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[制作技法]仏製馬具の縫製技法

*縫製について

フランス馬具の縫製技法(Le Point Sellier)*1で鞄、小物すべて同じ技法で縫製しています。
ミシンを使わない伝統的な手縫いの方法で、
縫う度に糸同士を掛けて固定するような縫い方になり
縫い目が両面とも斜めになるのが特徴です。

似た縫い方ですが、糸同士を掛けずに縫う方法もあります。
馬具の鞍の力の掛かる部分(縫い合わせた革が互いに別の動きをしようとする部分)では前述の固定するような縫い方をしてしまうと遊びがなく、糸がちぎれてしまうので、糸同士を掛けずに縫い進めます。
この縫い方をした場合、縫い目は片面のみ斜めになります。
鞄や小物の中で、特に力が掛かる部分ではこの縫い方をしています。

両方の縫い方とも、ミシン縫いでは構造上不可能な縫製になります。
一部の糸が切れても解けることなく作品の形を保ってくれますので、
余裕をもってメンテナンスに出していただけます。

両面が斜めになった縫い目

縫製する際は目打ち*2(フォークのような形状の道具)を用いて革に縫い穴をマーキングします。
マークした縫い穴を菱錐で一目ずつ貫通させながら縫い進めていきます。
通常使われる縫い目より遥かに細かいために縫製だけでも多くの時間を必要とします。

細かなステッチが密に並ぶ美しい縫い上がりは、ミシン縫いのものとは異なる独特の雰囲気に仕上がります。

*1 Hermes職人より
*2 別の記事で解説あり

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