残業規制と副業の問題

週40時間労働に代表されるホワイト的働き方で、幸せになれる人となれない人がいると思う。幸せになれる人は、それだけの時間から得られる収入がA「十分である」か、あるいはB「不十分でも幸せだと思えるタイプ」かどちらかである。幸せになれない人はC「不十分で、それが不幸せだと思うタイプ」か、あるいはD「収入とはそこまで関係なくもっと働きたいと思うタイプ」である。それ以外に、労働基準法に関係の無い人(自営業者や企業の役員や不労所得で生きている人など)もいる。
Aは、今の時代の理想のモデルで、勝ち組であり、そもそも優秀な人である。優秀だから週40時間で”十分”=おそらく相対的に上位だから十分 という収入を得られている。相対的上位の存在である。つまり限られた割合しか原理的に存在しない。としよう。社会全体が物凄く豊かであれば全員が満足することがありうるかもしれないが実際的には割合が変動するだけで結局不満足な人は出てくると思うけど。しかしもちろん勝組ということは勝っているわけだから競争をして勝っている。競争に勝つための努力を重ねた結果、Aになっている。
Bは、収入は不十分だがそれでもいい、別の価値観で生きられているから問題ないという人。あるいは亜種として「収入欲しくないわけじゃないが頑張るのと天秤にかければ、頑張らない方を選ぶ」という人。亜種と言ったがこういう人の方が絶対多いとは思う。これが幸せかどうかは微妙なところだが自分の選択としてそうしたわけだから一応幸せに分類する。Cの亜種でもあるが自覚してBを選んだとしたらならBである。
Cは、一般的な考え方であると思う。もっと収入を増やしたいし、収入が足りない現状に危機感や不満を持っている人。やはりこれが問題である。
Dは、そんなに多くないがそれなりに多く実在する「なんかやってる自分が好き」という人。いろいろやってること自体に充実感がある。忙しくありたい、課題設定してクリアして上手く行ったり行かなかったりするのが好きという人。経済的には何の心配もないのに、収入以外の価値に重きを置いて働いているシニア世代もこれに該当する。と思う。また、「こいつ(やったからって特別に給料増えるわけじゃないのに)働くの好きだなぁ」と思われるような人が該当する。社長としては非常にありがたい存在。

重要なのは人それぞれ、A~Dから別に変わることがとっても難しいということ。性格や生まれ持った能力、根本的な考え方、人生観、それまで積んできたキャリアなど変えようがないか変わるのに時間や労力がかかるかというものから半自動で選択されるものだから、スイスイとCからAになったり、DからBになったりするのはできないし、しない。ちなみに私が労働基準法の枠内にいたとしたら、Bになっていると思う。
Cの大多数は(Aの定義から言って)相対的に特別な能力を持っていないので、「時間で稼ぐ」のがもっとも手段として手っ取り早いし、何より確実。確実なのは大きい。克己心とともにAを目指すのも良いが、上手くいく保証は無い。自己投資に時間を費やすよりは確実に時給を得られる仕事をしていた方が手堅い。ただリスクを取ってAを目指す人しかAにならないので、BやCに留まってくれる人が増えれば増えるほどA志向派は低リスクでAの座に辿り着く確率が高まる(Aは相対的存在だから)。三菱商事の夏のボーナスは640万だったらしいが、そもそも三菱商事に入ろうと思わないと入れない。入り方自体は誰でもだいたい知ってる(勉強して東大に行き、勉強以外の要素も磨き、頑張って就活し、三菱商事の中で生き延びればよい)ものの、実行するか、できるかどうかは別の問題である。まぁ三菱商事の社員が週40時間しか働いてないとはとても思わないが。
Cは否定されるべき存在ではない。まったくない。むしろ正しい。簡単に言えば「もっと働いてもっと稼ぎたい」と言ってる、というよりは「もっと長時間働くしかないのだから働きたいわけじゃないけど収入のためにもっと長時間働きたい」わけだから、シンプルにもっと長い時間働けるようにすればいい。

でも残業規制があるんですねぇ。じゃあ別の会社で副業したらいい、ともならないんですね。副業してる時間も、もとの会社の残業時間にカウントしなきゃいけないルールだから…やっぱこれ制度上おかしいよな。残業代を第一企業が払うわけじゃないけど、第二企業側で働いてる時間まで第一側が管理監督しなきゃいけない。ついでに言うと第二企業側は厳密には「割増賃金」を最初から払わねばならない。なぜなら第二で働く時間は、第一で働いたあとの残業であるから。時間外の割増賃金じゃないといけない。残業か…?
まぁ割増まではまぁいいよ。労働時間が制限されるのが意味わからない。なんで自分の選択として副業するのに、制限がかかるんですかね。憲法違反じゃないのこれ。職業の自由ってあるじゃん。憲法第22条!「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択 の自由を有する。」まぁ残業のことを言ってるわけじゃないのはわかるけど、なんかその、だいたい別にええやん。南島酒販の中では、そりゃ過度の残業にならないようにするよ。これは生産性とかの話とは全然別ですからね。なぜ第一の職業選択には憲法が適用されるのに、第二選択には適用されないのか。
会社の外でもっと働きたいっていうのを制限する権限らしきものを南島酒販が持ってるのおかしいじゃん。まぁ権限っていうか、なんか管理監督する義務があるんだけど、おかしいじゃん。従業員を自由意志の無い物質と見てるというか、一個人として見てない気がするよな。人間に対して失礼じゃないですかね逆に。人間を何だと思っているのか。副業を完全自由にしたら、結果として過労死が増えるのだろうか?そうか???労基法の枠外にある個人事業主や経営者や農家と何が違うのか?私が過労死しても労災はもちろん下りないですけど、それは「役員は自分で働き方を選択できるから」という前提があるから過労死は自業自得というか自分が選んだ道という考え方で、副業だって自分で選んでやるわけだから、同じでダメなのかな。
まぁ百歩譲って把握はしましょう。するけど、「ちょっと君、副業多すぎるんじゃない?」って指摘する権利ありますか?「お前に関係あるんか」と言われたら「そら関係ないわな」と返すでしょう。南島ではちゃんと働いてて、そんで退勤のあとに何をしようが関知するもんでもないしましてや反社会的行動でなくて「第二のちゃんとした仕事についてる」ことをどう否定できようか。副業が本業に悪影響を与えてはいけないですよそんなの大前提だから。もちろん。でもどんなに整えてても、副業は残業だと扱われるわけですよ。そして残業時間の規制の対象になる。ちゃんとした会社で働いていればいるほど、副業しにくいわけだよ。
ドラマとかで出てくる「女手ひとつで3人の子供を育てるため昼夜を問わず懸命に働くシングルマザー(合計週70時間働いている)」を雇ってる会社は法令違反で捕まらねばならない。「親の借金を背負ったものの昼は工事現場で働き、夜は飲食店でバイトし、休みもなく懸命に働いて30歳で完済した立派な青年」を雇っている側は捕まらねばならない。なんでやねん。適当な労務管理をしてるようなダメ企業は当然捕まらねばならないし、管理してるならしてるでそんな健気なCを雇っていたとしたらそれもまた「過剰に残業させたブラック企業」と認定されて、捕まらねばならない。なんでやねんおかしいだろ。ああいうドラマで「大変だろうけど、頑張んなさいよ、応援してるよ」と優しく見守ってくれる”良い社長(橋爪功さん的イメージ)”は反社会的存在であり捕まらねばならないのである。一応ルール上は。であれば一度しっかり捕まえた方がいいんじゃないかなマジで。


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