見出し画像

匂いのない花みたいな大学三年生が終わった

大学三年生の最後の授業、最後の課題、全てが終わった。味気ない授業と、味気ない課題だった。気づいたら終わっていた、という感覚だ。マジでFANZAでおっぱい見ているとき以外、とてつもなく苦しい一年だった。ありがとうFANZA。君だけが僕の癒しだったよ。

僕の大学三年生は、一年を通してリモート授業だった。大学に行ったのは二週間に一回程度である。

自室のパソコンの前で、Youtubeを見る時と同じ姿勢で授業を受け、そして、Google Classroomでレポートを提出する。こんな生活に、いつの間にか完全に慣れてしまった。人間の慣れというのは恐ろしい。電子煙草を吸いながら授業を受ける事に慣れてしまったから、仮にも対面授業が再開された時には、ニコチン切れでイライラしてしまいそうだ。


僕の好きなバンド、My Hair is Badの最新曲「白春夢」の中に、こんな歌詞がある。作詞は、ボーカルの椎木知仁さんだ。

不思議と会ってるみたいだった
リモートと言われるならそうだった
匂いのない花みたいだった
でも偽物もないよりマシと思った



この歌詞でも歌っているように、リモート授業やリモート飲み会は不思議と実際に会っているような感覚にさせられるから面白い。

変な事を言ったらちゃんと気まずいし、面白い事をいったらちゃんと面白い。顔色が気になるのはリモートでも変わらないし、一人になった瞬間に寂しくなるのも同じだ。

大学生の大半がスマートフォンを持っているこの時代にパンデミックが起こったことは、ある種不幸中の幸いなのかもしれない。2021年1月現在、大学生の殆どがZOOMを気軽に使えるようになった。これは、よく考えれば考えるほどに、コロナ禍以前では考えられなかったことだ。


とはいえ、だ。「匂いのない花」というこの歌詞における椎木さんの表現が全てである。リモートには匂いがない。匂いがないということは、ほとんど味は無いに等しい。まさに、味気ないのだ。

大学の授業中、講義室の後ろに座っている猿みたいな学生の猥談に腹を立てたり、駅前の銀杏の木が臭いねなんていいながら、下校途中に友人とラーメンを食ったり、大学二年生まで当たり前のように経験していた一ページが、今は本当に愛おしい。来年、大学四年生になる僕は、もうこんな日々を取り戻すことが出来ないのではないか、という気までしてしまう。


椎木さんはこう続ける。「でも偽物もないよりマシだと思った」

その通りだと思う。ある意味で、大学三年生の一年間は、偽物のような日々だった。でも、偽物は偽物で、あるだけマシだった。

残念かな、来年度も恐らく偽物の日々が続く。社会は未だに目にも見えないウイルスに怯えたままだ。大学を通常通りに開講することなど、社会が許してはくれないだろう。

この事実がとてつもなく虚しくもなるが、虚しいままでもいられない。今ある環境に文句ばかり言っている人間って、魅力的じゃないもんな。社会が変わるなら、自分も変わらなくてはいけない。

2021年度は、もっと楽しくできたらいい。贅沢とユーモアで、この苦境を乗り越えたい。その先でみんなと笑いあいたい。幸せな未来を祈って、今日はあつ森を少しやって寝るとしよう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?