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リーダー修行記④(トライアルには魔物がいた件について)

 (初リーダートライアル本番編です。準備編はこちら

 何を言っても言い訳だが聞いてくれ。
 リーダーは過酷だった……以上。


 いや、自戒のためにもちゃんと書こう。

 これは、イタリアから特急で取り寄せたメンズフルセットの完璧なリーダ装備で、女子リーダー友(完全に巻き込み出場)の「こ、これ、ネタ出場ってことでいいんだよね?」という不安げな声に「私はガチですけど何か?」と真顔で返し、ホテルでの石つきドレストライアルの数倍は真剣に挑んだ1分20秒の記録である(プロジェクトX風)。

 今回は、競技会の後に併設されたトライアルイベントで、私はワルツとルンバにリーダー側(男女逆転)でエントリーしていました。(モダン人なのになんでルンバにエントリーしたかといういきさつはいろいろあるのですがここは端折ります。)

 会場で配られたタイムスケジュールがきっつきつで、ゆうてもさすがにこんなにきっつきつでやらないだろうと高をくくってたら、プロ表彰式が終わったとたん、本当にブレイクなしで始まったのでまずそこで焦りました。あわててシューズを履き、ネクタイを締め(高校の制服、ネクタイでよかった…)、改めてフロアを観て、また焦りました。

 なんでチャチャなの?

 スタンダードから始まると聞いていたので、私と先生の間では、以下のような予定が組まれていました。

 ワルツに出る→空き時間に練習してからルンバに出る

 私、スタンダード専門の教室に通ってますのでね。先生もスタンダード専門の先生なのでね。ワルツはなんとかなってもルンバはそこそこやばい。当たり前だけど普段やってないし、ルーティンを作ったのは私でも先生でもない。先生、専門外の種目のパートナー側を他人のルーティンで踊れ、というむちゃくちゃなオーダー、よく受けてくれたなあ、10日前に

 あとで聞いたところ、この日のプロ競技会は、午前がラテン、午後がスタンダードだったので、先生たちが着替える時間が必要だろうと、トライアルもラテン→スタンダードの順番に変更されたそうです。運営の方々も、さすがにスタンダードの表彰式に出る先生がラテントライアルに出るとは想定していなかったらしい。

 表彰式からダッシュで着替えに行く先生。ルンバ…ルンバぶっつけ?とひとりでおろおろする私。さっきまでワルツのフロアクラフトのことしか考えてませんでしたよ、どうするのこれ。しかも…しかも…なんだこのレジェンドだらけのフロア!!
 わ…私、全日本チャンプと楠先生と一緒に踊るの?リーダーで?スタンダードの先生相手に?

「ルンバが先になっちゃった、ちょっと練習しようか、あ、僕ネクタイ大丈夫かな?」
………私も動揺していたが、着替えて走ってきた先生もわりと動揺していた。

 とりあえず客席の端でベーシックルーティンを確認する我々。レジェンドたちと、ガチラテン人の生徒さんがキレッキレで踊るフロア。なんだろう、この圧倒的な場違い感…。

 いや、でも、私たちモダン人ですから!という空気を全身で発してたら、運営と客席のみなさんが生暖かく見守ってくださり、先生がパートナーなりきりアドリブで和ませてくれたので、なんとか間違えずに踊りきりました。

 はあ…なんとかなった…(げっそり)

 と思ってたら、また名前呼ばれた?
 なんで?
 あ、ルンバのあとがワルツなのか。そうか。とりあえずフロアに出るか。

 ん……?

 あれ……?

 そ、そうか。踊り出しの場所決めるの私か。先生が連れてってくれるわけじゃないんか。リーダー、私か。まじか。ルンバで頭がいっぱいすぎて、なんも考えてない!!!

「どっ、どこから始めれば……?」

 フロアの上でパートナーに聞くリーダー。

 ま、まあ、あれよ。ワルツはわりと練習したし、先生は専門だから、こっちはなんとかなるやろ。

 そして音楽が鳴り始め。
 
 そこそこイメージ通りに組めて。

 自分のタイミングでうまく音楽に乗れて。

 気持ちよくプレパレーションをして……

 ……たら視界の端に他のカップルがうつ……うつったけど!いま止められん!

 勢いでナチュラルターンに入ったものの、ナチュラルターンの角度だと私の視界はほぼパートナー様の身体でふさがれるので「多分さっきのカップルはこの辺にいるだろうな」という想像しかできない。彼らがどっちに動くかは想像もできない。

 いやでもごめん、避け方とかわからへんねん。このタイミングでそれは無理やねん。そっちがプロリーダーやし、当然避けてくれるよな?

 という気持ちでスピンターンしたら、他カップルに衝突覚悟で突っ込む爆走リーダーに恐れをなしたのか、スーパーパートナー様が次のルーティン間違えた

 スーパーパートナーがルーティン間違えた。

 なんで?なんで回らんの?リードできてないからか?本番でハイドになるか?ここでなるか?それはなしやろ!

 とそのときは慌てたけど、単に間違えただけ、らしい。

 その辺で軽くパニックを起こした私、その後はほとんど逆リードされておりました。
 はあ、男性の先生と組んでよかった…死ぬかと思った…。

 そんな感じで怒涛の1分20秒は終わりました。リ、リーダー…過酷すぎる。パートナーの5倍くらい疲れる…。
 でも、たくさんの人に応援してもらえて、(衣装が)かっこいいと言ってもらえて、大変だけど楽しい時間ではありました。JDCのこういうアットホームな雰囲気が好きだよ。
 リーダーセットも買ったことだし、次のチャレンジを目指して修行を続…続けたいと思います(つ、疲れた)。

(おわり)

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