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小さな地球儀の広い世界


大学の卒業旅行でハワイに行った思い出は今の自分を形作る重要なポイントになった。
今でも写真を見返しては、感傷に浸るくらいには最高の時間だった。
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ダイアモンドヘッドから見た朝陽が絶景だったのはたしかだ。今まで見た景色の中でも特に美しいものだった。
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だけど果たして、それと比べられるような景色を僕はいくつ見てきただろうか。

人は、自分がかつて経験した物事からしか、想像も、創造もできない。
よく僕たちが言う「やりたいことがない」というのは、これまで自分自身が経験したたったいくつかの、おそらく100にも満たない体験の中にやりたいことが見つからなかっただけなんだろう。
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僕はそれに気づいた時、はじめ後悔した。
今までの人生で自分は何をしてきたか、何もできてはいないんじゃないか、もっといろんなことを経験する時間はあったんじゃないか。

いや、違う。

これまで自分はよくやってきた。
かけがえのないものをたくさん得てきた。
そのおかげで今気づくことができた。
後ろを向くな、前を向こう。
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僕は小学生になる前、初めて地球儀を見た。
小さい地球儀だった。
自分がどこに住んでいるのか知った時、思ったんだ。
この小さな地球儀に映る、小さな小さな島国の、点にも満たない場所に僕は生きている。

どうして?って。
疑問を投げかけた英会話教室の先生がなんて答えたかなんてもう覚えてない。
でも、あの日から僕の中には大きな憧れが生まれたんだと思う。
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気がつくと僕は、1つの宗教に囚われて生きていた。
「普通が幸せ」ってやつだ。いい高校、いい大学、みんなが知ってる企業、結婚して、子供を産んで、マイホーム。
孫に囲まれて死ぬ。

日本は無宗教というけど、これはもう宗教だと思う。
ほとんどの人がそれこそ幸せだと信じて疑わない。
たしかにそれも幸せの形の1つだと思う。
でも「幸せ」なんて抽象的な指標は、人それぞれであってしかるべきだ。
誰かにとっての幸せを、おかしいと笑うことは決してできない。
こんなふうに、こっぱずかしい文章をつらつらと垂れ流す僕のことを笑うことだってできないんだよ。
僕は好きで、ただ楽しくて書いているからな。
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僕は20年の時を経て、原点に戻った。
5歳の自分の為に答えを探す。
ダイアモンドヘッドより美しい景色を探して、自分にとっての幸せを見つけるんだ。

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