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【銭湯日記】深夜バスからの朝風呂〜御徒町「燕湯」

一昨年の夏、念願の三井ビルのど自慢大会を観戦しに行った時
お金もそうなかったので初めて高速夜行バスを使うことになりました。
夜お酒をかっくらってそのまま寝落ちて目が覚めると
遠方の地に到着してるという、すばらしいシステムです。
家でだってご飯の後ビール飲みつつ
ソファに座ってテレビ見たりiPadいじったりしてると
気が付くと座ったまま意識がとんでて朝になってたりするので
その寝てる間に移動が終わってるなんていいですよね。
お酒をスイッチにしたワープみたいなもんです。
寝るんだし乗車前に家でおフロ入って歯磨いて顔洗わなきゃね。
と思ったけど
家でいろいろやることやってたら
時間がなくなって歯磨きしかできませんでした。
到着は早朝6:00くらい。その後どこで何したらいいのやら、
と考えた結果
・どっかでモーニング食べる
・朝風呂キメる
という案が出ました。
バスのシートで一晩過ごした体を癒したい、ってことで
第一候補は朝風呂。
東京駅からそう遠くない場所で銭湯を探します。
しかし東京の銭湯、夜は遅くまでやってるけど
朝から、ってとこはあんまり見つかりません。
普通そうでしょ?って思うかもしれないけど
私のいる温泉地では朝6:00からやってるの。
で、東京はいくら早くてもせいぜい10:00~。
うんと遠くまで行けばありそうですが
それでも軒並み10:00~,14:00~…という銭湯が並ぶ中
1つだけ6:00~という所が見つかりました。
しかも御徒町。もうコレ一択でしょ。
御徒町燕湯。
場所と時間だけでココに決めたけど
国の登録有形文化財に登録されているとかいう
なんかスゴいとこでした。

ビールで寝落ちて目覚めれば東京、
とか極楽なイメージでいましたが
実際にはビール飲んだにもかかわらず
バス内では2時間おきくらいに目が覚めるし
体も痛いし足はパンパンだし朝風呂調べといてホントよかった。
早く湯船で足のばしたい。
夜行バスは「東京駅に到着」なのですが
実は八重洲南口鍛治橋駐車場というところで降ろされます。
降ろされてから東京駅までは一生懸命歩いて5〜6分です。
疲れた体のままさらに電車に乗って御徒町。
御徒町で降りるのはおそらく初めてで土地勘ゼロです。
ナビを頼りに高架下やビルの合間を縫って
オロオロと古い銭湯を探し歩きます。
本当にこんなところに銭湯が?
都心の歴史ある銭湯は大抵外観が立派なのに
周りの進化した建物に取り囲まれて埋もれてしまっています。
燕湯もナビがなければ多分わかりませんでした。
探しながら歩いて約5分。
なるほど、歴史を感じる佇まい。


下足箱は古い銭湯ならではの安定の木の札。
ニオイ対策なのか一つ一つの箱の奥に
まーるい小皿くらいの穴が空いています。
なんで鏡が??と思ってじーーーっと見てしまいましたが穴でした。


