【地理教材】FAO STATから農業・食糧統計データを入手・可視化する
@KentoIDE です。昨日Twitterにこんなものを公開しました。
世界三大穀物である米・小麦・トウモロコシの生産量上位国を可視化してみました。
・水田耕作という方式をとり、高温多湿なモンスーンアジアに生産が集中する米
・中緯度地帯の半乾燥地域に生産が集中する小麦
・原産地であるラテンアメリカでの生産も目立つが、米や小麦と比して飼料・工業原料向けの生産が寄与したUSの生産量が目立つトウモロコシ
・何にせよ中国が強い
という、高校地理を通られた方であれば耳なじみのある傾向が伝わる可視化ができたかなあと総括しています。
もっとも、私も地理屋さんの端くれ(在野の成れの果て)を標ぼうしている身分なので、等積図法ではないWebメルカトル図法の地図で、円シンボルで数量の大小を可視化することはナンセンスだと思ってはいるのですが(高緯度ほど縦に図面が引き延ばされるWebメルカトル図法で主題図を作成すると、高緯度地域が過小評価され、低緯度地域が過大評価される)、
「ま、主題図の趣旨は伝わるしええやろ!」という見る人が見たら小一時間のお説教では済まない革新的な思想のもとで公開に至ったのでした。
それはさておき、このnoteでは、この資料でみ使用している世界各国の農業・食糧関連統計情報が集まっているFAO(国際連合食糧農業機関)の統計データ(FAO STAT)から、統計データを入手して可視化するまでの流れを記載しようかと思います。大手教科書会社様の統計集でおなじみのデータソースその①です。
主には中高で地理を教えておられる先生方の教材準備の支援になれば、という目的意識に基づくものです。
(お断り:本記事は2021年4月時点の情報に基づきます。参照先のUIが変更された場合など、本記事の記載内容の通りとならない場合があります。)
① FAO STATのサイトにアクセスする
こちらです。
国連の機関ですので日本語のページはありません。残念。
色んな情報がありますね、ここに掲載されている統計データだけでどれだけの問題が作れることやら。時間が無限にあっても足りませんね。
②入手したいカテゴリを選択する
試しに先のトップページで「Production(生産)」カテゴリの「Crops(作物)」を選択しましょう。
Crops(作物)データのダウンロードページに移動しました。
③ダウンロードするデータの内容を設定する
ダウンロードページに表示されている4つの設定メニューは「Crops」メニューではそれぞれ
・ダウンロードする国や地域
・ダウンロードする統計値
・作物名
・統計年
が選択できるようになっています。
試しに冒頭のツイートで可視化したとうもろこしのデータをダウンロードしようと思います。
・「COUNTRIES」では「Select All」
・「ELEMENTS」では「Production Quantity(生産量)」
・「ITEMS」では「Maize(とうもろこし)」
(余談ですけど「Corn」ではないんですよね)
・「YEARS」では「2018」
を選択します。
画面下部の設定メニューから、エクスポートするファイルの詳細が設定できます(XLS形式/CSV形式など)。
とりあえず何も触らずに最下部の「Download Data」をクリックします。
ダウンロードできました。上からABC順にアフガニスタン、アルバニア、アルジェリア…と並んでいて、L列(Value)に生産量(単位:トン)が格納されていますね。普段は生産下位国の生産量なんて目にすることはありませんから、新鮮です。過去のデータも入手できるので、小規模な国でも生産量の急増などに着目すれば面白いテーマになりそうですね。
④データを可視化する(例:ArcGIS Online)
さて、せっかくデータを入手したので、可視化してみようと思います。
先生ごとに得意な可視化ツールはあると思いますが、私の得意なEsri のArcGIS Onlineを使います。通常のライセンスでこのようなデータ(座標情報を持たない、国名や住所だけのデータ)をとりこむと、すぐに無償枠を使いきってしまうのですが、個人向けライセンスでとりあえず放り込むだけなら無償で行けるっぽい(多分)
ArcGIS Onlineの「Webマップビューア」にアクセスして、地図上に先ほどダウンロードしたCSVファイルをドラッグ&ドロップします。
CSVファイルのどこに位置情報が格納されているかを設定します。
「住所または場所」にチェックを入れて、フィールド名「Area」の場所フィールドで「国」を選択し、「レイヤーの追加」をクリックします。
おそらくエラーが出ますが、いったん無視して下さい(厳密には無視しちゃいけない)。
取り込めました。何も見た目をいじっていないので不格好ですが、とりあえず「アメリカと中国すげー」だけは伝わる地図になりました。
シンボル(各国の図形)やベースマップをちょっといじってみた例です。
ArcGIS Online以外にも、データの可視化に適したツールはあると思うので、色々試していただけるといいかなと思います。
まとめ
ということで「FAO STATからデータをダウンロードして可視化してみる」超ざっくり編でした。次の機会があったら他の統計データ(USGSとか、世界銀行とか)の入手方法もまとめてみたいと思います。
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