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静寂者ジャンヌ 第二部

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苦難の末に、内なる〈消滅・甦り〉の境地に到達したジャンヌは、幼い娘を連れて旅に出る。子連れ静寂者の冒険が始まる。
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#南原実

「ことばする」とは・・・ ヤコブ・ベーメの場合〈下〉 (静寂者ジャンヌ 28)

先回の続きです…… 5 「内側」はたえず「わたし」から逃げ去っていく かつて あるがままの自然なことば が、あった と、ヤコブ・ベーメが言う…… それは 生きたことば ただの符号じゃない 神にならって ことばする かつてそうやってわたしたちは 神の世界創造に 参画していた でも、いつしかわたしたちは 神にならって ことばする  のを、やめてしまった 生きたことばを 失った 抜け殻の言葉 散りばめて 人間の言葉による 世界構成という錯覚

「ことばする」 とは・・・ ヤコブ・ベーメの場合 〈上〉  (静寂者ジャンヌ 27)

0 あるがままのことば 言葉のない野を 駈けることができたら どんなに自由だろう・・・ ずっと、そう思ってる。 でも考えてみたら、その「言葉」って、人間の言葉でしかない。 言葉は人間だけのものだろうか? 「人間の言葉」・・・と言うとき、 きっと、わたしは、符号としての言葉を考えているだろう。 記号と、その指示対象と、両者をつなぐルールだとか・・・ そこに、リアルはない。 でも・・・「ことば」は、もっと広いはずだ。 * かつて、あるがままの、自然のことばがあ