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続・まとめ (技術編)

前回のマシン編、基本的な事ばかりでそんな事知ってるよ!って人も多いのではないかと思います。もっと、エンデューロに特化した上位に入る為の特別な情報は無いのか?とか…。

実際、秘中の秘みたいなカスタムしている人もいますが、ヒルクライムだけに特化させる為だとか、一般的なライダー全てに有効なセッティングみたいなのでは無いと思います。

しいていえば、サスやエンジンの特性をマイルドにさせるだとか、乗り易くする為のカスタマイズ、皆さん知ってますよね。

なので、乗り易くする=扱い易く疲れない=操作し易くミスし辛い=速さに繋がる。その為にも基本の状態を良くするというのが欠かせないのです。

さて、マシンの次は技術です。

これも色々ある為、一つ一つの技術のやり方についてまで言及すると長くなるので、HOW TO物はまた個別にアップしていきます。どのような技術が必要かを箇条書きにしていきます。

大まかに3つ

走破性
リカバリー
スピード

です。

走破性

まずはセクションを越え、周回出来ない事には始まりませんよね。特にハードエンデューロでは1周出来るか出来ないかで入賞の可能性もあったりしますし。では、走破性を上げる為に何が必要か?を挙げていきます。

ライン選び(単に皆が通ってるワダチに沿って行くのでは無く、1つのセクションで数本は探す。下見でのベストラインは渋滞や掘れて使えない場合が多い。ワダチとワダチの間やコーステープのギリギリに良いラインがあったりするので視野を広く持つ事)

モーメンタム(日本語で言うと「弾み、勢い、推進力」です。単にスピード任せで突っ込むという話では無いので、敢えてモーメンタムとここでは英語で説明します。そのセクションを越えるのに必要な分の勢いだったり、ゆっくりとでもゆるゆると進んでいる状態もモーメンタムです。ヒルクライムだと特に助走での勢いや、途中で失速しそうになっても閉じ切らずにジワジワ進んでいると成功するのもモーメンタムがあるからです。止まってしまって同じように開けても登らないのはモーメンタムが無いと言えます)

荷重抜重(レーサとかサスペンションの性能が良いバイクに乗っていると何もしなくても越える場合がありますが、やはりサスペンションの反発や吸収を活かすにはライダー自身がバイクの動きの邪魔をせず、更に引き出す必要があります)

ヒルクライム(登れるか登れないかで周回にも響く一番の勝負所ですよね。第一に助走を上手く取れるかどうかで殆ど決まる。短い助走でも加速に繋げられる、ヒルクライム中にラインが変えられる、途中で止まってもイゴって登れる事。イゴれない様な長く急なヒルクライムも何度も練習して慣れる事が大事)

ダウンヒル(怖いからか練習しない人が多いですが、レースだと下りは抜けるポイントにもなりますし、安全の為にも習熟が必要です。路面や斜度に合わせたブレーキングとカラダの使い方、ロック手前の感覚やリリースするポイント、アクセルを開け足す場合など)

キャンバー(ステップ荷重で谷側に少し車体を傾け、低回転、高めのギア。ソロソロとグリップを確かめつつ崩さないように走ったり、スピードを乗せてバンクの様に見立てて走ったり。急なアクセルやハンドリング、山側に傾けない事。タイヤの選択で結構変わる、横一列パターン、サイドのブロック間隔が狭いと刺さらず滑り易いイメージ)

ステア(フロントアップのスキルが身に付いていないと越えられなかったり、バイクを打ち付けて壊したり怪我したりするのでこれも要練習です。コンクリートや岩でいきなりやるのが怖いなら丸太や木で出来たステアで練習を。)

丸太(レースだと2連、3連とイヤらしい間隔で置いてある事多く、力技でも越えられますが体力と時間が奪われます。これもフロントアップのスキルが必要ですが、丸太ならではの攻略法がいくつかありますので別の記事で…)

ガレ場(段差でハンドルが取られ、突然滑ったりグリップしたりして、難しく体力も奪われる場所です。タイヤの選択や空気圧で大きく変わる。カラダの荷重抜重、低回転、高めのギアで勢いを殺さず転がす様に進むなど)

ヤチ(ライン選びとスピード。1速でトコトコ進んで嵌ってから全開とか×。埋まる前に前に進むだけのスピードと回転が大事。皆が通るラインは掘れているが、下の固い路面が出ているならアリ、泥沼みたいなのは逆に深くなってて埋まるのでナシ。怪しそうなら他のライダーを行かせて安全かどうかを確かめるのも手。渋滞で前のライダーの後ろに近過ぎると泥が掛かるので距離を取る事)

マディー(タイヤの選択と空気圧が大事。ブロック自体が固く、高さがある事で引っかき、空気圧を減らす事で接地面を広くする。トレッド面やサイド面の柔らかさ、ブロックのパターンで色々と違いがある。高めのギアでスピードを乗せる、回転はスピードと路面状況にあった回転で。スピードが低いのに回転が高いと滑るし、回転が低過ぎてもスピードが乗らない。開け続ける事でタイヤを路面に押し付ける。押し付ける為に車体やハンドルを地面に垂直に、カラダは普段よりも後ろ気味にしてステップでしっかり荷重を意識するなど)

