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チャットレディとおっさんの恋 vol.5「崩壊」【SunoAI曲あり】

<彼>
・60代。定年後再雇用で仕事継続中
・チャット歴十数年?
・チャットは時々楽しむ程度
・PC周りに詳しく、カメラ・動画撮影も覚えあり
・既婚
彼のnote>>>https://note.com/yu_my_love
<私>
・チャット歴数年
・バツイチ小学生の子持ち
・40代
・過去の経験で男性に対して少しトラウマあり

あなたに首ったけ

前回紹介したSunoAI曲「When I Think Of You」が届いたあと、私たちはしばらく予定がすれ違い、チャットをするタイミングがありませんでした。

その後数日して、彼から「Addicted To You(あなたに首ったけ)」というタイトルのSunoAI曲が送られてきました。
(日本語歌詞はYoutubeの概要欄に記載があります)

このころの曲は、「日本語だとストレート過ぎるから」と英語歌詞のものが多かったのですが、私が大まかに意味を理解していると知ると、「ストレートじゃなくてカーブも織り交ぜていかないとね」と、彼は少しずつ表現を工夫するようになっていました。
その日彼はDMで「君は毒性が強い」と言っていて、これはそれを題材にした曲でした。

私はその日のチャットが終わってから、この曲を聴きました。
通して聴いた後、すぐに意味が理解できないところがあり、何度か聴き返しました。
歌詞には、こうありました。
(そのとき歌詞は画面に表示されるだけで、日本語歌詞なし)

That's why I've muted my email alerts,
They make me leap with every incidence.
(だからメールの通知も切断した。
だって通知が来たら飛びついてしまうもの)
Why do you concern yourself with me?
I'm not even sure you like me as I can see.
(どうしてあなたは僕に構ってくれるの?
あなたが僕を好きでいてくれてるとは思えないのに)

[あ、私最低なことをしてる]
と思いました。
彼はXの投稿やDMのやり取りの中で、何度か「Xの通知を切っている」と言っていました。
ただ通知が来るのが煩わしく感じる人なのかなと思っていたのですが、思い返してみると、そのXの投稿は私とのやり取りが始まった翌日。
この歌詞を聴いて、私のせいで彼が通知を切っていたこと、私が親しげにやり取りすることで、彼がより意識するようになっていたこと、そして彼が心を痛めていることに初めて思い到ったのでした。
その一方で、DMを送ると、通知を切っているはずなのに、日中であればすぐに彼から返信が来ることも実は知っていました。

気づいたら、私は嗚咽をあげて泣いていました。

振り回される楽しみ

親しくして、会いたいと言われたらちょっと困った顔でにこにこスルーして、じっくりと沼にはめていく。
それは、チャットレディとしては“正しい営業”だったでしょう。
実際、今までだってそうやってきて、「またまたぁ」「これまで男運がなかった分、もう生身の男なんてまっぴらだわ」と、のらりくらり会員様からの好意に気づかないふりをしてきました。
多少胸が痛むことはあっても、“チャットはそういうもの”だと思っていたのです。

今思い返してみると、もうこのとき私にとって彼は“特別な人”だったのだろうと思います。
そのときはまったく気づいてなかったけれど。
息ができないくらい泣いた後、私は彼に
「どうしたらいいいんでしょうか。泣いてしまう」
と返信しました。
その日彼はチャットに来なかったので、本来であれば写真を送る日のはずですが、それすらできずに。

泣き疲れて眠り、朝起きてみると、彼から3時ごろ返信が来ていて、
「ストレートに書かなかったから、意味を読み間違えたのかも」
と日本語詞が送られていました。
読み直してみると、理解していた通り。
眠って少し取り乱したことが恥ずかしくなったので、私は彼に約束の写真を送り、
「振り回してしまったのかと思って…。泣いてしまったのは仕事のストレスで情緒不安定だったのかも」
と連絡しました。
彼からは、
「振り回されてるなんて思ったことも感じたこともないし、100歩譲って振り回されてるなら、振り回されるのってこんな楽しいんだ?  なら、もっと振り回してください(ドMかよっ!)」
と返事。
思わず、吹き出してしまいました。

私はもともとあまり泣くほうではなくて、ましてや人前で泣くなんて恥ずかしい、絶対しないと思っていました。
歳をとるとともに涙腺がゆるくなってきてはいましたが、息もできないほどの号泣なんて、本当に何年ぶり、何なら十数年ぶりのことでした。
でも彼は、
「疲れていたり、ストレスがたまっているときは、我慢せず泣いていいんだよ」
と言ってくれました。その言葉に、
[この人なら、安心しても心のうちを言ってもいいのかも]
そう思い始めていました。


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ken to yu
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