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<転載>ゴルフコースとゴルフ倶楽部って違うの?

スコットランドのゴルフ場の生い立ちを見ると、正式な開場年というのが不明のゴルフコースばかりです。

人々がいつの間にか“ゴルフのようなもの”を始め、自然発生的にゴルフコースが誕生したからです。

ですからスコットランドの多くのゴルフコースは、公営のパブリックコースで誰でもラウンドすることができます。


ゴルフに夢中になる人が増えれば、技を競い合いたくなるのが人間です。

ゴルフコース近くのバーの常連客が集まり、誰が一番ゴルフがうまいか勝負をしました。

それがゴルフ倶楽部の始まりであり、倶楽部選手権の始まりです。

優勝者には名誉とともに、その倶楽部を運営する権限が与えられました。


しかしゴルフ場はだれでも利用できる場所なので、いくら倶楽部のメンバーの爵位が高かろうとも、いつでもプレーができるわけではありません。

ゴルフ場が混雑しプレー枠が取りづらくなると、クラブのメンバーが資金を出し合い、自分たちだけのゴルフ場を作るようになりました。

これがプライベートコースです。


倶楽部にとって大事なことはゴルフのプレーではなく、プレー後の食事なのです。

だからプレーに時間がかかり、食事の時間が減ってしまうのは本末転倒なことでした。

「19番ホール」という言葉がいつからあるのかは分かりませんが、この語らいがゴルフの本質なのです。

ですからミュアフィールドの倶楽部であるジ・オナラブル・カンパニー・オブ・エジンバラ・ゴルファーズにとっては、全英オープンよりも自分たちの19番ホールの方がはるかに大切なことなのです。


先日、ミュアフィールドが全英オープン開催のローテーションから外れたというニュースが流れました。

女性会員受け入れの是非を問う投票で、会員の3分の2以上の賛成が得られず、これまで通り男性会員限定のクラブであり続けることが決定したからです。

(翌年に再び投票が行われ、女性会員が認められました)

全英オープンを主催するR&Aは、男性会員限定であることを性差別であるとし、差別の存在するゴルフコースでは全英オープンは開催できないという判断を下したのです。


オナラブル・カンパニーは元をたどれば、近所の飲み屋の常連の集まりです。

異性の目があってはできない話もあるのでしょう。

それは女子会だって同じことです。

最近は「女子会ゴルフ」という言葉もよく目にします。

ミュアフィールドはこれまでに16度も全英オープンが開催され、多くのゴルファーが夢見る大舞台になってしまいました。

でもミュアフィールドはメンバーのためのコースなんです。

コースをどう使うかはメンバーが決めることなんです。

残念ではありますが、おじいちゃん達の決断を尊重してあげましょう。


※TOP画像はEdinburgh OutdoorsのWebsiteより拝借しました。


<2016/5/23の記事を加筆・修正したものです>

ゴルフギアに携わる仕事をしていますが、ゴルフの面白さ探しを趣味にしています。どうして多くの人がゴルフにはまっていくのでしょうか。それを研究しています。