「一味違う」を美とする若者ネット文化

今回はニコニコ動画などの動画共有サイトから見る「インターネット・ミーム」についてだ。

読者の中でニコニコ動画(以下ニコ動)やYouTubeをよく見る、見ていた人はいるだろうか。僕もしばしば見ている一人だ。

それらのサイトには様々なジャンルの動画が日々アップロードされている。ニコ動で言えば投稿者がカラオケを歌った動画、「〜を歌ってみた」や合成音声で歌わせた「ボーカロイド」、PCゲームのプレイ画面を録画し、実況・解説を加えた「ゲーム実況」、そして特定の商品の感想を言う、「レビュー動画」などが人気だ。


本文では、数ある動画の中でもニコニコ動画における動画のカテゴリ、「例のアレ」に注目してみよう。


この「例のアレ」カテゴリとは、「うまく説明できないジャンル」の動画が分類されていることが多い。2010年から2012年までは「不適切な表現が多く含まれる」動画や、イタズラ目的にアップロードされた動画が分類されていたようだ。(下記リンク参照)



だが「例のアレ」の中でも異常に再生回数が多く、「なぜこれがウケているんだ?」と頭を傾げたくなる動画も多いのが特徴だ。

その一例として、マクドナルド社のマスコットキャラクター「ドナルド・マクドナルド」やドイツ人の少年が怒りながらキーボードやPCを壊す「キーボードクラッシャー」、昭和中期のアニメ「チャージマン研!」、それからなぜか「通信教育のZ会のCMに登場する青年」など、カオスな要素の集まる動画等が再生回数2000万回を超える人気を博していた。(正直書いてる僕にもよくわからない)


そしてここ5〜6年の「例のアレ」におけるトレンドは謎の方向性(?)へと進んでいる。

それは、「同性愛者向けのアダルトビデオを加工・編集した動画」や一部の「YouTuber」等の動画を無断転載した動画だ。これらも再生回数800万回を超える人気(?)がある。


では、なぜこれらの動画がニコニコ動画で流行っているのか?


答えは「他の動画とは一線を画した一味違う要素」があるからだと思う。


話は明治時代まで遡る。

読者の中に「オッペケペー節」という流行り唄があったということをご存知だろうか。これは、自由民権主義を題材にし、「オツペケペ。オツペケペツポー。ペツポーポー」というユニークな言い回しが特徴で、多くの市民の間で流行った歌だ。

現代から見ても「?」な言い回しではないか。「一味違う」が面白いと感じた良い例だと思う。

これを昨今のニコ動に当てはめてみると、マクドナルド社のCM内でドナルドの言ったセリフ「らんらんるー!」(この語に特に意味はないそうだ)や怒った勢いでPCを壊し出す「キーボードクラッシャー」、ガタイの良い外国人が本気でレスリングをしている「ガチムチレスリング」。どれも一度見たらインパクトが残る要素の多い動画たちだ。

明治から150年以上経った令和のこの時代でも「一味違う」要素は「インターネット・ミーム」と形を変えて、人気を博すのはどうやら変わりがないらしい。

さて、この令和時代はこれからどんなインターネット・ミームが生まれるのだろうか。

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