根っこ(レースも後半になると出てくる根っこ。手前でスピードを乗せて根っこの部分ではクラッチや抜重で抜く。引っ掛かったらそのまま全開は更に掘れるので×。少しバックして間を開けて勢いを付けて越える。ヘルプで引っ張って貰うならバイクから降りて押す事)

ウッズ(木立の間隔とハンドル幅、コーナー部分の立木とバイクの内輪差、コーステープ内での隠れたラインの発見など。ついつい前のライダーに付いて行きがちだけど、常に抜ける場所が無いか?楽なラインは無いか?を考える場所でもある)

ワダチ(掘れる前は一番楽なラインだったはずだが、空転した後輪が蛇行して掘れたワダチはトレースするのが難しかったり、ワダチが深くなればステップが引っ掛かったりする。ワダチとワダチの間の凸部分を走る、ワダチを斜めに横切って使う、ワダチの外にあるバンク上の壁を走るなど。特に登りでターンのある所は掘れやすいので、フロントタイヤをワダチの外に出して走ると曲がれる)

サンドや玉砂利(山系のレースだとそういう路面に出くわす事があまり無いが、開けてスピードを乗せられるかどうか、減速時やターンの時にフロントが取られるのでハンドルを切れこまないようにする)

リカバリー

一番良いのはミスをしない事ですが、上手い人でもミスはします。しかし、上手い人はミスしそうな時に大きなミスにならないようにしています。また、ミスしても効率の良いリカバリーの方法を知っています。そして、素早く再挑戦するから早いのです。

リカバリーはかなり体力を消耗しますので、どうやれば体力を温存してレースを乗り切れるか?を挙げていきます。

ミスしそうな時の兆候を知る(助走で振られた&スピードが出ていない。途中で足が外れたり、跳ねられたり。頂上手前で明らかにスピードが足りない、空転しているなど)

ダメと分かったら早めにUターンの準備に入る(頑張れば何とかなるのでは…で投げる、谷側に倒すよりも、もう一度やり直した方が時間も体力の消耗が少ないです。ミスの兆候があったら早めに判断。止まる時も真っ直ぐな状態で止めず、ターンし易いように斜めにして止める。)

万が一倒す場合も山側に倒す(スピードが乗っていて止まれず倒す場合もライダーが飛び降りつつ、山側に斜めに止まれるようにする。シッティングだと飛び降りるのがなかなか難しいはずなので、スタンディングの方が対処が早くできると思う(普段殆ど座らないので…))

押しで登るのは最終手段(重たいバイクを押すのは物凄く体力が要ります。ヒルの頂上手前で何とか登りたい気持ちは良く分かりますが、それが本当にあと1mとか、下で渋滞しているなら良いですが、混んでいないでそこまで難しくないなら下に降りてもう一度やり直した方が体力と時間のロスが少ない場合もあります)

ミスコースやラインを変えたい場合(狭い場所とかで曲がる場所を間違えて戻りたいとかでバイクから降りて引っ張ったり押したりするのは体力の無駄遣いです。斜面を使って切り返す、ピボットターンするなどエンジンのチカラや重力を利用します。跨ったままでは出来ないならバイクから降りてすればOKです)

スピード

ハードエンデューロはセクションを走破する事に重きがあるとはいえ、やはり他のライダーよりも早く走らなくては順位も上がりません。なので、どうすれば早くなるのか?単純にアクセル開けろっていう話では無いですw

ミスしない(先程のリカバリーの部分そのまんまですが、ミスしてリカバリー、疲れて休む、再チャレンジに渋滞待ち…がかなりの時間を奪います。幾ら飛ばしていてもワンミスでレース全体での平均速度は下がってしまいます。時間だけでなく、体力も奪いますので、その後スピードアップするのは難しいでしょう)

リエゾン区間も開ける(セクションを越えてホッとしてしまい、休憩も兼ねてゆっくり走ってしまう事がありますが、上を目指すなら飛ばせる所は飛ばしましょう)

渋滞で待たない(ベストラインが空くのをずっと待つのではなく、助走が無く少し悪いラインでも行ける技術を身に付ける。渋滞の前に出ようと前に出る時も、そのノロノロ進んでる分も助走区間と捉えて止まらず加速に入る)

どうしても待つ必要がある時に最大限休む(ラインが1本で前が詰まっている時にエンジンも切らずずっと戦闘状態みたいな人がいるけど、エンジンオフにしてドリンク飲んだり、腕を振って疲れを取ったりした方が良いです。どうしてもカラダが動かないなら、コース脇に停めてヘルメットも脱いで数分だけ完全に休むとかも手です。無理しても良い事はないので)

詰まった前のライダーをヘルプする(ワダチで前のライダーが嵌った時に抜け出るのをジッと待つよりもヘルプしてサッサとラインをクリアにした方が早い場合がありますのでガッツリ嵌っている場合は声を掛けましょう)

かなり長くなってしまったので、技術に関してはこれ位で。細かい事は個別の記事で書く事にします。

次回は体力編です。

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