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静寂者ジャンヌ 第二部

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苦難の末に、内なる〈消滅・甦り〉の境地に到達したジャンヌは、幼い娘を連れて旅に出る。子連れ静寂者の冒険が始まる。
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#神秘思想

「ことばする」とは・・・ ヤコブ・ベーメの場合〈下〉 (静寂者ジャンヌ 28)

先回の続きです…… 5 「内側」はたえず「わたし」から逃げ去っていく かつて あるがままの自然なことば が、あった と、ヤコブ・ベーメが言う…… それは 生きたことば ただの符号じゃない 神にならって ことばする かつてそうやってわたしたちは 神の世界創造に 参画していた でも、いつしかわたしたちは 神にならって ことばする  のを、やめてしまった 生きたことばを 失った 抜け殻の言葉 散りばめて 人間の言葉による  世界構成という錯覚

「ことばする」 とは・・・ ヤコブ・ベーメの場合 〈上〉  (静寂者ジャンヌ 27)

0 あるがままのことば 言葉のない野を 駈けることができたら どんなに自由だろう・・・ ずっと、そう思ってる。 でも考えてみたら、その「言葉」って、人間の言葉でしかない。 言葉は人間だけのものだろうか? 「人間の言葉」・・・と言うとき、 きっと、わたしは、符号としての言葉を考えているだろう。 記号と、その指示対象と、両者をつなぐルールだとか・・・ そこに、リアルはない。 でも・・・「ことば」は、もっと広いはずだ。 * かつて、あるがままの、自然のことばがあ

神秘のエクリチュール 〜 V.ウルフ と U.K.ル=グウィン それに J.ギュイヨン (静寂者ジャンヌ26)

これまで 5歳の娘を連れて、家を飛び出たジャンヌは、ひとまずジュネーヴ近くの町ジェックスで、プロテスタントをカトリックに改宗させる団体に参加した。しかし、その団体の欺瞞に満ちた非人道的な活動の実態を目の当たりにして、ジャンヌはストレートに団体を批判し、団体から距離を置いた。国家権力をバックにした団体を相手に、ジャンヌはドン・キホーテのように単身で対峙した。当然、ジャンヌは窮地に追い込まれた。そんなジャンヌを、ラ・コンブ神父が全面的にケアした。霊性に満ちた、柔軟なこころの、こ