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泰石酒造をM&Aさせていただくことに

なりました。

数年前から現代表の安田さんとお話はしてたんですけど、請福酒造さんとの共同経営スタイルが見えてからかなり具体化しまして、昨年末に最終合意しておりました。3月中旬に法的手続きが終了予定で、その時点で弊社が大株主となり、泰石酒造を傘下子会社におさめるという形になります。
泰石酒造という法人はそのまま存続し、いったん今年3月末をもって休業し、石垣島への移転手続きを沖縄国税事務所と相談の上(すでに当然相談はしている)進めて、建物を建て、製造設備を入れ、2年後くらいに製造販売を再開する予定です。

卸にとって酒造会社というのは聖域で畏れ多い。が、泰石酒造はおもしろい。本当におもしろい。沖縄に泡盛メーカーはたくさんあるが清酒メーカーは一個しかない。沖縄で清酒造ってるって知らない方も多いと思いますしライバル居ない(一番近い同業者が鹿児島である)。南国の清酒というギャップもいい。日本最南端というわかりやすい言葉もある。
酒卸なんかいつまでできる仕事か分からんし新規事業というか会社の幅というか、そういうの必要だろうと思ってはいたのですが、なんといってもM&Aはただでさえ重いしメーカーなのでさらに重い。
ただ今回は製造担当を請福酒造さん(というか漢那さん)、販売は南島酒販が総代理店になるという形で、製販分離のイメージがまとまりました。泰石酒造M&Aしたいなぁと思ってもそもそも造りができないからねウチは。酒卸と酒造業は酒くくりの同業界ではあるが異業種で、考え方も儲け方も仕事内容も全然違いますので、製造さえできりゃあそれなりに売れるはずだけど南島だけじゃ製造がどうにもならん。と思っていたところを請福の漢那さん(東農大出身)からいつも座安さんと一緒にいらして、「清酒やりたい」「石垣島でやろう」「泡盛屋にとって清酒蔵は憧れの存在」「石垣は米が取れる」「オレが造る」「水もいい」「請福は土地も余ってるからそこに建てよう」「泡盛の瓶詰ラインとか人員を転用できるからコスト抑えられる」「今は結構機械化できるんですよ」「よし機械メーカーに相談するわ」「精米機も買おう」と心強いお言葉をいただいて、よしもうなんとかなるだろう行ってみよう!と決断しました。

泰石酒造は1952年創業の、つまり復帰前からの会社で、日本酒・ウイスキー・甲類・スピリッツ・リキュールなどの免許を持ち泡盛製造免許を持っていない非常に特殊なメーカーです。孤高の存在と言える。
もともと手作業も多い工程だったのに清酒製造設備がかなり老朽化してしまいさらに生産効率が落ち、ここ2年ほどは安田社長が1人で造ってて、配達も何もかもすべてお1人でやってらっしゃいました。昨年の仕込みを最後に、清酒の設備は完全に壊れた、寿命を迎えたと仰ってました。
なので借金苦の経営不振というわけでもなくて、ギリギリながらもコロナも乗り越え経営はできてたのですが「設備投資」「後継者不在」がM&Aの主要因です。後継者もいない中で壊れた設備を修繕するための投資に踏み込む、というのが現実的に難しかったというのが実際のとこです。

現在はウイスキー免許が付与されやすくなって県内でも複数のメーカーが保有するにいたりましたが、日本酒は相変わらず泰石酒造一社。税務署の方針が変わらない限り新規免許の交付は無い。そして税務署のお酒絡みの方針はかなり慎重で、そう簡単には変わらない。
酒造免許はお酒のカテゴリーごとに交付されるもので(ビールならビール免許、乙類焼酎なら乙類焼酎免許)、日本酒を造りたければ日本酒の製造免許が絶対必要なのですが、それを沖縄で持ってるのは泰石酒造だけで、他の人が取ろうと思っても取れない。唯一の手段は他都道府県の酒造所を移転させることでそれはいくつか全国で事例がありますので、いずれ沖縄にもどこかから引っ越してくるメーカーがあるかもしれませんが、少なくともそれまでは「県内唯一」なのは変わらないということになります。

今後は、とりあえずうるま市の泰石酒造の現本社工場からの引っ越しの前に、在庫分は売り切ってしまいたい。在庫のお酒を残しておくと税務上ややこしいので、3月一杯で全部タンクも空にして、瓶詰したものは全部南島が仕入れておこうと思います。ただまぁ清酒はもう造れないし残りも少ないです。はんたばるは多少余裕があるかな、まぁもう4月以降は休業に入り一切の業務停止するので新たに造ることは無いんですが。うるま市産のお酒が欲しい方はお早めにご注文ください!


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