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プライド

待ちに待ったプロ野球が開幕して約2週間。
7/10からは、少しずつお客さんを入れ始めるという。
仕事が終わって急いで家へ帰り、18時からのスワローズ戦を見るという日常が帰ってきた。

軒並み最下位予想だった我がスワローズもここまで上々の滑り出しだ。
あれ?もしかして今年はいけるんじゃ無いかなんて思ってると、平気で16連敗していたりする。
油断は禁物である。

毎年シーズンが始まるとチェックしていることがある。ホームチームの選手が打席に入るときや登板時にかかる登場曲である。自分で好きな曲を選曲しているのだが、選手の個性が垣間見えるようでとても興味深い。

例えば、山田哲人は、GReeeeNの"遠くの空指さすんだ"。
そらそうだ。自分がMVに登場してるんだから。
そして、5打席目まで打席ごとに登場曲を変えている。そういえば、2013年の選手名鑑では「好きなタイプ」の欄に4人も書いていた。欲張りさんである。

川端慎吾は、FUNKY MONKEY BABYSの"悲しみなんて笑い飛ばせ"。
この曲は、川端個人のチャンステーマにも使われるほどで、川端=悲しみなんて笑い飛ばせと言ってもいいほどファンにはお馴染みである。

山崎晃大朗に至っては、"學級王 ヤマザキ一番!"である。緊迫した場面でも、やーまざきいちばーん♪が流れる。なんとも彼らしい。
(完全な余談だが、山崎晃大朗も歌っている山崎邦正もやま「ざ」きではなくやま「さ」きである)

そんな中、気になった選手がいる。

昨年楽天を戦力外となり、今季からヤクルトのユニフォームに袖を通した今野龍太だ。

彼の登場曲は高橋優の"プライド"。
知らない曲だったので検索して聞いてみる。

もう歌い出しからやられてしまった。

君ではダメだと言われてしまったか?
君じゃない人の方がいいと諦められたか?
そんな言葉を本当だと思うのか?
まだやれるのにチキショーと叫ぶ心はあるか?

戦力外通告を受けた時の心境は、察するに余りある。

この歌詞の様に君ではダメだと言われた気になっただろう。まだやれるのにと思ったことだろう。

この曲を選曲し、新天地でもう一度やってやるぞという気持ちが痛いほど伝わってくる。

今野についてちょっと調べてみた。

2013年のドラフトで支配下選手として、1番最後(全体の76番目)の指名で楽天に入団。
1年目から一軍登板を果たすものの、2年目には半月板の怪我により育成契約へ。
4年目に支配下選手へと復帰し、6年目の2019年にはプロ初勝利を挙げるもオフに戦力外通告を受け、ヤクルトに入団。

プロ7年目の25歳だが苦労人である。

歌詞はこう続く。

まだやれるさ
立ち上がれその心よ
焼き尽くせ命の火を
どこまでもいけるよ君が望むのならば
なにもかも叶えにいこう
そしてまた笑い合おう
その真逆を煽る風が吹いているとしても
誰にも期待されてないくらいが丁度いいのさ
ここにいる意味を刻み込むのさ 何度倒れても
ここにいる意味を刻み込むのさ 何度倒れても

浦添キャンプでは、同じく新加入の長谷川宙輝の注目度が高く、それに比べると今野にはそこまで注目が集まっていなかった様に思う。キャンプで私が撮影した写真を見返すと、恥ずかしながら数枚しか撮影していなかった。

誰にも期待されてないくらいが丁度いいのさという思いだったのだろうか。

オープン戦、練習試合で結果を残し、開幕一軍入りを果たしたものの、開幕戦で2失点。
6/22には一軍登録抹消となってしまった。

ただ、ヤクルトのリリーフ陣は、お世辞にも層が厚いとは言えない。特に今年は過密日程。必ずチャンスは回ってくるはずだ。また神宮球場に"プライド"が流れる日もそう遠くないだろう。

数えきれぬ悲しみと
数えきれぬ過ちと
やりきれぬほどの 悔しさを飲み干して
這い上がれるよ何度でも
そしてまた笑い合おう

毎回完璧に抑えられるシーズン防御率が0.00のピッチャーなんていない。
打たれて悔しい思いをすることだって少なくないかもしれない。(少なくあって欲しいけれども)

それでも、プレーできる場所が奪われかねない逆境から、チャンスを勝ち取った今野ならば何度でも這い上がれるはず。

彼がスワローズ中継ぎ陣の重要なピースになることを期待してやまない。

因みに高橋優のプライドは、侍ジャパンのドキュメンタリー「侍の名のもとに」の主題歌でもある。

侍ジャパンのユニフォームを着てプレーする今野のバックでプライドが流れる…なんてのは流石に夢物語だろうか。

いや、そんなことはないはずだ。叶うと信じるところから夢は始まるのだから。

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