今回は、「どう食べるか」というテーマのお話です。 ネットでも雑誌でも「痩せる食事」はいつもホットな話題ですね。さまざまな食事法が紹介されていて、どれ実践したらいいのか分からなくなります。 でも、一つ確かなことは、自分が長く続けられない方法は初めから選ばないこと。一時的に極端な方法をとって痩せたとしても、元の食事に戻ればリバウンドするのは目に見えています。また、体に良い食事というのは、いまあなたが太っていたとしても、痩せすぎであったとしても同じはずです。なので、私が食事療法
もう、これは、みんな分かっていて、もはや口に出すことも憚られます。でも運動なしに肥満解消はあり得ません。お薬はあまり関係ない話ですが、大切なことなので合わせてご説明したいと思います。 以前、同じカロリーを食事制限で減らした場合と運動で消費した場合、どちらがより痩せたか、という研究がありましたが、答えは「運動で消費した方がより痩せた」でした。理由は色々と考察されますが、定期的に運動をするようになると健康に対する意識が自然と高まり、無意識に体にいい食べ方を始める、という効果も大
数年前に流行語にもなった「コロナ太り」。もちろん外出を自粛したための運動不足は大きな要因ですが、ストレスも関与しているのをご存知でしょうか。 ストレスを感じると無性に食べたくなる、という経験は誰にでもあるもの。これは西洋医学的には、食欲刺激ホルモン「レプチン」がストレスによって過剰に分泌されるため、と説明することができます。また、ストレスによって成長ホルモンの分泌は低下するために新陳代謝の低下がもたらされ、肥満を増悪させる原因となります。(レプチン、成長ホルモンについては、
「漢方薬で痩せますか?」 特に中年以降はダイエットをしても体重が落ちず、そう言って当院にいらっしゃる患者さんもおられます。「生薬の力で内臓脂肪を燃やす!」的なテレビコマーシャルがありますね。多分それをご覧になって来てくださっていると思うのですが、人を対象とした研究では、誰でも飲めば痩せるといった証拠(エビデンス)のある漢方薬はありません。残念ながら。 では、漢方薬を飲んでも絶対やせないのかと言えば、痩せたとお喜びの方もおられます。そもそも痩せるとはどういうことなのか、漢方
今回は腹式呼吸のポイントについてお話しします。 ①首と肩をリラックスさせて、まっすぐ座る リラックスするときは、先に力を入れるのがコツです。息を吸いながら首をすくめて、耳に肩をつけるようにグーっと引き上げ、息を吐くと同時にストンと脱力します。これを2ー3回繰り返してください。姿勢は坐骨の真上にまっすぐ体重をかけるイメージですが、とりあえず猫背にならないような感じで楽に座ります。 ②お腹に力を入れる=吐く 呼吸というと吸うことを意識しがちですが、大事なのはむしろ息を吐く
呼吸が苦しい、息をすると胸が痛くなる、息を吸っても酸素が入ってこない、酸素がうすく感じる。そんな患者さんが時々来られます。内科で血液検査をしても、肺のCT検査をしても異常は見つかりません。 診察をした時、そのような患者さんに共通しているのは「胸式呼吸」をしているということです。呼吸には「胸式」と「腹式」がありますのが、まずはここからご説明しますね。 呼吸とは、平たく言うと肺が膨らんだり縮んだりして行う酸素交換のことですが、肺には筋肉がないので自分で膨らんだり縮んだりするこ
だるさはとても厄介な症状でありつつ、西洋医学では治療方法がないものの一つです。 通常、だるさのために内科を受診した場合、貧血や甲状腺ホルモンを含めた血液検査を受けることになります。もし、食欲がなく急に体重が減っていれば、胃カメラなど画像検査まで受けることもありますが、これらで異常がない場合、「夏バテでしょう」「過労でしょう」ということになります。 漢方の見方をするとだるさの原因にはさまざまなものがあり、原因に合わせて治療を行なっていきます。だるさの漢方薬で大変有名なものに
緊張する場面でお腹が痛くなったり、下痢をしたりするのは比較的よくみられる症状です。特に10代から20代の若い方で多く、「試験の時にお腹が緩くなって困る」とか「電車に乗っている時にお腹が痛くなる」など日常生活に支障をきたす場合もあります。病院で大腸カメラなどの検査を受けて異常がないと過敏性腸症候群の病名がつき、腸の運動を整えるお薬が処方されることもありますね。自律神経失調症の一つに数えられます。 まず、過敏性腸症候群をストレスと食欲の関係から考えると、ストレスで①食べられなく
梅核気の続きです。 ここ数年、繊細な気質をもつ方を指すHSP(Highly Sensitive Person)という概念が知られるようになりました。神経が細やかで感受性が強いゆえに生きづらさを抱える傾向があり、例えばコロナ禍や有名人の自死など、周囲の不安や悲しみに強く影響を受けて自ら体調を崩してしまったり、周りの人がどう思っているか、とか、周りがうまく行くにはどうしたらいいか、などと考えすぎてしまったり、自分を後回しにしてでも人を助けたりして疲れ切ってしまう方、当院にもよく
自律神経がなぜ失調するのか、前回ご説明しました。自律神経が失調すると、これが支配している内臓や血管が影響を受ける、ということもご理解いただけたと思います。 では、そこで現れてくる症状が動悸であったり、吐き気であったり、息苦しさであったり、人により異なるのはなぜでしょうか?、私は元々その人が持っている弱点が自律神経失調とともに現れてくるからではないか、と考えています。 例えば、自律神経失調症状のひとつに、梅核気(ばいかくき)があります。咽に梅干しのタネが引っかかっているよう
自律神経とは、まず少し噛み砕いてご説明します。 自律神経とは読んで字の如く「本人の意思とは関係なく自律的に働く神経」です。カラダの中で自分の意思とは関係なく24時間働いているところ、すなわち、内臓や血管などの働きをコントロールしています。例えば、走った時には心拍数が上がりますが、これは走って筋肉が必要とする酸素量が増えるのに合わせて自律神経が勝手にやってくれることです。逆から言えば、走っている時に心拍数を落とそうとしても、自分の意思ではどうすることもできません。つまり、自律
自律神経失調ってなんだろう自律神経失調症ってなんだろうなー、と学生の頃漠然と思っていましたが、ついに医学部では教わることなく卒業に至りました。なぜなら、西洋医学では「自律神経失調(症状)」はあっても、「自律神経失調(症)」という「病気」はないからです。 でも、医学生が研修医になると、急に自律神経失調(症状)に頻繁に遭遇するようになります。「朝起きられない」「だるい」「めまいがする」「動悸がする」「急に汗が出る」「いつも下痢をしている」などはよく見られますが、患者さんが外来を