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正直に書こう 留学日記#1

正直に話そう。
俺は、こっちにきて4ヶ月が経った今、何もできていない。留学も残り2ヶ月を切った。俺は何もできないまま日本に帰ることになる。
何もできていない自分が情けないし、悔しい。そして、応援してくれた全ての人に心から申し訳ないと思う。何かを成し遂げたくても、うまくいかない日々が続き、最終的には寒いからと言って、天気が悪いからと言って、家に閉じこもる。今年も終わるというのに天気と同じようにどんよりした気分になる。

今は、テストお疲れ様プチ旅行で行ったブダペストからの帰り道。日帰りでウィーンから来るハードスケジュールを敢行したから、めちゃくちゃ疲れてるし、辺りはめちゃくちゃ暗い。周りからはスヤスヤと寝息が聞こえる。俺も眠りたい。ウィーンまでゆっくり休みたいなと。でも、なんか眠れないから、何も見えやしない窓の外をぼんやり眺めてながら、考え事でもしようかと思った。

そしたら、窓にうっすらと映る自分が本当の自分に問いかけてきた。

「俺は留学で何をした?」
「何ができるようになった?」
「何を成し遂げた?」
「何をしにウィーンに来た?」
「何のために毎日を過ごしている?」
「結局、口だけじゃないのか?」

窓の向こうにいる俺が問いかける問に対し、座席に座る弱い俺は淡々と答える。正直どれも言い訳がましいものばかり。

そして、窓の向こうの俺は嘲笑うかのように返してくる。
「お前は結局大したことないな。」
「お前のレベルはこの程度だったってこと。」
「お前の過ごしている毎日には意味がない。」
「所詮、お前は何もできない赤子も同然。」
「お前は弱いな。」

などと。

うるさい、と心の中では思いながらもハッキリと言い返すことができない。それらは紛れもない事実で、自分の思い描いた留学経験を得れたわけではない。満足なんてまるでできないし、ただ悔しい。過ごしてしまった時間は2度と戻ってこない。だからこそ、自分の何もできなかった時間を飲み込むしかない。受け止めたくないけど、そんな弱い自分を受け止める以外に強くなれる方法はないと思うから。

だから、俺は未来を変えるためにも残り2カ月もない留学期間に自分に課題を課すことにした。

「?を大切にする」

正直、こっちにきて一番の収穫と言ってもいいのが自分の論理展開力のなさへの理解だ。
本当に無知だ。そして、俺の語るものは全て感情論。データを扱ったとしても、何かを語るにしても多面的ではなく自分の良いように物事を捉える。結局は一面的なことが多い。それなのにも関わらず、その自分の考えたものを真だと信じる。反例からは常に目を逸らし続け、最終的には反例とすら認識できない盲目的な人間になってしまった。
自分は正しいと言い聞かせ、答が無限通りある問に対し一問一答かのように答えていく。まるでマシーンのように。しかし、決してスマートなマシーンではなく、処理するほどの情報も持ち合わせていない完全ポンコツのマシーン。
そんな俺は、圧倒的に浅はかな人間であることにやっと気づけた。22年生きてきて、自分は賢いと錯覚し、俺は何でも知っていると思い込み、自分は天才だとまで思っていた。そんなバカは19歳のフランスから来た少女や、ポーランドから来た青年、ハンガリーから来た女学生によって目を覚まさせられた。何かを語るには圧倒的に知識不足。何の根拠にも基づかない意見。それこそ、データなんて全く見ないし、自分の知ってる知識だけ陳列させて、あたかも全ての食材が揃っているかのように販売する。だから、上品だと思い込んでいた食材の賞味期限や生産背景、生産方法、味などを調べずに堂々と売ろうとしても、頭の良い人には見向きもされない。当たり前だ。俺の意見には何も論理がないから。一面的な面しか見れていないから、上質な料理にはなり得ない。

では、現状を打破するためにはどうしたらいいのか?
簡単な話、疑問を持つことだと思う。
当たり前だと思っているものに対して疑い、全てのことに対して何故を求める。事実に対して、それ自体が何を意味するのか、何故そうなったのかを論理的に思考する。思考すると言っても、すべては事実に基づくのだが。
しかし、その論理思考は1日や2日で完成するようなものではないし、ましてやバカな俺が調べてもネットの答えらしきものを鵜呑みにしてしまい失敗してしまうだけだと思う。日本に帰ってから答えを求める場合でも遅くない。2ヶ月を切った今では、答えを出せない場合がほとんどだと思うし。せめて、ここで得た経験としてではないからかもしれないけど、「?」を持ち続ける課題を自分に課す。そして、それを自分がこっちで得た成果にしよう。そう決めた。

そうと決まれば早い。
スマホのメモ帳には”?”が溜まっていく。

・若年層の得票率が低いのは何故か。
・日本の経済成長率が低いのは何故か。
・日本に興味のある外国人が多いのは何故か。
・なぜ、日本は大学入試を重んじるのか。
・日本の外国語教育と海外の外国語教育は何が違うのか。
・そもそも日本人は本当に英語を喋れないのか。
・なぜ、近年は円安傾向にあるのか。
・なぜ、日本人は謙遜するのか。
・なぜ、日本は治安が良いのか。
・自閉症とは何なのか。
・なぜ、自閉症スペクトラムが起きてしまうのか。
・なぜ、大学の無償化の傾向が起きているのか。
・なぜ、韓国人や中国人はどこにでもいるのか。
・なぜ、日本の大学時代は人生の夏休みと言われるのか。
etc.

話題は尽きない。これらを一つずつ解決できれば、少しは留学して良かったって言えると思う。
そしたら、ブダペストからの帰り道で俺をバカにしてきたアイツに向かってハッキリと言い返せると思う。

「留学した意味があったんだ」
と。

テストも前回よりスコアは上がったし、色々な気づきも毎日得れている。ただ、残りの1ヶ月半を死ぬ気で駆け抜けよう。
でも気負わずに、Johann Straußの曲のように優雅に、そしてスタッカートをつける余裕くらい持ちながら。

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