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道具 1、地下足袋

何やかやとやりかけて、やっぱり庭仕事が好きだなと思う。

大学の頃庭づくりの授業があったのがきっかけで、植木屋や庭のアルバイトをしてきた。

印象的な光景は目に焼き付いている。
どこにどんな木が生えていたとか、
空が暗い雪の日に作業したこととか、
親方がでっかい焚き火をしていたこととか、
施主のおかみさんが白い椿を指して、その名前を「侘助」と呼んだこととか。

過酷な現場であるほどよく覚えているけど、辛いよりも、美しいものを見た、感じた記憶に昇華している。

地下足袋の土の上にしっかり立てる感じが好きで、何代も履いている。
縫い付け足袋。
苔を荒らしたくないので、底があまりギザギザでないものを選ぶ。

一年前、移住した時も、作業する予定はないけど道具袋と地下足袋を持ってきた。
久しぶりに地下足袋を出してみると、甘いような土の香りがする。他には煙の匂い、松葉のような匂い。道具袋の中からも同じ匂いがする。

庭仕事をしていた時には意識していなかったが、そんな香りに始終囲まれていたと思う。

今日はくたくたの地下足袋や鉄製の道具などに、やけにくっきりとした存在感を感じた。

2023/01/26

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