感染症関連知見情報:2024.04.25(最終配信)

皆様

本日のCOVID-19をはじめとした感染症情報を共有します。

本日の論文は、LANCET系列より3編、JAMA系列より2編です。

LANCETの1編目は、免疫介在性炎症性疾患(IMIDs: immune-mediated inflammatory diseases)有病者において、COVID-19の重篤な転帰を分析し、パンデミック期間の影響、および個々のIMID、免疫調節薬(IMM)のクラス、慢性合併症、COVID-19ワクチン接種状況に関連するリスクを調査することを目的としたレトロスペクティブ・コホート研究です。対照群と比較して、IMIDとCOVID-19を有する患者は入院率と死亡率が高くなっていました。
2編目は、PLATCOVプラットフォーム試験における非盲検群の個々の患者データのメタ解析を行い、ウイルスクリアランス動態の変化を特徴付け、抗ウイルス薬理学的評価の最適なデザインと解釈を推測する事目的とした研究です。ワクチン接種を受けた有症状者におけるSARS-CoV-2ウイルスクリアランス動態は、パンデミックの2年間で大幅に加速したため、新しいSARS-CoV-2抗ウイルス薬の比較方法を変更する必要があるとのことです。
3編目は、国際COVID-19データ・アライアンス(ICODA: International COVID-19 Data Alliance)プログラムの傘下で実施された10の国際的なCOVID-19ドライバー・プロジェクトの詳細を掘り下げた論文です。全体として、ICODAプログラムは重要な成果をあげ、12の推進プロジェクトから合計38の出版物が生まれました。

JAMAの1編目は、米国の小児集団においてCOVID-19ワクチン接種後の健康転帰をほぼリアルタイムでモニタリングすることを目的としたコホート研究です。BNT162b2(12~17歳)後に心筋炎または心膜炎について検出された統計的シグナルは、過去の報告と一致していましたが、BNT162b2(2~4歳)およびmRNA-1273ワクチン接種(2~5歳)後の症例については、交絡因子を調整した確実な疫学研究でさらに調査する必要があるとのことです。
2編目は、カリフォルニア州の小児COVID-19予防接種プログラムが、小児COVID-19発生率および入院の変化と関連しているかどうかを明らかにすることを目的としたケースシリーズ研究です。3,913,063症例を対象としたこの解析の結果は、予防接種後の小児SARS-CoV-2感染の減少を示唆していました。

報道に関しては、溶連菌や梅毒の記事も興味深いのですが、必読は、「感染症対策、医療逼迫に緊急事態宣言 計画改定へ」でしょう。国の感染症対策に関する根幹が現在も検討されているところです。

今回で、この配信は一旦終了といたします。
2019年12月31日に、始まった謎の肺炎騒動の正体が新型コロナウイルスによるものであることがわかるまで2週間程度でした。そして、2020 年1 月24 日に中国CDC(CCDC:China`Center for Disease Control)により,New England Journal of Medicine(NEJM)誌に早期公開された論文において、武漢において感染した肺炎患者3 例中2 例の症例が詳細に記述されたのでした。この論文を目にしたときに、なんとも厄介なウイルスが出たものだとおもっていましたが、2020年1月30日、世界保健機関(WHO)により「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」が宣言され、世界的なパンデミックにつながっていきました。

