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学芸員のひとりごと…鴨居玲展準備中

成羽美術館は鴨居展準備中。

鴨居玲の作品は
重く、心地よいものでは決してないが、
不思議と観る者の心を揺さぶる
強烈な魅力があり、
その人気は令和になった今でも、
衰えていない。

「デッサンが上手くいかないと
死にたくなる」

鴨居は生前、そんな言葉を
漏らしていたそう。

それほどまでに描きたい対象とは、
自分の命よりも大事な絵画とは
一体どんなものだったのか。

作中に描かれる人物たちは、
瞳の黒い部分は描かれず、
どこを見ているのかわからない
虚無の表情を浮かべ、
力の抜けた、というより
生命そのものが
抜け落ちてしまったような
姿勢で、闇の中にたたずんでいる

画家が何を描きたかったのか。
これは筆舌に尽くせる筈もない。
だが、鑑賞者はおそらく
生きることの複雑さを
鴨居と共感し、
作中に描かれる他者に
想いを馳せてしまうのではないだろうか。


余談だか、人気の理由のひとつに、
鴨居玲の絵画作りの“うまさ”が
挙げられる。

デッサン力、
そして油彩の使い方が非常にうまい。

これは、展覧会最中の
ギャラリートークで
少し触れることができたら
と思っている。


鴨居展、4月8日(土)
オープン。


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