【統計準1級】15. 確率過程


ブラウン運動

確率過程と独立増分過程

  • $${X=(X_t)_{t\geq0}}$$が下記の①~④について

  • 独立定常増分過程:①,②を満たす

  •   ①独立増分性:任意の$${0=t_0<t_1<\dots <t_{n-1}<t_n}$$に対して、$${X_{t_0},X_{t_1}-X_{t_0},X_{t_2}-X_ {t_1},\dots,X_{t_n}-X_{t_{n-1}}}$$は互いに独立

  •   ②定常増分性:任意の$${0\leq t<t+h}$$に対して$${X_{t+h}-X_t}$$の分布は$${X_h-X_0}$$の分布と同一

  •  ブラウン運動:①~④を満たし、$${B_0=0}$$

  •    ③各t>=0に対して、(周辺分布)$${B_t\sim N(\mu t,\sigma^2t)}$$ - ④Bのパスは連続

  • 標準ブラウン運動:①~④を満たし、更に③で$${\mu=0,\sigma^2=1}$$となる

  • 一般的なブラウン運動の表記(ドリフト付きブラウン運動)

    • $${B_t=\mu t+\sigma W_t,\quad\mu t}$$はドリフト係数(トレンド)を表す

    • $${W_t}$$は標準ブラウン運動、$${W_t\sim N(0,t)}$$

    • $${B_t\sim N(\mu t, \sigma^2t)}$$

  • ブラウン運動のパラメータ推定

    • ブラウン運動$${B_t\sim N(\mu t,\sigma^2t)}$$について、$${Z_k:=B_{k\triangle}-B_{(k-1)\triangle}\sim N(\mu\triangle,\sigma^2\triangle)}$$を用いたパラメータ推定

    • 最尤法による推定

      • $${\hat{\mu}\triangle=\dfrac{1}{n}\Sigma_{k=1}^nZ_k}$$

      • $${\hat{\sigma^2}\triangle=\dfrac{1}{n}\Sigma_{k=1}^nZ_k^2-(\dfrac{1}{n}\Sigma_{k=1}^nZ_k)^2}$$

    • モーメント法による推定

      • $${E[Z_k]=\dfrac{1}{n}\Sigma_{k=1}^nZ_k=\hat{\mu}\triangle}$$

      • $${E[Z_k^2]=\dfrac{1}{n}\Sigma_{k=1}^nZ_k^2=\hat{\sigma^2}\triangle+(\hat{\mu}\triangle)^2}$$

ポアソン過程

定義1:確率的性質による定義

区間[0,t]でランダムな事象が発生する回数を$${N_t}$$とする。下記の条件を満たす時、確率過程$${N=(N_t)_{t\geq0}}$$は強度$${\lambda}$$のポアソン過程であるという。
(1) 初期条件:$${N_0=0}$$
(2) Nは独立増分過程である (独立増分性:ある1時間にイベントが起きた回数とその前の1時間にイベントが起きた回数は独立)
  任意の$${0<t_1<\dots <t_{n-1}<t_n}$$に対して、増分$${N_{t_1}-N_{t_0},N_{t_2}-N_{t_1},\dots,N_{t_n}-N_{t_{n-1}}}$$は互いに独立
(3) Nは定常増分過程である(定常増分性:時間幅tが同じであれば、時点sに関係なく、イベントが起こる回数は同じ確率分布に従う)
  任意の$${t>0, s\geq 0}$$に対して$${N_{t+s}-N_s}$$は$${N_t}$$に従う
(4) 任意の$${t>0, s\geq 0}$$に対して$${N_t}$$が強度$${\lambda t}$$のポアソン分布に従う
  $${P(N_t=k)=P(N_{t+s}-N_s=k)=\dfrac{e^{-\lambda t}(\lambda t)^k}{k!}, \quad k=0,1,2,\dots}$$
  例:1時間に平均6回の事象が30分で発生する回数は$${\lambda t=6\times 0.5=3}$$

定義2:間隔時間による定義

下記の条件を満たす時、確率過程$${N=(N_t)_{t\geq0}}$$は強度$${\lambda}$$のポアソン過程であるという。
  $${W_i\sim Exp(\lambda)}$$
    $${W_i}$$:i-1番目の事象が起きてからi番目の事象が起きるまでに要した時間間隔
   隣り合う生起イベントの発生時間間隔は同一の指数分布に従う
  $${T_n = W_1+W_2+\dots+W_n \quad,\quad T_0=0}$$
  $${N_t = \max\{n|T_n\leq t\}}$$と定義され、時間tまでに生起した累積イベント数を表す

ポアソン過程のパラメータ推定

以下いずれの方法であっても、$${\hat{\lambda}}$$=イベントの総回数/観測時間となる

  • (1)イベントの起こった時刻$${T_1,T_2,\dots,T_n}$$を観測する

    • 最尤推定量:$${\hat{\lambda}=(\dfrac{1}{n}\Sigma_{k=1}^nW_k)^{-1}=\dfrac{n}{\Sigma_{k=1}^nW_k}=\dfrac{n}{T_n}}$$

  • (2)時間間隔$${\triangle>0}$$でデータ$${N_0,N_{\triangle},N_{2\triangle},\dots N_{n\triangle}}$$を観測する

    • 最尤推定量:$${\hat{\lambda}=\dfrac{1}{n\triangle}\Sigma_{k=1}^nM_k=\dfrac{N_n\triangle}{n\triangle}}$$

複合ポアソン過程

定義

$${N=(N_t)_{t\geq0}}$$・・ある事象の発生回数。ポアソン過程に従う

  • $${(U_k)_{k\geq0}}$$・・1回の事象発生時に確率的に変動する値(確率変数列)

  • $${N_t,U_k}$$は互いに独立

  • $${X_t=\Sigma_{k=1}^{N_t}U_k=U_1+U_2+\dots+U_{N_t}}$$

  • $${X=(X_t)_{t\geq0}}$$・・複合ポアソン過程

複合ポアソン分布の例

- $${N_t}$$:時刻tまでの地震の発生回数
- $${U_k}$$:k回目の地震時の損害額
- $${X_t}$$:時刻tまでの地震による損害額

複合ポアソン過程の期待値・分散

 $${E[X_t]=E(U)E(N_t)=\lambda\mu t}$$ - $${V[X_t]=\lambda t(\mu^2+\sigma^2)}$$


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