初期の論文情報、報道を目にするにつれ、こんなウイルスは見たことがない、というのが本音でした。
そして、2020年3月から、安倍首相、今井秘書官のいわば独断で、全国の学校閉鎖が決定されたところから、この国の迷走は始まりました。
そして、大学の新学期は始まりましたが、対面での授業は行うことができず、学生の皆さんと直接対面するチャンスもほぼないままに、学生内での不安も膨らんでいると聞きました。
そこで、5月から、最初は、帝京の大学院生向けの情報として、完全な手弁当で情報を配信しはじめました。
最初は週7日(土日なく毎日)、1日あたり3時間程度かけて情報収集、配信を開始しました。やがて、毎日の負担から、土日のみお休みにして週5日配信、その後、週3回(月、水、金)、現在の週2回配信になりました。
私の過激な批判に(一部にケンゾー節と:笑)、「大学の教員が、こんな発言を続けていいのか?」と言った批判が一部から生じたこともあり、それまでは、大学のアドレスで配信していたのですが、大学とは関係のない「在野の公衆衛生学者」として配信を続けることにしました。
その間、日本国際保健医療学会の理事長より、学会でも週1回のダイジェスト配信をしてほしいということになり、これも行ってきました。
この学会配信が、多くの方の目に留まることとなり、他の学会からも転送配信の依頼が出てきたり、学会での講演を依頼されるようにもなりました。
2021年の12月からは、待望のワクチンが開発され、イスラエル、英国などで幅広くワクチンが接種され、想定外の成果が見られました。感染の予防にはならずとも、重症化、死亡の予防効果はあきらかだったのです。私も、「国家的プロジェクトになるぞ、手伝え!」とある方から連絡をいただき、結果として、相馬市、南相馬市でのワクチン展開に関わることになりました。
強毒性のデルタ株(第5波)までは、かなり大きな関心が集まっていたはずなのですが、オミクロン株になってからは、感染性の高い変異はあるものの、死亡、重症化が明らかに少ないオミクロン株に、メディアは少しずつ関心を無くしていったように感じました。
今、コロナに注意を払うべきは、①人獣共通感染症であること‐野生動物の中でどんな変異を生ずるか予測できません、②①と相俟っての、強毒性ウイルスへの先祖帰り‐ウイルス学者の先生にお聞きすると、偶然の変異により生ずる可能性は十分にあるとのことです、③LongCOVID‐最後の難題である長期後遺症に関しては、予防策にはワクチンが期待できるものの、治療などは全く確立されていません。③に関しては、子ども、乳幼児においてどのような影響があるのかは、まだまだ、明らかになっていないのも課題です。

2020年5月より開始した配信も、丸4年で終了することになりました。
個別のメールアドレスに送っている方々は、気付くと616人になっていました。
更にFacebook、X(旧Twitter)での配信も含めると、かなりの数に上ります。

配信は一時終了しますが、コロナ禍は全く収まっていません。
今後は、LongCOVID等で興味深い知見がでれば、折々にNoteを更新して行こうと考えています。
https://note.com/kenzo_takahashi

おそらく、このMLが復活することはないものと思いますが、旧来の資質をもたない、新たな感染症が現れてくる可能性も十分にあります。そのときには、また、このMLで配信させてください。

高橋謙造

1)論文関連      
LANCET
Machine learning to understand risks for severe COVID-19 outcomes: a retrospective cohort study of immune-mediated inflammatory diseases, immunomodulatory medications, and comorbidities in a large US health-care system

https://www.thelancet.com/journals/landig/article/PIIS2589-7500(24)00021-9/fulltext

