マガジンのカバー画像

伊藤佑輔作品集2002~2018

135
2002年から2018年にかけて書いた詩や小説やエッセーなどをまとめたものです。 ↓が序文です。参考にどうぞ。https://note.mu/keysanote/n/ne3560…
運営しているクリエイター

#考察

エッセー 結婚と結婚という文字について、あとポポイその他について(2018年)

(このエッセイはとある友人の結婚を祝うために書いたものです) XXXさん、ご結婚おめでとうございます!  はい――という訳で。今日はですね、この場所をお借りして、結婚について、というか、結婚、という文字について考えてみようと思います。なので、これからそういうことについて、書きますね。  といってもわたしは文字についてはそんなに詳しくないです。ネットで適当に調べてみましょう。あまりアカデミックな信ぴょう性には欠けている気がしますが、まあ自分が思いつかない事もきっと書いてあ

エッセー 一粒の砂 (2018年)

 わたしは無でできている、その無は世界がわたしの中で裏返しになることで成立している。わたしは裏返しだった。つまりかつてわたしがわたしだと感じていたものの反対側にわたしはいるのだった。  昔は自分を畸形のように考えていた、でも実際には畸形でさえなかった。形のないものを畸形的だと誰かが言えるだろう、実際には無だった、わたしがわたしになる前に生まれたような無だった。わたしではないもののすべてがわたしで、わたしの顔をし、わたしの思考をし、誰かのことを考えているこのいきものは、わたし

詩 血統書(2018年)

ヘモグロビンは酸素を二酸化炭素に変える赤色、 葉緑素は光を酸素に変換する緑色、 かつて原始的な細胞が真核生物になり、 35億年以上昔に、植物細胞と動物細胞に分かれたころから、 二つの種族は共生関係にあったのだと本で読んだ。 樹木はわたしの遠い祖先が生きていくための必要条件をくれた、 より遠い太古には、同じ祖先だった、そういう種族の末裔だと。 そして植物は最初に陸地に上がり、 空の上にオゾン層を作った。 わたしが朝の植物に奇妙ななつかしさを感じるのは、 海から上陸したばかりの

詩 虚数時間について(2018年)

宇宙の始まりは無であり、 その無の宇宙は量子トンネル効果によって、 虚数時間の世界からこの実時間の世界に現象し、 無は真空となり、 真空はその無秩序性によってエネルギーを持ち、 それによって空間そのものを斥力となって押し広げていき、 そうすることによって宇宙の温度は急激に下がり、 余ったエネルギーは熱放射となって拡散する、 それによってビッグバンが起きる、 という説を読んだ。 量子トンネル効果というのは、ある素粒子が、ごくまれに本来すりぬけることのできない空間をすりぬけてし

まとめ 折り返されて(2018年)

久しぶりに読み返したところ、色々変えた方が良いと感じたところがあったので全体的に言葉遣いを変えたり、一部削除したり修正したりしました。前よりも読みやすくはなったと思います。(2018/12/29) 折り返されて 「魂はみずから生気あらしめている肉体の中よりも、むしろ自分が愛しているものの中に住む、なぜなら魂は肉体の中に生命を有しているのではなく、むしろ肉体に生命を与え、自らが愛しているものの中に生きるからである。」(十字架の聖ヨハネ) 1 秋だ。遠く広がる眺望。 あな