さて、こんなややディスから入っていますが、具体的にはアーセナルがどんなことをしていたのかというのを見ていきたいと思います。

攻撃~Build-up~

まずは攻撃、Buildupから行きます。基本ポジションは4-1-4-1(ここは4-2-3-1とする人もたくさんいますがぶっちゃけどっちでもいいとは思います・・)、そこから変形していく形がベースです。

キーマン:ジャカセバージョス
ボール出し隊:CB+ジャカの3人+セバージョスのひし形
ボールの出口:サイドレーンorハーフスペース

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ボール出し、すなわち相手の1stラインに対してはジャカ+CBの3枚と1stラインの背後のセバージョスという形。この形への変形のスイッチはジャカの列を下ろす動き、それに伴いオーバメヤンがハーフスペースへ、サカがウィングのポジションへと移動します。右サイドは特に変化なし。この1stアクションで2ndラインまで超える場合もありますが、それが無理なら後方でのボール保持を安定させます。3枚のポゼッションをしながら背後のセバージョスに届けてセバージョスが運ぶorジャカが運んでミドルパスという形が多いです。いずれの場合にもサイドのユニットに届けることがビルドアップのゴールという節があります。出口はサイド、届けるのはジャカorセバージョス(主にジャカ)ということで基本ビルドアップは人依存だなという印象です。ただし、たまに出るダビド砲はなかなかに面倒。

☆コラム ジャカのポジショニング
弓谷会でも話題に上ったのが、このジャカの列を下ろす動きの目的は何なのか?でした。このジャカが下りる場所がDFラインだったり、かと思えば1stラインと2ndラインの間にだったりと結構バラバラ。しかも相手のプレスが強いからDFラインまで降りるのかといえばそうではなく、むしろ降りる必要なくない??みたいなシチュエーションでもおりたり、、というわけでみんながどう見てるか気になったので投げかけたのですがいくつかの意見が出てみんなの見方が楽しめました。ちなみに僕はジャカを砲台にするためがメイン2ndラインを引っ張り出す効果は副次的なものという見解です。

攻撃~フィニッシュワーク~

フィニッシュワーク(=ラスト30m)の攻撃については左右で違う特徴が見られました。なおほぼほぼ中央突破はありません!まあそりゃ単調になるわ・・・という感じ。左右で特徴違うけどなかなか面白くない攻めをしていました。エジルにはちょっと期待外れ。

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左サイド:サカの単騎突破orオーバメヤンとサカの2人組
右サイド:ぺぺのカットインorエジルのインスイングのクロス
フィニッシュエリア:左のニアゾーン付近(左からのクロスならニア、右からのクロスならファー

僕が微妙と感じたポイント第1位、フィニッシュワークです。非常に単調。
配置的には5レーンを埋めていじめる気マンマンの配置でマクロの視点から見ると悪くない設計と感じます。
実際このチームの強みは両サイドのウイングです。左で言えばサカ、右ならペペこの2人は突破力はかなりあるわけです。なのでここを生かすために5レーンを埋めるという発想はペップ学派のアルテタには至極普通のことだったでしょう。しかし残念ながらこのチームは確かに個人の突破力はあるもののそれしかない。それゆえに単調な攻撃をくりかえすことになってしまいました。

さて、このチームには両サイドとも突破力のウイングがいるものの1人称あるいは2人称の範囲内でしかプレーが起こりません。よってサイドを突破されてもDFは崩されたというほどでもなくCBは整っている状態が大半。なので突破しても中でクロスを跳ね返せばいいよね状態。左はまだかろうじてオーバメヤンとの2人組の関係が脅威になっていましたが、右サイドは結構深刻。2人称を形成するエジル、ぺぺはどちらも左利きでカットインしたがります。そのうえ2人とも右足でのプレーがあんまりです。よってSB、SHあるいはSB、ボランチで協力して中を切りましょう!大作戦によって沈黙。ほとんどの時間帯でアディオス!させられています。(チャンネルランでカットインを補助するぜ!というプレーもあったものの右足がポンコツなので途中からは気にされていませんでした。どんまい。)

ウェストハム戦、オリンピアコス戦はクロスから得点こそ奪っているものの、ラッキーパンチみたいなもんです。十数本?あげたクロスで点の気配がしたのは1,2本。オリンピアコス戦のゴールに関してはオーバメヤンがジーニアスすぎただけで再現性の高さは感じられません。(点が入らない形の再現性はやたら高かったけど・・・)
ここの単調さがどうにかならん限り得点力不足は解消されないだろうなあとい思います。

☆コラム オーバメヤンとサカの2人組
オーバメヤンとサカの2人組は脅威となっていたと書きましたが具体的に言うと、フットサルの2人組の関係にそっくりなプレーを見せていました。一瞬の加速でのバックドア、平行にサポートしてのワンツーなどぜひ見ていただきたいプレーでした。このプレー脅威になっていましたが悩ましいポイントが1つ。それはフィニッシャーとなるオーバメヤンがゴール前に間に合わないこと。オーバメヤンがいないとサカの単騎突破に頼ることになるが、オーバメヤンがゴール前で仕事ができる。しかし突破の機会は減る。それじゃあオーバメヤンがサポートするよ、となると突破はできるがフィニッシャーがいない。うーん、ジレンマ。

※要注意プレー

基本的に単調なアーセナルの攻撃でしたが、ここだけは押さえないと危ないというポイントが存在しています。それがジャカのミドルパス

敵陣に侵入してからジャカをフリーにするとなかなかえげつないサイドチェンジだったり、なかなか素晴らしいサカへのスルーパスを通しています。この飛び道具を使われるといくら単調とはいえ、個々の能力の高さにぶっちぎられる可能性は大幅に高まります。このジャカを抑えられるかが実は最も重要なのではないかとれうすは思っております。

まとめ

うだうだと僕の所感や独り言を書いていたらあっという間に文字数が増えてしまったので、守備は後編にまわし、いったんまとめにしたいと思います。
攻撃のポイントは以下2つです。

☆ジャカの降りるプレーとミドルパス
☆2人称のサイドの崩し

この2つのポイントに対してどのようにプランニングしていくかが今回の弓谷会の大きな見どころとなっていました。みなさんもぜひ、これからアーセナルの試合を見る際にはこのポイントに注目していただきたいなと思います。そしてぜひ感想を。

ちなみに今後のアーセナルの攻撃へ個人的に楽しみにしているポイントとしては

☆どのように3人称の攻撃を増やすか

があると思います。少なくともこの3試合ではサイドで逆三角形を作る意識は感じられたものの、攻撃は1人称あるいは2人称で頂点はやり直しの起点としての機能以上のことはほとんど見せていません。ここのやり直しの起点をどう攻撃に組み込むかによって今後の攻撃は大きく変わるのではないかというのが僕の所感です。まだまだ発展途上、アルテタが何とかすれば強くなりそうという気がします。
ということでガナーズファンの皆さん、変化があったら教えてください(笑)

それでは、後編へ続く!

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