*免疫介在性炎症性疾患(IMIDs: immune-mediated inflammatory diseases)有病者において、COVID-19の重篤な転帰を分析し、パンデミック期間の影響、および個々のIMID、免疫調節薬(IMM)のクラス、慢性合併症、COVID-19ワクチン接種状況に関連するリスクを調査することを目的としたレトロスペクティブ・コホート研究です。
米国7州にわたる51の病院と1085の診療所の患者を対象とした統合医療システム(Providence St Joseph Health)の電子カルテから臨床データを得ました。データは、1つ以上のIMIDを有する患者(年齢制限なし)と、IMIDを有さない非マッチ対照について観察されました。COVID-19は、SARS-CoV-2の核酸増幅検査結果が陽性であった場合に同定されました。2020年3月1日~2021年12月25日(ミクロン前期間)、2021年12月26日~2022年8月30日(ミクロン優勢期間)の2つの期間を分析しました。主要アウトカムは、COVID-19患者における入院、機械的人工呼吸、死亡率でした。IMIDの診断、併存疾患、IMMの長期使用、COVID-19ワクチン接種状況などの因子を多変量ロジスティック回帰(LR:logistic regression)および極端勾配ブースティング(XGB: extreme gradient boosting)で解析しました。
SARS-CoV-2の検査を受けた2,167,656例のうち、290,855例(13.4%)でCOVID-19が確認されました:IMIDを有する患者は15,397人(5.3%)、IMIDを有さない患者は275,458人(94.7%)でした。オミクロン前の期間では、COVID-19の検査を受けた1,517,295人のうち169,993人(11.2%)が陽性となり、このうち23,330人(13.7%)が入院し、1072人(0.6%)が人工呼吸を受け、5294人(3.1%)が死亡しました。対照群と比較して、IMIDとCOVID-19を有する患者は入院率(1176 [14.6%] vs 22,154 [13.7%]; p=0.024)と死亡率(314 [3.9%] vs 4980 [3.1%]; p<0.0001)が高くなっていました。オミクロン優位の期間では、650,361人の患者のうち120,862人(18.6%)がCOVID-19陽性であり、このうち14,504人(12.0%)が入院し、567人(0.5%)が人工呼吸を受け、2001人(1.7%)が死亡した。対照群と比較すると、IMIDとCOVID-19を有する患者(42,249例中7327例[17.3%])は、入院率(13,422例[11.8%] vs 1082例[14.8%];p<0.0001)および死亡率(1814例[1.6%] vs 187例[2.6%];p<0.0001)が高くなっていました。年齢は転帰を悪化させる危険因子でした(調整オッズ比[OR]2.1[95%CI 2.0-2.1];p<0.0001から3.0[2.9-3.0];p<0.0001)が、COVID-19ワクチン接種(0.082[0.080.085];p<0.0001から0.52[0.50-0.53]へ;p<0.0001)およびブースターワクチン接種(2.1[2.0-2.2]へ;p<0.0001から3.0[2-9-3-0]へ;p<0-0001)の状況は、より良好な転帰と関連していました。心房細動、冠動脈疾患、心不全、慢性腎臓病、慢性閉塞性肺疾患、慢性肝疾患、癌の7つの慢性合併症は、3つの転帰すべてにおいて、両期間において有意な危険因子でした。2つのIMID、喘息(調整後ORは0.33[0.32-0.34];p<0.0001から0.49[0.48-0.51];p<0.0001)と乾癬(0.52[0.48-0.56]から0.80[0.74-0.87];p<0.0001)は重篤な転帰のリスク減少と関連していました。IMIDの診断自体は有意な危険因子ではないようでしたが、サンプルサイズが小さいため結果は限定的であり、血管炎はLRにおいて特徴の重要性が高いものでした。IMMは有意ではないようでしたが、使用頻度の低いIMMはサンプルサイズにより制限されました。XGBはLRを上回り、異なる期間と転帰にまたがるモデルの受信者動作特性曲線下面積は0.77から0.92でした。
この結果は、IMMの使用やIMIDそのものよりも、年齢、慢性合併症、ワクチン接種が完了していないことが、IMIDs患者の重篤なCOVID-19転帰の危険因子である可能性を示唆しています。全体として、IMIDs患者に対するCOVID-19ガイドラインを作成する際には、年齢と併存疾患を考慮する必要があり、特定のIMID(SARS-CoV-2感染時のIMID重症度を含む)やIMM(患者のCOVID-19初感染前の投与量とタイミングを考慮)については、さらなる研究が必要であるとのことです。

Temporal changes in SARS-CoV-2 clearance kinetics and the optimal design of antiviral pharmacodynamic studies: an individual patient data meta-analysis of a randomised, controlled, adaptive platform study (PLATCOV)

https://www.thelancet.com/journals/laninf/article/PIIS1473-3099(24)00183-X/fulltext

