季語研究 「夏休み」 -こんな自由研究はいやだ!-

★★★けろけろ道場 季語研究★★★
No.34【夏休(なつやすみ)】(三夏 / 生活)

● 概要
 学校や会社で夏季に設けられた長期休暇。学校では七月中旬から八月中、会社ではお盆前後の数日を休暇とすることが多い。

●    傍題
暑中休暇 夏期休暇

● 季語について
 夏休みといえば何を思い浮かべるでしょうか。キャンプや海水浴といったレジャーでしょうか。勉学や部活に明け暮れた日々でしょうか。
 夏休みはとにかく時間を自由に使え、その後の人生の糧になるように思えます。
 さて、季語研究ですが、今回は趣向を変えて、大喜利を披露していきたいと思います。お題は「こんな自由研究はいやだ!」
 第3位から見ていきましょう。

【第3位】卵、牛乳、野菜!市内のスーパーの値段を徹底比較!
 市内スーパーにおける卵、牛乳、各種野菜の値段を毎日調べ、折れ線グラフにします。夏休みの自由研究という性質上発表される九月には「過去のデータ」となるのが苦しいところですが、大きな傾向が読み取れるだけでも十分に有意義な研究と言えるでしょう。
 だがしかし、これは小学生にして欲しい研究ではない。ということで、残念ながら「こんな自由研究はいやだ!」第3位とさせていただきます。
 先生、呼び出して説教したうえでその日の買い物の参考にしたりして。
【第2位】クラスメイトの自由研究調査!流行りの自由研究はこれだ!
 『サザエさん』のカツオ辺りが考えそうな、小賢しい系の研究です。当人が思っているほど奇抜な研究ではないのも痛々しいです。このような研究が高い評価を受けることはなく、ネタ枠とするにも中途半端。「いや」度は高いので、堂々の第2位です。
【第1位】独占取材!私の兄は何故働かないのか?
 「お兄さん本人が研究に協力的ならいいのでは?」と思ったあなた、甘い。小学生の弟又は妹がいる彼もまだ若くて物事の分別が付いておらず、ノリでインタビューを受けてしまったのでしょう。彼は同じ町内の少し下の世代四十人に対して無職であることを印象づけてしまい、このような記憶は数十年経っても残るものです。
 利発そうな女の子が大真面目に取り組んでそうな研究でもあります。先生はくれぐれも面白がって大きなコンクールに上げたりしないでくださいね。

 結論。自由研究とはそもそも子どもが素朴に疑問に思ったことを調べるもの。ヘンテコな研究があっても、「その子が調べたかったならいいじゃないか」ということになってしまい、「こんな自由研究はいやだ!」は大喜利のお題として破綻している。
 ここに来てのちゃぶ台返し・・・。

● 例句研究
大きな木大きな木蔭夏休み
-宇多喜代子-

黒板にわが文字のこす夏休み
-福永耕二-

新聞に切り抜きの窓夏休み
-佐藤和枝-

白樺に濃き日や暑中休暇果つ
-星野麥丘人-

◆ 主要参考文献
『合本 俳句歳時記 第四版』(角川学芸出版)
ウェブサイト『きごさい歳時記』

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