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西九州新幹線に乗ってわかったこと

2023年の1月、前年に開業した西九州新幹線に乗ってきました。長崎は何度か訪れているのですが新幹線は当然初めてです。

ご存知の方も多いように西九州新幹線は現在長崎から佐賀県の武雄温泉駅までの暫定開業で、同駅で特急リレーかもめ号に乗り換えて長崎~博多をトータル1時間20~30分程度で結びます。


1.きっぷは駅より断然ネット予約


長崎駅のきっぷうりば

駅にはこのように料金表があるのですが上段が自由席総額で、中段の運賃と下段の特急料金の総額です。鉄道ファンには常識かもしれませんが、新幹線は全列車が特急列車で特急料金は必須なので、不慣れな人には総額表示の方が判りやすいかもしれません。

というより西九州新幹線をはじめJR九州の主要都市間はJR九州ウェブサイトのネット予約が圧倒的に探しやすく、値段も安く、原則総額表示で判りやすいので強くおすすめです。

JR九州列車予約サービス

このように発着地と日時を入力するだけ。〇〇線とか〇〇号とか知らなくても予約できます。ちなみに首都圏や京阪神など九州外に住んでいても購入は可能ですが、JR九州の駅で乗車前にきっぷ受取りが必須です。


最安値が探しやすい

JR他社在来線特急や私鉄特急とは違い、このように運賃/特急料金コミコミ表示、購入期限や変更の可否など条件での絞り込みもしやすいインターフェースです。
このように見ると7日前までの予約が必要な「おためし!かもめネット早特7」が最安の3200円です。2022年末までの期間限定価格だったのですが2023年3月までに延長されています。そうでなくても3日前の「かもめネット早特3」でも3600円と、駅で買うよりも3割以上安くなります。


2.ネットで買ってもきっぷが5枚も出てくる件

JR九州ネット予約ならコミコミ価格で探しやすいのは良いのですが、長崎駅のみどりの券売機できっぷを受け取ると啞然…

別のきっぷも受け取った為総額は4670円に
  1. 領収書

  2. クレジットカード利用明細

  3. おためし!かもめ早特7の本券

  4. 長崎→武雄温泉かもめ号指定席券

  5. 武雄温泉→博多リレーかもめ号指定席券

一発で予約できる長崎から博多までの列車のきっぷが実に5枚。JR東日本のえきねっとやエクスプレス予約等では領収書はオンライン発行に統一され券売機での発行は無くなりましたが、JR九州では未だに受取時に券売機もしくは窓口で購入時のクレジットカードが必要です。
ちなみに駅で購入すると上記3,4,5は1枚のきっぷに印刷されて出てくるそうです。


「全部入れてみる」はダメらしい

新幹線の改札機でよくある「どのきっぷを入れるか分からない」問題。東京駅だと新幹線の改札が自動改札機なのに混雑しているのはこのせいです。実際新幹線eチケット、エクスプレス予約、スマートEXといったチケットレスサービスだと圧倒的に改札通過に差が出ます。

ここ長崎駅は改札が混雑するほどでもないのですが、さすがにネット予約で5枚も出ると旅慣れた自分でも判らなくなります。一方改札機にも上限があるようで「とりあえず全部入れてみる」も通用しないそうです。

結局おためし!かもめネット早特7の本券、かもめ号指定席券、リレーかもめ号指定席券の3枚で通りましたが、最新の新幹線の改札機としては残念な印象です。


3.指定席は人気。席数が少ないからね。

さて西九州新幹線といえば独特のデザインの座席も注目です。そしてこの指定席が大人気で週末には満席続発のようです。

デザインは秀逸

車両は基本的には東海道山陽新幹線のN700Sをベースにしながらもカラーリングや指定席座席は水戸岡鋭治氏デザインの独自仕様です。ただホームの柵があるので撮影できる場所や機会は限られます。
そして長崎駅で既に「博多行き」の表示、実際には武雄温泉までしか行かないのでややこしいです。在来線特急リレーかもめ号の場合は「長崎行き(武雄温泉で乗換)」と出るそうです。