*PLATCOVプラットフォーム試験における非盲検群の個々の患者データのメタ解析を行い、ウイルスクリアランス動態の変化を特徴付け、抗ウイルス薬理学的評価の最適なデザインと解釈を推測する事目的とした研究です。効果的な抗ウイルス薬は、COVID-19による入院と死亡を予防しますが、抗ウイルス効果は、鼻咽頭または口腔咽頭スワブ溶出液中の連続ウイルスゲノム密度から推定されるSARS-CoV-2のクリアランス率を測定することにより、in vivoで効率的に評価することができます。
SARS-CoV-2に対する抗ウイルス介入を比較する大規模な多施設共同無作為化適応薬力学的プラットフォーム試験(PLATCOV)に登録された、有症状でこれまで健康であった成人患者(発症から4日以内)のウイルス密度の連続データを解析しました。1週間のウイルスクリアランス率は、登録ウイルス密度とクリアランス率の時間的変化を特徴付けるためにBスプラインを用いた階層ベイズ線形モデルの下で推定しました。ブートストラップ再サンプリングを用いて、薬理学的評価に最適な追跡期間を評価しました。ここで最適とは、有効な抗ウイルス薬と無治療を比較したときに期待されるZスコアが最大になることと定義しました。
2021年9月29日から2023年10月20日の間に、1262例の患者がPLATCOV試験に無作為に割り付けられました。800人の患者(16,818人の口腔咽頭ウイルス定量PCR[qPCR]測定値を提供した)から非盲検データが得られ、そのうち504人(63%)は女性でした。783人(98%)の患者が少なくとも1回のワクチン接種を受けており、703人(88%)が完全にワクチン接種を受けていました。SARS-CoV-2ウイルスクリアランスは二相性(bi-exponential)でした。第一段階(α)は効果的な介入によって促進されました。検討したすべての効果的介入について、登録後最初の5日間からの連続データを評価した場合に、最大の識別力(最大期待Zスコア)が得られました。調査された2年間で、7日間で推定されたウイルスクリアランス半減期の中央値は、抗ウイルス薬を投与されていない患者において、2021年9月の16.6時間(IQR 15.3~18.2)から、2023年10月の9.2時間(8.0~10.6)に短縮し、44%の相対的減少に相当しました(95%信頼区間[CrI]19~64)。抗ウイルス薬を投与された患者では、ウイルスクリアランス半減期の経時的な短縮が並行して観察されました。例えば、リトナビルをブーストしたニルマトルビルを投与された158人の患者(3380回のqPCR測定)では、ウイルスクリアランス半減期の中央値は、2022年6月の6.4時間(IQR 5.7~7.3)から、2023年10月には4.8時間(4.2~5.5)に短縮し、相対的に26%減少しました(95%CrI -4~42)。
ワクチン接種を受けた有症状者におけるSARS-CoV-2ウイルスクリアランス動態は、パンデミックの2年間で大幅に加速したため、新しいSARS-CoV-2抗ウイルス薬の比較方法を変更する必要があります(すなわち、薬力学的評価期間を短縮する)。本稿執筆時点(2023年10月)では、COVID-19の抗ウイルス効果は、薬剤投与後5日間、毎日採取した口腔咽頭スワブ溶出液の複製から連続qPCRを用いてin vivoで効率的に評価できるとの事です。

Data challenges for international health emergencies: lessons learned from ten international COVID-19 driver projects

https://www.thelancet.com/journals/landig/article/PIIS2589-7500(24)00028-1/fulltext

*国際COVID-19データ・アライアンス(ICODA: International COVID-19 Data Alliance)プログラムの傘下で実施された10の国際的なCOVID-19ドライバー・プロジェクトの詳細を掘り下げた論文です。これらのプロジェクトは、COVID-19パンデミックに関連する主要な研究課題に取り組むために、既存の健康関連データを活用するように設計されました。プロジェクトを通して、データ共有契約、データ管理、研究者の認定、メタデータの準備、初期データ分析などの課題が発生しました。これらの課題を克服するために採用された解決策は、標準的なデータ共有テンプレートの使用、データキュレーションの専門家の早期参加、安全なデータ共有のための信頼できる研究環境の構築などです。この論文では、関連性とインパクトを確保するために、地域住民、医療従事者、政策立案者など、さまざまな利害関係者を研究プロセスに関与させることの重要性を強調しています。
COVID-19による様々の制限による課題に直面しながらも、各プロジェクトはこれらのハードルを乗り越える革新的な解決策を見出しました。例えば、DP-EFFECTチームはモバイルアプリベースの技術を活用してCOVID-19検査を無料で提供し、社会的弱者の医療サービスへのアクセスを改善するeヘルスソリューションの可能性を示しました。ステークホルダーの参加は、多くのプロジェクトで重要な焦点となり、調査プロセスを通じて地域社会の人々、政策立案者、医療提供者に情報を提供し、参加させる努力が払われました。このような参加活動は、研究結果に対する認識を高め、医療政策や実践に影響を与える可能性を高める上で極めて重要であることが証明されました。
全体として、ICODAプログラムは重要な成果をあげ、12の推進プロジェクトから合計38の出版物が生まれました。これらのプロジェクトは、研究コミュニティに貴重な洞察を提供しただけでなく、オープンでアクセスしやすい方法で成果を共有しました。ICODAプロジェクトによって示された協力的な努力と革新的なアプローチは、特に世界的なパンデミックの状況において、世界的な保健上の課題に取り組む上でデータ駆動型の研究と利害関係者の関与が重要であることの証となります。

