昭和の衝撃作「聖ロザリンド」が週刊文春で

週刊文春新年号の恩田陸氏と宇垣美里氏の対談「わたしたちは少女マンガで強くなった」にて、わたなべまさこ氏の「聖ロザリンド」が 紹介されていた。絵付きで。すごい。お正月から、こんなところにロザリンド!

しばらくぶりに聞いたタイトルで衝撃がよみがえってくる。子供の頃の「怖いまんが」の中のひとつだ。昭和の怖いまんがというと「エコエコアザラク」とか「魔太郎が来る!!」とか、つのだじろう氏、楳図かずお氏の諸作品などだ。子供にとっては「ブラックジャック」も怖いまんがだ。

少女ものでは美内すずえ氏も「ガラスの仮面」などのドラマチック路線の他に、怖いのがたくさんあった。美内氏の怖いのは心霊ものが多く霊や魔女が怖かったが、わたなべまさこ氏のは人間が怖い。

怖いものみたさで読みたくなるけど家に置くことなんて恐ろしくてできない、そんな怖いまんがたちをどこで読んだかというと、友達の家とか、歯医者の待合室とか、本屋で立ち読み、のいずれかである。「聖ロザリンド」をどうやって読んだか覚えていないが、おそらくその3つのうちのどれかでしょう。

大人になってから、じっくり読み返す機会があった。結婚後しばらく住んでいた東京都C市の図書館にあったのだ。C市の図書館は素晴らしい図書館で、まんがをたくさん置いてる(注:20年前の話なので今は不明)

とにかく面白い。ドラマチックでサスペンスフルでスリリングでショッキング。つまり、劇的で先が読めなくて戦慄的でドキドキして衝撃的だということだ。

しかし大人になって読むと、また違う衝撃があった。

子供のころは、自分とさして変わらない年代のロザリンドがこんなことやあんなことを…という恐怖と衝撃だったが、今度はロザリンド周辺の大人たちに感情移入してしまったのである。その結果、何度も号泣した。

健気な忠義の老執事が…

事実を知った母が…

最後に、父がすべてを…

恐怖、葛藤、慈悲、愛が描かれる。これはロザリンドの罪に向き合おうとする大人たちの愛と嘆きと覚悟の物語でもあるのだ。

前半の舞台がギリシャというのもポイントだと思った。非日常感が漂う。ギリシャといえば「悲劇」「神話」「運命」「宿命」といった味付けが自動的になされる。

その後街中に進出したロザリンドの殺人ロード…迫力を増しながらロンドンへ、そして最後に天国に近そうな場所へ…

☆☆☆☆☆

⬆勝手に星五つ






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