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【農】窒素と炭素

窒素

窒素とは

窒素の元素記号は ″ N ″ ですが、分子(物質)は二つ以上続かないと安定しないので、元素 ″ N ″が二つついて ″ N₂ ″ が窒素分子となり、一般的に ″ 窒素 ″ とはN₂の窒素分子を指す。

生物にとっては非常に重要でアミノ酸やタンパク質、核酸塩基など、あらゆるところに含まれています。

植物や動物そして人間は、窒素分子は非常に安定した分子であるために大気中の窒素分子を直接摂取または吸収することができません。
よって動物や鳥の糞や植物が枯れ土壌で分解され土壌に窒素が溜まり、それを微生物などが土壌の中の窒素を取り込み、窒素固定によって作り出す窒素化合物をまた植物が吸収し、それを動物や人間が摂取することで体内に窒素原子(N)を取り込んでいます。

タンパク質に対する窒素の比率

窒素はタンパク質やアミノ酸6.25gに、窒素が1g含まれています。

タンパク質から窒素の量を求める場合は、
″ 窒素量=タンパク質の量(g)÷6.25 ″
で計算します。

炭素

炭素とは

原子番号6の元素。元素記号はC。
炭素結合で有機物の基本骨格をつくり、すべての生物の構成材料となる。これは蛋白質、脂質、炭水化物に含まれる原子の過半数が炭素であることにより、光合成や呼吸など生命活動全般で重要な役割を担う。地表での炭素の重量比は0.08%にすぎないため、生命は自然界にある僅かな炭素をかき集めてかろうじて成立している。

C/N比(炭素率)

C/N比とは

土の中にいる微生物は光合成をしないので自分でエネルギーとなる有機物を合成することはできません。微生物が酵素を生成し有機物を分解して有機物から炭素を取り出します。有機物=炭素を含んだ化合物ですので、C/N比が高いということは微生物の栄養となる炭素がたくさん含まれているということです。

有機物が豊富にある状態では、微生物はこの有機物を利用して炭素を取り込み増殖、呼吸を盛んに行います。

しかし、微生物が増殖するためにはエネルギー源だけではなく、菌体のタンパク質を合成するための窒素化合物が必要となります。

有機物の中に窒素化合物が足りない場合には微生物は土壌の窒素化合物を利用して菌体のタンパク質を合成しようとし、土壌の中の窒素が消費されます。

土壌の中の窒素と有機物に含まれている窒素が炭素に対して少ないと微生物が植物に必要な窒素も消費してしまい窒素不足の状態となってしまいます。これを窒素飢餓といいます。だいたいC/N比が20以下となると、窒素飢餓が起こらないといわれています。

農業で使用する有機質肥料に含まれる炭素と窒素の量を比率で表したものがC/N比(炭素率)です。炭素(C)含有量を窒素(N)含有量で割って計算します。

C/N比 = 全炭素 ÷ 全窒素

C/N比は値が低いほど窒素含有量が多く、値が高くなると窒素含有量が少なくなります。C/N比の基準値は20~30で、それを境に高いか低いかを判断します。

文献

  • minorasu
    「C/N比とは?有機物の分解速度から考える効果的な土壌改良方法」

  • 群馬大学 大谷杉躯「炭素と微生物」

  • Wikipedia「窒素」

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