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フラットアースの初めての挫折のために

この2021年の10月から11月にかけ、フラットアースは挫折したと思う。それはムーヴメントとして挫折した。フラットアースの論そのものが挫折したわけではない。むろんムーヴメントが長い道のりになるであろうことは最初からわかってはいたが、たぶん今回が初めての挫折だったのだ。だからとても戸惑い、落胆した。

当初はムーヴメントは衰えを知らないように見えた。なんといっても確実な観測観察が可能なバキバキの事実であるし、当然いわゆる球体派の反論は(そして振る舞いも)話にならないことは見てとれるし、このままフラットアース論は確実にゆっくりと、人と人を通じて必ず知られて、広まってゆくはずだという確信がコミュニティ内部にはあったと思う。だがそうはいかなかった。

支持者が増えるにつれ、やがてビジネスマインドがどこからか頭をもたげてきて、特にYouTubeで登録者数や再生回数のうんと多いチャンネルが登場してフラットアースを語り始め、そこにスピリチュアルやQアノンなどを混ぜていたりもしたが、結局はそのトータルの論筋はガバガバに甘く、表現はネトネトにエンタメであり、薄く、要はフラットアース論そのものの信頼を損なったように映ったのだった。またその主催者たちが旧来のフラットアースコミュニティにも関わっていて、強い力でもってなし崩し的にムーヴメントを先導してゆくように一瞬見えたこともあり、とても混乱した。これは以前には起こらなかった出来事と思う。

つまりそれより以前には、「フラットアース」というキーワードに触れて、ピンと来て、何かしら感ずるところがあり、独自に考え進めることのできる人物に対しては必ず説得力をもって論を届け切ることができる状態であったのが、そのようなコンテンツに触れてしまえばフラットアースはゴミ論者のクズ論として一瞬で切り捨てられる可能性が突如として出てきたというわけである。なんと外部ではなく内部から、論の姿勢ごと崩壊しつつあったのだ。

つい先日、日本のフラットアースムーヴメントの先駆者のひとりであるREXさん(彼がオンラインサミットの停止を告知したこともこの変化の明らかな目印のひとつであった)が「日本のフラットアースは潰されつつある」と語っていた。僕はその詳しい事情まで知る由もなく、その落胆ぶりに胸も痛むが、ひとまず当初の目測のようにはいかなかったというだけではある。別に地面の形も空の向こう側の仕組みも変わってはいない。そしてこれからもフラットアースムーヴメントは種々の挫折を都度あたらしいかたちで経験することになるとは思うし、彼らビジネスマインデッドにガバい論者は最終的にはムーヴメントから振り落とされた者々として結果的に記憶され、振り返られることになるだろう。彼らは何かに我慢できずに、これほど重要な情報を私物化して利用して換金しようとしたのだと笑われるであろう。そして何もわかっていなかったのだと評されるであろう。潰されたのはフラットアースではなく、彼らである。日本のフラットアースムーヴメントの初めての挫折のために、そして次の挫折のために、乾杯しようではありませんか。

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