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わが家のスプーン

食べるための道具で一番たくさん持っているのがスプーンです。

どうしてかお店で「目が合ってしまう」スプーンから強い引力を感じ、わが家にお迎えすることが昔からあります。
そういうものはわたしにとって、理由なく買ってしまうもの=縁起のいいものと感じているのかもしれません。


この↑スプーンは、ピカピカのステンレス製。大阪の中崎町にあるナベルというスーパーで買いました。ナベルは下町風の不思議なスーパーで、鍋の種類が豊富です。
鍋だけではなく荒物全般豊富に売られているのですが、そこで一つだけバラで売られていたものです。
300円くらいでした。

よく見る大きさのカレースプーンよりも小ぶりで、でもあれよりもずしっと重いです。金属が凝縮されている感じです。重みが非常に使いやすいと感じています。
はっきりとはわかりませんが、燕市のプロダクトっぽいと感じています。

このスプーンが今一番の働き者です。一人分を作るので、鍋もフライパンも20センチ以下のものを使いますが、野菜を炒めるときも、鍋を混ぜるときも、このスプーン一つあれば大丈夫。
中でも特筆すべきは味噌汁を作る時。ひと匙分の味噌が、ちょうど良い分量になるのです。
(一日一回、小さなどんぶりくらいの味噌汁を飲んでいます。)


こちら↑はデザートスプーン。わが家のNo.2です。イノブン(京都の老舗の雑貨屋)で買った、カイボイセンです。
どこかの国の王室御用達です。

表面がマットなステンレス製。このスプーンとの付き合いも非常に長く、付き合えば付き合うほどしっくり馴染んでいてもはや空気のよう。

二つ買って、一つを使い、もう一つは引き出しにしまっていたのですが、
実家ではスプーンがときどき神隠しにあいます。その原因は突き止めることができず、神隠しとしか言いようがありません。
一つめのカイボイセンのスプーンは神隠しにあい、非常に悲しい思いをしました。
実家を出て、二つ目のこのスプーンをおろして使っていますが、何年経ってもなくなる気配はありません。
ヨーグルトやジャムの担当をしています。


これらは木のスプーンで、わが家ではあまり出番はありません。時々塩をすくったりするくらいです。
上はグリーンウッドワークという作り方で教えていただきながら作ったものです。何度かカレーを食べたので、黄色く色がついています。

ここからはほとんど使わないスプーンです。


これら↑は、銀製のスプーン。思い出せませんが、どこかの古道具屋さんで買いました。一つ500円ほどでした。
このスプーンが台所で活躍したという歴史はありません。引き出しにずっと入っていて、時々取り出してうっとり眺める感じです。
梅っぽいお花の装飾が好きです。

一度、スプーンとしての使い方ではなく使ったことがあります。専用の金具をつけてイヤリングにし、サリーを着た時の耳飾りにしたのです。意外に違和感なく、耳飾りでした。

銀なので、表面が黒くなっています。ピカールで磨くと、銀色が出てきますが、このくすんだ感じが好きです。


これ↑は真鍮の小さなスプーン。スパイス用です。小指の先に乗るほどしか掬えません。友達に誕生日プレゼントにねだって買ってもらいました。
以前は塩を掬う第一線で活躍しましたが、緑青が出るので使わなくなりました。
緑青が浮かぶ景色を楽しむために持っています。

最後に、最近買ったスプーンです。


これ↑は、栃木の古家具屋さんで買いました。300円くらいです。スプーンを買うのは久しぶりのことでした。
ペラペラでサビサビで、道具として使うのではなく、これも景色を楽しむもので、窓際の日当たりに居場所を見つけ、鎮座しています。
初めは屋外に置いていましたが、カラスが攫うと悲しいので、屋内に入れています。

以上、わたしの持つスプーンの全てです。

道具としては、燕市風とか、北欧風とか、質素堅実なものがよく、
それとは別に錆などの景色を楽しむためのスプーンがあるというのは、言葉にしてみて自分でも不思議に思うところでした。

2023/02/18

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