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マザーグースの忘れられた謎々⑦

今回は「靴に住んでたおばあさん」他です。

原詩1

There was an old woman who lived in a shoe,
She had so many children she didn't know what to do;
She gave them some broth without any bread;
She whipped them all soundly and put them to bed.

(拙訳)
靴に住んでたおばあさん
困っちゃうほど子だくさん
パンはやらぬがスープやる
鞭を鳴らして床へやる

理由

so many childrenは5本の足の指。
また、brothとbreadからbloodを連想。
足の指に血液を供給するというわけです。
さらに、bedを「床面」の意味に取れば、put them to bedは「床に足を下ろす」、whipped them all soundlyは「足音」に。

回答

従って、私の回答は「足首」なんですが。
もし、このライムの「元々の形」がan old womanでなくan old manだったとすれば、本来はuncle→ankleの洒落が謎々の答として折り込まれていた、のかも知れません。

原詩2

When I went up Sandy-Hill,
I met a sandy-boy;
I cut his throat, I sucked his blood,
And left his skin a hanging-o.

(拙訳)
砂地の丘を上っていくと
砂色髪のぼうやに会った
彼の首切り汁啜り
皮を吊るして置き去りに・・・おお!

理由

sandy①砂の ②(頭髪が)砂色の、薄茶色の
throat①喉 ②(器物などの)首、口
blood①血液 ②(果物などの)果実、樹液
skin①皮膚 ②(野菜・果物などの)薄い皮
(硬い皮はrind、オレンジではpeel)

砂色の果実を枝から切り離し、果汁を啜って内袋の皮を捨てた・・・とまあ、こんなお話。

回答

夏目康子『不思議の国のマザーグース』にも答が「オレンジ」だと紹介されています。

ならば、もしかすると4行目は
And left his skin hanged O.
のような形だったのではないでしょうか。
hの文字の中にrの文字が含まれるので
hanged+O→orange、というわけです。

韻だけ見れば、2行目のIの前にもmで始まるMidとかMiddleとかが入ってたのかも。
などと「元々の形」を考えてしまいます。

原詩3

Rats in the garden, catch 'em Towser,
Cows in the cornfield, run, boys, run;
Cat's in the cream pot, stop her, now sir;
Fire on the mountain, run, boys, run.

(拙訳)
ラットたちが庭に タウザー、捕まえて
雌牛たちが畑に 少年よ、走れ
猫がクリーム壺に あなた、止めて
炎が山に 少年よ、走れ

理由

2行目のCowsとcornfieldのC、3行目のCat'sとcream potのCを見ると、4行目のFireのfとmountainのmが不自然です。
fとmの頭音転換を考えるべきでしょうか。

回答

mire on the fountain(水溜まりに足を踏み入れてしまった)が頭音転換の言い間違いでfire on the mountain(山火事)に。
シンプルな言葉遊びですが、それなら1行目のRatsだってgardenのGに合わせてGnatsか何かにすべきだったのでは・・・。
「元々の形」が気になります。

まとめ

今回は「元々の形」を想像したくなる謎々詩を3つ取り上げました。
いったん謎々であることが忘れられてしまうと、詩の形は自由に変化するようです。
ミーム進化って面白いですね。



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