古い銭湯の高い天井と梁や鴨居は良き。
昔の銭湯は宮大工さんが作ったんだっけ??
建築として価値があるんだよね、確か。
早朝なので脱衣所にはすでに風呂上がりの一人がいましたが
浴場内は無人で貸し切り状態。
シャッターチャンス!と思うも
「撮影禁止」「スマホ操作禁止」の張り紙だらけだったので
さすがに遠慮。
壁画はちゃんと富士山だし天女まで舞っている。三保の松原ですね?
羽衣って白かピンクってイメージでしたが
この天女は赤い羽衣をまとっています。遊女かな。
そしてなぜか天女は男湯と女湯のちょうど中間に
別の板に描かれてあとから貼り付けてあります。
どうしたんでしょうか。初代天女に何があったんでしょうか。
湯船の角には3Dの岩山と滝。
そう、滝だけどリアルのお湯は流されておらず、
立体で2,3段の滝を表現し水の絵が描かれているだけです。
かつてはお湯を流していたのでしょうか。
そして岩山がスゴい。
こんな質感の岩が風呂にあるのを露天ですらみたことがありません。
ゴジラの体の一部です。
ネット内情報によるとどうやら富士山の溶岩らしく
そんなものを持ち込んだ銭湯など唯一無二、ということで
建物、ゴジラの岩も含めてまるっと国の登録有形文化財らしいです。
ともあれまずは湯で体を流してお湯に存分に浸かってやるぜ。
あちっ。
えっ。
足すら入れてらんない。ウソ。
あちっっ。やっぱ無理。
ウソーーーーー!?
大体のちょっと熱めな温泉もやんわり入っていけるのに
こんなことは初めてです。
水、水はどこ??
おお、蛇口があるでわないか
だがしかし「蛇口使用不能」などと書かれています。
絵に描いた餅、ってやつですね。
なんの修行でしょうか。
湯船の縁に座って頑張ってお湯に手を入れ下から混ぜてみます。
とゴジラの岩肌に貼られた
「縁に座らないで下さい」という貼り紙が目に入る。
ご無体なーーーーーーー!!どんだけSなん!?
あらゆる脱出手段を封じ込められた囚人のような気持ちです。
ふと湯船の向こうの壁の湯温計に目をやると

48℃

死にますよね ええ
朝からそんな

けどやれるとは言えないがやるしかないんだ
なんとか
つま先→くるぶし→膝小僧→腰→・・・と時間をかけてそーーーーーっと入っていく。
呼吸すら控えめです。
何秒浸かっていられたでしょうか。あがると体は真っ赤。
一晩バスのシートに座りっぱなしてむくんでついた衣服のゴム跡や締め付け跡などは
すっかりなくなりました。
浮腫が取れたのではありません。
真っ赤な体に同化して見えなくなっているのです。
疲れは取れるのか?取れたのか?癒されたのか?目は覚めたぞ?
さて洗うか・・。
シャワーは固定。
下向きで洗うためロングヘアーの私は唐獅子のようにしなくてはなりません。
髪を洗い終わるあたりでようやくもう一人の客が入ってきました。
おばちゃん一人なので常連かな。
湯をかけ当たり前に湯船に向かうおばちゃん。
待っておばちゃん!危ない!地獄のように熱いよ!
ヒートショックって知ってる!?

おばちゃんごくフツーに48℃のお湯にとぷん、と肩まで入る。
そのまま三分以上。
うそ⁉︎江戸っ子か⁉︎これが噂の⁉︎
いや、顔色ひとつ変えずに入ってるしいきがってる感じもありません。
ぷるぷる震えてもいない。
ええ…私とんだ弱虫かよ…
まぁこんなにクソ熱いのは朝だけらしいですが
寒くなってきたら急にこんなフロ入ったらマジ死ぬから。
うちの近所にあった熱くて有名な銭湯、よく救急車きてましたから。
さてフツーは体洗うと体こすった刺激やらで
最初よりお湯が熱く感じられるのですが
恐る恐る入ってみると
最初よりやや平気で肩まで入れました。慣れた??

深夜バスでガチガチに固まった体を癒すべく
念願の朝風呂に入れたわけですが
癒されたかどうかは別として
心身ともにとてもよい刺激になりました。
何年か前に行った浅草観音風呂もそうですが
初めて行く銭湯って大体楽しい。
残念ながら浅草観音風呂はもう廃業してしまっていて
あれは夢だったのかも知れない、という
幻のユートピアとなっています。
銭湯ってもうみんな自宅にフロあるし、
ボイラーのメンテやらにお金かかるから
壊れて修理するとなるともう修繕費用が莫大だから
そこで次々廃業してっちゃう。
東京住んでた時に最初フロなしボロアパートだったから
自転車で銭湯通ったけど
そのうちフロつきアパートに引っ越して車持つようになってからも
時々大きいお風呂に入りたくて銭湯に入りに行くことはありました。
とにかくボイラーがダメになったら新規入れ替えにかなり金がかかって
存続を断念するらしいから
なくなってほしくない!と思ったら時々銭湯に行こう、みんな!


朝風呂のあと東京駅で食べたモーニングw
果実園のパンケーキです
満たされました♡

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