自由置碁のこと

囲碁AIが人類の世界王者を打ち破って、世界を驚かせたのは2016年のこと。それから4年、AIはさらに進歩して、人類の手が届かないくらいに強くなってしまった。たとえば最近、「野狐」という対局サイトで九段で打っている人が、8子置いてAIに負けたという話があった。野狐九段といえば、最低でも院生か県代表クラス、要するにほとんどプロに近い実力が必要だと聞く。それが8子置いて負けるとは、にわかには信じがたいが事実のようだ。

これが本当なら、筆者など県代表には5子くらいだろうから、AIには13子くらい置かないと勝てないということになる(単純計算すぎるけど)。いや、いくらなんでも13子置けば勝てるよなあ?とは思うが、今のAIの進歩を思うと自信はない。

その昔、確か本因坊秀和は、「首を賭けて打つなら5子置く」と言ったとか。白が小ゲイマガカリしてきたらコスミツケてコスミ、いわゆる三羽烏を四隅で打って、中央はぼつぼつ一間トビして白模様を消していれば勝てるだろう、と。さすがの秀和先生も、ダイレクト三々の出現までは予測できなかったわけだ。まあさすがに、どれだけAIがアホのように強かろうと、秀和が5子置けば勝つだろうとは思うが。

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しかし、筆者程度でもなんとか9子くらいで、最強AIに勝つ作戦はないものか。普通に星目置いたのではあちこちちぎられてボロ負けしそうだが、自由置碁、すなわち9子の石を盤面に自由に配置して立ち向かえばどうだろう。何とか勝てる配置もあるのではないか。

たとえば、秀和スタイル(?)を一歩進めて小ゲイマジマリ×4+天元ではどうだろう。四隅で40目、弱くなりそうな石はさっさと中央にトビ出して天元につながる……まあ並の相手ならこれで悪くないけど、アホほど強いAIが相手ではどこかが殺されてしまいそうではある。

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バラバラに置くと間を裂かれてどこかの石がやられそうなので、全部右辺に寄せてしまうパターン。昔ちょっと試した限りでは、こういう偏在型の方が、普通の配置より勝率は高かった記憶がある。

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結局、大石をぶっ殺されるのが一番怖いので、いっそ真ん中にグレートウォールを建設してしまうのはどうか。弱い石も、2回くらいぴょんぴょんと飛べば壁につながる。右上か右下の三々に打てば、碁盤の4分の1が地に……というほど甘くないだろうけど、かなりの地はつくだろうし、白にはそう大きな地はできなさそうだ。意外といけそうな気がする。

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さらに極端に、一隅に全振りするのはどうか。右上90目は全部黒地!と言い張り、左上や右下にもそれなりに地がつきそう。並のアマチュア相手なら、入ってきた石は全部殺せそうだけど、プロやAIが相手だと100%の自信はない。もうちょい狭くするか、隅をシマリにするか(弱気)。

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実際に打ってみるとどうだったの、と言われそうだが、全然やってみてはいない。AIと対局するやり方を知らないのですみません。まあしかし、あまり自由置碁についてまとまった研究を見た記憶がないので、ひとつ最強の配置を考えてみるのも一興ではと思う。案外とんでもない配置がベストとかいう結論が出るかもしれないので、AIを使える方など試してみていただければと思う次第なのである。

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