JAMA
Safety of Ancestral Monovalent BNT162b2, mRNA-1273, and NVX-CoV2373 COVID-19 Vaccines in US Children Aged 6 Months to 17 Years

*米国の小児集団においてCOVID-19ワクチン接種後の健康転帰をほぼリアルタイムでモニタリングすることを目的としたコホート研究です。
米国の3つの商業請求データベース(Optum[2023年4月まで]、Carelon Research[2023年3月まで]、およびCOVID-19[2023年2月まで])の医療データを用いてニアリアルタイム・モニタリングの枠組みを適用することにより、2023年初頭までに生後6カ月から17歳までの子どもでBNT162b2、mRNA-1273、またはNVX-CoV2373先祖伝来の一価COVID-19ワクチンに曝露した後の、事前に規定した21の健康転帰を評価しました。ワクチン接種後の各アウトカムの増加率を、2019年1月1日~12月31日、2020年1月1日~12月31日、および2020年4月1日~12月31日の年間の過去の割合と比較しています。
主要アウトカムは、あらかじめ規定された21の健康アウトカム(うち15は逐次検査、6つは過去の割合が不明なため記述的モニタリングのみ)でした。
生後6ヵ月から17歳までの被接種者4,102,016人のうち、2,058,142人(50.2%)が男性で、3,901,370人(95.1%)が都市部に居住していました。順次検証した15項目のアウトカムのうち13項目は統計的シグナルの閾値を満たさず。統計的シグナルが検出されたのは、12~17歳の子どもにおけるBNT162b2ワクチン接種後の心筋炎または心膜炎と、2~4歳または5歳の子どもにおけるBNT162b2およびmRNA-1273ワクチン接種後の発作でした。しかし、事後感度分析では、2019年のバックグラウンド率を選択した場合にのみ、mRNA-1273接種後に発作の統計的シグナルが観察されました。
3つの民間医療保険データベースにわたる小児加入者のコホート研究において、BNT162b2(12~17歳)後に心筋炎または心膜炎について検出された統計的シグナルは、過去の報告と一致しており、BNT162b2(2~4歳)およびmRNA-1273ワクチン接種(2~5歳)後の症例については、交絡因子を調整した確実な疫学研究でさらに調査する必要があります。米国食品医薬品局は、COVID-19ワクチン接種の既知および潜在的ベネフィットは、COVID-19感染の既知および潜在的リスクを上回ると結論づけています。

COVID-19 Vaccination and Incidence of Pediatric SARS-CoV-2 Infection and Hospitalization

