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宮本から君へを鑑賞した

近所の有隣堂は閉まっている。

ブックオフは19時までの営業。土日はお休みとのこと。「バキ新装版」4巻を探すも在庫はなく諦める。TSUTAYAは22時まで。先日は映画「トゥモローワールド」を。アルフォンソ・キュアロン監督のディストピアものを鑑賞、U2(憂鬱)な気分に。世情にぴったり過ぎな作品ってのもタイミングが大事かなと。ロンドン以外の世界中の大都市が崩壊した世の中を描いた作品だが、この映画が公開された当初、誰も2020年の今の現状など予想していなかったことだろう。在宅リモートワークは増え、「打ち合わせ」でひとに会うのもZOOMや下手すればLINEで済んでしまう。少年ジャンプの1週間休刊は驚いたが、予想もつかないことはこれからどんどん起こる。間違いなく。

そんな中でようやく「宮本から君へ」映画版を鑑賞。完全に映画館で見逃していたやつ。深夜ドラマOAされていたときはもちろん観ていた。やっぱ宮本世代だから。

連載当時リアルタイムで読んでいた。終盤の中野靖子をめぐるエピソード、要するに映画版「宮本〜」のクライマックスにも被ってくるわけですが、誌面で読んでいてショックでしたね。賛否両論はボクの周りでもあって、ファミマ深夜シフトに入っていた友人は「こんなマンガをのせるモーニングはもう読まない」と断言していた。その辺も時代なんでしょう。90年代初頭、バブルも崩壊前。東京で働くサラリーマンは全員スマートな生活をしてるもんだと思っていた。

主人公、宮本が働く世界にはスマートさなど微塵もなかった。実家を出て一人暮らしを始めたアパートの小汚さのリアル。勤務する下町の中小企業などなど、そこにいる人々の生活の匂いがリアルに伝わってくる作品。それゆえに中野靖子とのエピソードは激しく痛みを読み手に感じさせたし、最終回の宮本ドアップの笑顔の見事なまでのうっとおさ。嫌い嫌いも好きのうち、というか僕にとってこの時期モーニングに連載されていた作品の中では守村大の「あいしてる」と並んでいまだに時々手に取ってしまうフェイバリット・マンガである。

そんな「宮本〜」が深夜ドラマで復活した際は少々複雑な気分だったけど作り手の作品愛が感じられたので安心して鑑賞してた。それゆえ映画には過剰な期待を持っていたのだが、その期待を大きく上回るクオリティ。宮本、復讐完了のシーンは観てるほうも興奮したけど、なによりも蒼井優が素晴らしい。作りが深夜ドラマからの続きという設定なので、いきなりこの映画から入るとわかりづらいポイントもいくつかあるにせよ(例えば松山ケンイチの立ち位置とか)深夜ドラマ未鑑賞でも充分最後まで観ることができる構成になっているのは作品愛が強いスタッフが集結したからだろう。

それだけ原作の「宮本から君へ」という作品が濃度が高いマンガということだと僕は思う。未読の方はこんな世情ゆえ巣篭もりライフ多いと思うのでぜひ読んで欲しい。とにかく激しい作品だから。


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