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73 「素人なのですが」という前置きについて

こんにちは。
眠り子です。

今回はタイトル通り、主に質問をするときにつけられることの多い「この分野については素人なのですが」や「これあまり詳しくないのですが」といったような前置きについて考えていきます。
難しい話をしているときなんかに使われがちな言葉だと思います。学会などで「素人質問なのですが」というフレーズが用いられた場合には、それは「今からお前のことをボコボコにするけれど」という意味だという話を聞いたことがありますが、実際どうなのでしょう。

私はこの手の前置きが、質問をする際の前置きに使われる場合に限って、2つの理由からあまり好きではありません(先の学会のエピソードは面白みがあって好きですが←)。
この手の前置きが、というより、この手の前置きを生み出してしまう環境が、と言った方が適切かもしれません。
ここから先は、(いつもそうですが)私の個人的な考えを記したものになります。他の考えを否定するものではありませんし、寧ろ他の見方は教えて欲しいと思っています。
それでは、どうぞ〜。

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1つ目の理由として考えていることは、素人だからなんなんだということです。別にいいじゃないですか、素人でも。
ここでの「素人なのですが」には、「とても基本的なことを聞いてしまうと思いますが」や「こんなことも知らずに(分からずに)申し訳ないのですが」といった意味合いが込められているのだと思いますが、だからといって質問をする権利が剥奪されるわけではありません。

学校現場では、分からないことは積極的に質問する方がよいとされており、分からないことは何も恥ずかしいことではないのだということを子どもたちに伝えられるよう行動されている先生方も多いと思います。それに逆行するよなぁと思うんですよね。質疑応答の時間に対して質問者が多い場合には、大したことでもないことを訊いて時間を使ってしまうことに引目を感じることもあると思いますが、その場合でさえ、貴方が気になったなら訊けばいいと、私は思います。
1人気になったことは、他に気になった人が10人いると言いますしね。
分からないことは何も恥ずかしいことではない、これがしっかりと共有されている環境であれば、付ける必要のない言葉です。

素人だからなんなんだ。
別にいいじゃないか、素人でも。


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2つ目の理由は、相手の自尊心を傷付けかねないと感じるからです。
「〇〇は全然詳しくないのですが」などと前置きされたうえでの質問に答えられなかったり、あるいは質問をした相手の主張の方が正しかった場合。相手がその前に自分自身を下げていれば下げているほど、言葉上は、自分はそれ以下だということになってしまいます。訊きたいことは特に前置きはせず、素直にそのまま訊けばよいのにと思います。

素直にそのまま訊けばいいのに…。


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ただ一方で、質問をされる側ではなく、質問をする側の立場で考えることで、そうした前置きを付けたくなる気持ちも分かるものがあります。
「こんなことも分からないのか」「こんなことも知らないのか」
ただ質問をすれば相手側からそう思われてしまう可能性がある。それならば、いっそ先に自分から詳しくないことを公言する方が、心理的ダメージが小さくなる。意識的にか無意識かはともかく、そうした心理から言っている場合もあるのではないかと思います。

一種のセルフハンディキャップでしょうか。
あいつは大した点数が取れていないんだと周りから思われるより前に、自分は勉強していなかったことを公言しておく。こうして逃げ道を用意することで精神的なダメージを抑えることができます。セルフハンディキャップそのものの善し悪しはともかく、自分の精神衛生を保つという点で、私はこれは悪いことだとは思いません(まぁセルフハンディキャップするくらいなら勉強して欲しいとは思いますが)。

しかしこれも、分からないことは何も恥ずかしいことではないということが了解された場であれば、気にする必要のないことなんですよね。

この手の前置きをする別の理由として考えられるのは、単純に自分を卑下している場合でしょうか。これはこれで、自分を卑下しなくてもよいのだと思える環境が整って欲しいと思います。


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そんなわけで、主に私はこれらの理由から質問をする際にこの手の前置きはしないようにしています。この言葉を聞いていた人に、基本的なことは訊いちゃいけないというメッセージを送りたくはないですし、相手の自尊心を傷付けかねない言葉を態々使う理由もないからです。
ですが、この言葉の出やすさは、その人自身の問題だけでなく、その人が置かれている環境によっても変わってくるでしょう。
普段から、分からないことは恥ずかしいことではないことを伝えられる環境を作っていたいものです。

お読みいただきありがとうございました。
素敵な一日になりますように。

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