*カリフォルニア州の小児COVID-19予防接種プログラムが、小児COVID-19発生率および入院の変化と関連しているかどうかを明らかにすることを目的としたケースシリーズ研究です。
生後6ヵ月から15歳までの小児を含むCOVID-19ワクチン接種に関するケースシリーズをカリフォルニア州で実施しました。データは、2020年4月1日から2023年2月27日の間にカリフォルニア州で発生したCOVID-19症例について取得しています。
曝露として、ワクチン接種後の評価期間は、12歳から15歳の青少年は141日間(2021年6月10日から10月29日)、5歳から11歳の子どもは199日間(2021年11月29日から2022年6月17日)、6カ月から59カ月の子どもは225日間(2022年7月17日から2023年2月27日)。これらの期間中、州全体のワクチン接種率は、12~15歳の青少年で53.5%、5~11歳の子どもで34.8%、6~59ヵ月で7.9%に到達していました。
主要アウトカムは、COVID-19ワクチン接種の年齢段階的実施により、各年齢層がワクチン接種の対象となった期間に観察された郡レベルの罹患率および入院率を、他の年齢層における観察から予測される反事実率と比較しました。COVID-19の症例および入院データは、カリフォルニア州の報告可能な疾患サーベイランスシステムから入手しています。
結果は、2020年4月1日から2023年2月27日の間に、カリフォルニア州で報告された小児COVID-19症例は合計3,913,063例、入院は12,740例。12~15歳の青少年では146,210例(95%予測区間[PI]、136,056~158,948)の減少が推定され、これは反事実予測からの37.1%(35.5%~39.1%)の減少に相当しました。5~11歳の子どもでは230,134例(200 170-265 149例)の減少が推定され、これは反事実予測から23.7%(20.6%~27.3%)の減少に相当しました。COVID-19症例が州全体で減少したというエビデンスは、6~59ヵ月の小児では認められませんでした(推定回避症例数、-259例、95%PI、-1938~1019)が、評価期間中の伝播が少なかったため、その能力が制限された可能性があります。6~59ヵ月の子どもでは、推定168件の入院(95%PI、42~324件)が回避され、24.4%(95%PI、6.1%~47.1%)の減少に相当しました。メタ解析では、郡レベルのワクチン接種率は、すべての年齢層で症例回避と関連していました。ワクチン接種率が低いにもかかわらず、カリフォルニア州における小児COVID-19の予防接種は、ワクチン接種開始後約4~7カ月間にわたって、生後6カ月から15歳までの子どもにおける報告症例376,085例(95%PI、348,355~417,328例)および入院273例(95%PI、77~605例)を回避しました。
3,913,063症例を対象としたこのケースシリーズ解析の結果は、予防接種後の小児SARS-CoV-2感染の減少を示唆しています。これらの結果は、小児集団におけるCOVID-19発生率と入院を減少させるためのCOVID-19ワクチンの使用を支持するものです。

2) 治療薬、 ワクチン関連       
国内     

海外     

治療薬      

3)診断・検査、サーベイランス関連
変異株     

国内       
コロナ禍以降の梅毒患者、日本の増加が突出 4カ国の推移を比較 
https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20240417-OYTET50000/?catname=medical-tribune
*「小森氏らは「日本でCOVID-19パンデミック後に梅毒患者が急増した理由は不明」とした上で、「2020年3月から2022年10月まで入国制限を強化した結果、外国からの旅行者はパンデミック前と比べ85%以上減少しており、外国から持ち込まれた可能性は低い」との見解を示している。
 考えられる理由として、「 外出自粛要請の影響により医療機関の受診が減少した結果、梅毒の発見が遅れ、適切な治療が行われず感染拡大につながった 可能性がある」と指摘。また、「 COVID-19との共存に慣れて感染症に対する不安感が薄れ、性交渉の機会が増加した 」可能性も挙げ、「今後の動向を慎重に観察する必要がある」付言している。」

溶連菌感染症 感染拡大が続くのはなぜ? 毎年ピークは春から初夏と、冬…主な症状は発熱、頭痛、のどの痛み 
https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20240408-OYTET50008/?catname=news-kaisetsu_kaisetsu-kikaku_shiritai
*「治療はペニシリン系の抗菌薬を10日間服用します。3日ほどで熱は下がり、他の症状は消え、人にうつすリスクもほぼなくなることが多いです。しかし、途中で服用をやめると、細菌を殺しきれないことで免疫機能が異常をきたし、心筋にダメージを与えるリウマチ熱などが起こる可能性があります。必ず最後まで飲みきってください。
 99%以上の患者はのどの炎症などの軽症で済みますが、ごくまれに菌が血液の中に流れ込んで、急速に症状が悪化します。これを「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」と呼びます。菌と、菌の作る毒素が体を巡り、足の 壊死えし やショック症状などが起きます。60歳以上に多くみられ、致死率は3割程度とされます。
 劇症型も増えています。国立感染症研究所の集計によると、今年は4月14日までの患者数は684人(速報値)で、過去最多だった23年の年間941人(同)を上回るペースです。」 

