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不思議なやかん

思い返せば僕は小さい頃からよくお茶を飲んでいた。
緑茶は苦くて敬遠していたので、ほうじ茶やら紅茶やらを淹れてもらっていた記憶がある。
キッチンのシンクは届かないので親にやかんに水を入れてもらい、お湯が沸くまでIHヒーターの前で待つのがおやつタイムの風物詩であったわけだが、今となってはそれはさらに加速し、一日に10杯ほどの様々なお茶を体内に流し込んでいる。

しかし最近確かに感じるのである。
おかしい。何かがおかしい。
いや、10杯もお茶を飲んでいることではなくて。
明らかに10年ほど前よりお湯が沸くのが早い。
どう考えても早い。
3倍、いや5倍ほどの速度で湯が沸いている。

あの長かった待ち時間。
今となってはほんの一瞬になってしまった。

おそらく、やかんを使い込んだおかげでやかんの熟練度が上がり、速度ボーナスがついたのだ。そうに違いない。
たぶん僕の実績を確認すると「使用:やかん」のステータスが飛びぬけていることだろう。誰か確認してくれ。

ともあれ、僕がまだキッチンよりも小さかった頃に比べるとどう考えても早いのである。

なんとも不思議な話だ…。


ところで、最近は緑茶もおいしさを感じられるようになり、よく飲むようになった。

これが、大人になるということなのだろうか。

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