指定席車両

新幹線かもめ号は6両編成で3両が自由席車両(通常の新幹線と同じ2-3配列)、3両が指定席車両(ウッドを多用した2-2配列)なのが特徴です。JR九州の在来線特急でも一般的な座席間に大きな肘掛けがあるタイプです。

それゆえかもめ号の指定席はあっという間に満席になります。車両の座席数が少なく、ネット早特だと自由席より安いから無理もありませんね。

大村市おむらんちゃん

そしてこの座席以外は基本東海道山陽新幹線と共通設計なので東海道山陽新幹線仕様では喫煙スペースやビジネスブースになっている区画には、装飾スペースになっています。構造上、座席を置けない区画にもアクセントを添えたいというデザイナーの意向が反映されています(883系や885系のパンタグラフ下など在来線特急にも見られます)

ただ、見どころは多くても乗車時間わずか26分
これはやっぱりもったいない気しかしません。


4.乗り換えで号車も座席もWi-Fiもリセット

武雄温泉駅では在来線特急リレーかもめ号に乗り換えます。定期便では同一ホームの目の前に次の列車が待っている親切な仕組みですが…


1号車同士でもこの距離

この通り新幹線と在来線特急でドア位置は合っていません。
また在来線特急リレーかもめ号にはこの885系6両編成のほかに787系8両編成もあり、1号車には新幹線にはないグリーン車(半室)もあります。

つまり新幹線かもめ号と在来線特急リレーかもめ号で同じ号車に割り当てられるとは限らず、列車進行方向での移動は2分で済ませるには次の列車の号車座席もあらかじめ確認が必要です。


885系座席(新幹線開業前に撮影)

リレーかもめ号は885系と787系があるので人により好みがありそうですが、新幹線から乗り換えると荷物のやり場に困ります。30分足らずの新幹線で上の棚にキャリーバッグを上げるのも面倒だけど、在来線特急で足元は限られる…
今回は指定席だったので発車間際に乗っても座る場所があったわけですが、自由席だと10秒遅いだけで席が無くなる…もあり得なくないです。

ちなみに新幹線開業前から特急かもめ号リレーかもめ号の最混雑区間は佐賀~博多なので、この日も自由席は立ち客が出ていたようです。

また新幹線は自由席も指定席も全席肘掛けにAC100Vコンセントがあるのに対し、在来線885系は一部座席の窓下だけに限られます。充電環境は期待は禁物といったところ。

新幹線と在来線でWi-Fiが違う

また公衆Wi-Fiも西九州新幹線はShinkansen Wi-Fi(東海道山陽新幹線とおなじ/1回30分)、在来線特急はJR-KYUSHU Wi-Fi(JR九州の他特急と同じ/1回180分)と別々にあるので、列車を乗り換えたらWi-Fiも再登録、再接続が必要です。これは完全に大人の事情でしょうね。


5.まとめ

これまで特急かもめ号1本約2時間で行けた博多~長崎が、途中乗り換え必須で約1時間半になった。
そこには長崎駅周辺の大規模再開発にはじまり、予約システムの整理や早特の活用(これは以前からあったし大分方面のソニック等にもある)といった数々の工夫はあるけれど、やはり直通運転に勝るメリットがないと思いました。乗車中に食事や作業もやりにくいし佐賀県側では現状時短効果ゼロ。
そして新幹線車両と在来線車両でドア位置、荷物スペース、Wi-Fi、コンセント等々互換性がなさすぎるので「乗り換えたらさっきの続き」が難しい。

ちなみに競合の高速バス九州号福岡~長崎線も近年の情勢から減便そして値上げ。
空路でも長崎空港は羽田線が日本航空、ANA、ソラシドエア、スカイマーク(神戸経由)、成田線がジェットスターにPeach(2023年夏から運休)…便数の割に航空会社が多すぎて結局福岡経由を使っていたんですが、今後どうなるやら。

結局西九州新幹線に乗ってわかったのは1つ。
長崎は本当に近くなったんでしょうか?

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