海外       

4)対策関連
国内  
感染症対策、医療逼迫に緊急事態宣言 計画改定へ 
https://www.nikkei.com/nkd/industry/article/?DisplayType=2&n_m_code=024&ng=DGKKZO80258000U4A420C2PD0000
*感染症の行動計画案を了承 10年ぶり抜本改定へ 政府対策会議 
https://mainichi.jp/articles/20240424/k00/00m/040/199000c
*感染症の行動計画案を了承 医療逼迫時に緊急事態宣言 
https://www.tokyo-np.co.jp/article/323219
*政府行動計画案を大筋で了承 感染症対策、初の抜本改定 
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024042401004&g=soc
*「国民生活や社会経済活動を考慮して、対象地域や期間を判断するとも書き込んだ。感染拡大防止と経済活動のバランスをとるため、ワクチンや治療薬の普及状況をみながら対策の強度を柔軟に切り替えるとも盛り込んだ。
新型コロナウイルス禍の教訓を踏まえ、およそ10年ぶりに計画を改定する。パブリックコメントを経て6月の閣議決定をめざす。
コロナ禍ではワクチンや治療薬の国内開発が遅れ、海外製品の輸入に頼った経緯がある。平時から重点感染症を対象としてワクチン研究開発を支援する。予防接種に伴う事務のデジタル化推進で円滑な接種を実施できるようにする。
マスクなどが不足し、買い占めなどの混乱が生じた教訓も生かす。医療物資の備蓄を進め、感染拡大時に物資が行き渡る仕組みをつくる。物資が不足する場合は事業者に生産や海外からの輸入促進を要請する。
偽情報・誤情報の拡散リスクにも備える。科学的知見に基づいて情報を提供・共有すると明記した。」  

機動的対応へ感染症対策の改定案提示…行動計画、有識者会議に 
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20240424-OYT1T50109/
*「改定されるのは、「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」。2013年に策定されて以来、初の抜本的な改定となる。会議の冒頭、担当する新藤経済再生相は「的確な感染症対策と迅速な研究開発ができる体制を組み上げなければいけない」とあいさつした。
 改定案では、科学的知見が不十分な段階でも、医療の 逼迫ひっぱく 時には必要と判断すれば、「まん延防止等重点措置」や「緊急事態宣言」など強度の高い措置を講じると明記した。国民生活や社会経済活動への影響を軽減するため、ワクチンや治療薬の普及など状況の変化に応じ、対策を柔軟に縮小・中止することも盛り込まれた。平時から必要な物資の備蓄や、実践的な訓練の実施も推進する。」  

新たな感染症対応で感染研と連携、地方衛生研の体制強化へ…「日本版CDC」移行へ環境整備 
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20240423-OYT1T50109/
*「地衛研は地域における保健衛生行政の科学・技術的な中核機関で、全国85か所に設けられている。感染症発生時に病原体の解析や検査、住民への情報提供などを担う。
 だが、コロナ禍では、PCR検査の依頼などが地衛研に集中し、検査の人員や検体を分析する機材、試薬の不足といった課題が生じた。2020年4月の第1波時は、地衛研などでの検査能力は1日4830件にとどまり、目詰まりが問題となった。新しい病原体を大量に検査する事態を想定していなかったためだ。
 政府は体制見直しが必要と判断し、病原体などを研究する感染研に対し、病原体の検査・研究手法に関する情報を地衛研と密に共有するよう促す。最新の知見を生かし、検査の迅速化や省力化につなげる。地衛研には、変異株の発生情報などを速やかに感染研に提供するよう要請し、情報共有を万全にしたい考えだ。
 資材不足の克服に向けては、感染研が民間会社から試薬や医療機材を確保して地衛研に配布するほか、民間会社に直接、地衛研に提供することも働きかける。全国の地衛研で作る協議会を通じ、感染症発生時に近隣の地衛研同士で試薬を融通し合う仕組みも拡充する。
 地衛研の中には、床の劣化などの老朽化でコロナ関連の資材が搬入できない施設もあった。対策として、24年度予算に計上した関連経費には、国が自治体からの求めに応じて地衛研施設の改修・整備費を補助する費用も盛り込んだ。」

海外       

5)社会・経済関連     


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